特別定額給付金により、一人10万円が支給されましたよね。私の口座にも支給されており、安心しました。
ところで、この特別定額給付金の支給対象者は総務省によると「住民基本台帳に記録されている方」とあります。
今回は、「そもそも住民基本台帳に記録されている人って誰?」についてご紹介します。
→「特別定額給金」についてはこちらの記事で紹介しています。
そもそも「住民基本台帳」ってなに?
簡単に言ってしまえば、「住民票をまとめたもの」。
これが、住民基本台帳です。つまり、「住民票のある人が特別定額給金の対象」ということになります。
→住民票は、「住民としての権利義務」・「市町村が行う各種行政サービス及び居住関係の公証」の基礎となる公簿(こうぼ:帳簿)です。
ちなみに、これまでは「住基カード」が発行されていましたが、2016年1月以降はマイナンバーカードが発行されたことにより2015年12月に住基カードの発行は終了しています。
このように、「住民基本台帳の元となる住民票に登録されているかどうか?」が、住民基本台帳に記録されているかどうかの判断基準となります。
そして、このことはマイナンバーと深い関わりがあります。
ワンポントアドバイス! ~「マイナンバー」と「住民票」~
2020年5月24以前なら、国内に住民登録をすればマイナンバー(個人番号)を知らせるための「通知カード」が送付されていました。
→通知カードは、あくまでも自分のマイナンバーを確認するためのカードですので、それ以外の役割はありません。
そして、2020年5月25日からは国内に住民登録をした際にマイナンバーが付与され、「個人番号通知書」が住民登録をした住所に付与されます。
*「通知カード」は、2020年5月25日から新規発行手続きが廃止された。
つまり、「マイナンバーが付与される=住民登録がある=住民基本台帳に記録されている」ということになります。
それでは、具体的にどんな人にマイナンバーが付与されるのでしょうか?
マイナンバーは外国人にも付与される?
そもそも、マイナンバーの通知範囲の基準は「住民票」です。
そして、住民票は外国籍など関係なく日本国内に住民票があればマイナンバーは与えられることになります。
外国人住民特有の記載事項
外国人住民に係る住民票には、日本人と同様に、氏名、出生の年月日、男女の別、住所等の基本事項に加え、国民健康保険や国民年金等の被保険者に関する事項が記載されます。
さらに、外国人住民特有の事項として、国籍等に加え、住民票作成対象者の区分に応じそれぞれ次の事項が記載されます。
(1) 中長期在留者 (在留カード交付対象者) |
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(2) 特別永住者 |
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(3) 一時庇護許可者又は仮滞在許可者 |
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(4) 出生による経過滞在者又は国籍喪失による経過滞在者 |
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ちなみに、教育実習生にもマイナンバーは付与されます。
勘違いしてはいけないことは、「外国人も特別定額給付金がもらえて不公平!」ではないことです。
「住民票がある」と言うことは、各種税金を支払う義務も発生します。
逆に言えば・・・
- 観光やビジネスのためのビザで日本に入国され、滞在している短期滞在者
- 適法な在留資格を持たずに日本に滞在している不法滞在者
つまり、こういった「旅行者」や「違法に入国」といった在留外国人以外は、基本的に特別定額給付金の支給を受けられることになります。
「基本的に」というのは、基準日が令和2年4月27日と規定されているためです。
→有効な在留カードを持っていて、2020年4月27日に住民基本台帳に記録されている外国人であれば、給付対象となります。
*日本人であっても、例えば住民票を抜いて海外へ転出した場合は、マイナンバーは付与されなくなります。
このように、基本的に日本で生活している人は基本的にはマイナンバーが付与されている
ことになります。
日本で普通に住んでいればマイナンバーがあって当たり前?
例えば、こんな問題をはらんでいます。
無戸籍
「遠い国の話しだろ?」と考える人もいるかもしれませんが、そうではありません。
そもそも、戸籍というのは「人がいつ、誰の子として生まれ・いつ誰と結婚し・いつ亡くなったか?」といった身分関係を登録し、その人が日本人であることを証明する唯一の物です。
ところが、何らかの事情で「出生届」が出されなければ存在証明ができないため、当然、住民票の作成もできません。
つまり、出生届を出さなければその子は無戸籍となります。→このままでは、そもそも日本人として認められず行政サービスも基本的には受けられません。
→児童手当・学校の案内・資格取得時などあらゆる場面で不利益をこうむる。
無戸籍になる事例はこのような場合があります。
- 離婚後300日以内に生まれた、前夫ではない男性との子どもを、前夫の子として戸籍に記載されるのを避けるために出生届を出さない場合。(民法772条の規定により、離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子と推定され、前夫ではない男性との子どもであっても、前夫の子として戸籍に記載されます。)
- 両親が夫婦別姓のために事実婚を選択したが、子どもを非嫡出子(注釈)として記載されることに抵抗があるため出生届けを出さない場合。
(注釈)非嫡出子:婚姻関係にない男女間に生まれた子ども。
- その他、経済的事情や家庭内の事情により出生届が出せなかった場合。
多くの場合、親の責任というほかありません。
このように、日本に住んでいる(生活している)にも関わらず、マイナンバーが付与されていないことは、それだけでその人の人生が左右される緊急事態といえます。
このように、「日本に住んでいる人であれば基本的には付与される」それが、住民基本台帳に記載されている人であり、そしてマイナンバーの付与は住民基本台帳に記載されている証明でもあります。
*制度的には、「期間(4月27日)の定めの対象者であれば、日本国内で生活している全ての人達に支給されたもの」それが、特別定額給付金。
最後に
特別定額給付金は世帯ごとに支給されるため、家族分の受け取りは申請した1つの通帳に一括して振り込まれましたよね。
ただ、様々な問題で受け取ることができなかった人も存在します。
そもそも、約3ヶ月の自粛の影響が一人10万円支給ではどうにもなりませんし、この支給も高すぎる国民年金の支払いの一部にしかなりませんでした。
一体、なんのための支給だったのか?
そもそも、税金の支払いを対象期間だけでもなくしたり・家賃の減額をした方が、10万円をもらうよりもはるかに費用対効果があります。
そうすれば、そもそも申請のための役所の混雑もなかったし、役所の職員さん達の事務作業もありませんでした。
また、特別定額給金の窓口といった新たな箱物を作る必要もないため、そういった予算を一人10万円どころかさらに多くの税金の減額(市民税や健康保険税、年金の支払いなど)に充てることができたのではないでしょうか?
そんなことも考えさせられる特別定額給付金でした。
→「国民年金の支払いで消えた特別定額給付金」については、こちらの記事で紹介しています。
参考
弁護士法人GVA法律事務所
→https://gvalaw.jp/9656
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