緊急事態宣言が解除されましたが、「6月は様々な税金を納める開始月」ともいえるでしょう。
というのも、「固定資産税・都市計画税」「市・県民税(普通徴収)」「軽自動車税」「国民健康保険税(普通徴収)・介護保険料」の払い期限が6月から順次始まるためです。
→「後期高齢者医療保険料(普通徴収)」は、7月から。
今回は、「コロナでも納めないといけない国民健康保険税」に焦点を当ててご紹介します。
*国民年金つについは、4月にすでに送付され私の場合はすでに年間払いで支払いは終わっています。
→「国民年金とコロナ」についてはこちらの記事で紹介しています。
「納付書」のおさらい
さまざまな税金の納付書は、当初に一括して送付されることになります。
- 固定資産税・都市計画税:5月に「全期(一括納付)」と「期別(1~4期)」の両方が送付
- 市・県民税 :6月に「全期(一括納付)」と「期別(1~4期)」の両方が送付
- 国民健康保険税・介護保険料:6月に1期~10期までまとめて送付
- 後期高齢者医療保険料:7月に1期~9期までをまとめて送付
*「固定資産税・都市計画税」と「市民・県民税」は一括納付を選ぶこともできますが、「国民健康保険税・介護保険料」と「後期高齢者医療保険料」は1期ずつしか支払うことができません。
特別定額給付金は税金の支払いに消える?
さて、特別定額給付金により1人10万円がもらえますよね。
私の場合は4人家族ですので、40万円の支給があることになります。ただ、2人の子どもは小さいですが夫婦で国民年金を支払う必要があるため、この40万円はすべて国民年金の支払いにすでに当てています。
つまり、国からの支給は結局、支払う税金のあくまでも一部に消えていくことになります。(税金の支払いは、1人につき国民年金だけで2年前納にすると約40万円必要)
ちなみに、「税金に充てるお金が40万円分浮いた!」という考え方もあると思います。
ただ、例えばコロナの影響で仕事を失い初めて「国民年金」や「市民税・県民税」、「国民健康保険税」といった税金を、次々と届く納付書で支払うことになった人がいれば、「こんなに税金を払わないといけないの!?」と驚かれるのではないでしょうか?
これまでは、給料から天引きされていたため実感があまりなかったかもしれません。ただ、納付書で収めるようになった場合、給付金は全て税金の支払いに消えることを実感することになるでしょう。
それでは、本題の「国民健康保険税」について見ていきましょう。
国民健康保険税ってなんのためにあるの?
そもそも、国民健康保険税は国民健康保険に加入している人(被保険者)を対象に、病気や怪我をしたときに備え、医療にかかる費用をお互いに負担し、支え合うための財源になります。
ちなみに、税額は世帯ごとに計算され、被保険者全員の前年の所得・被保険者数・加入期間などに基づいて計算されます。
→世帯ごとに計算されるため、世帯主が納税義務者になる。(世帯主が、国民健康保健以外の保健に加入していたとしても、同一世帯に国民健康保険の被保険者がいれば、世帯主が納税義務者になる)
ただし、保険料の軽減がなされる場合があります。
令和2年度から「5割軽減」「2割軽減」の対象者が拡大された!
5割軽減
- 改正前:33万円+28万円✕被保険者および特定同一世帯所属者数 以下の世帯
- 改正後:33万円+28万円5千円✕被保険者および特定同一世帯所属者数 以下の世帯
2割軽減
- 改正前:33万円+51万円✕被保険者および特定同一世帯所属者数 以下の世帯
- 改正後:33万円+52万円✕被保険者および特定同一世帯所属者数 以下の世帯
このように、前年中の所得金額が一定以下の世帯(「5割軽減:+5千円」「2割軽減:+1万円」それぞれ拡大)が軽減されます。
令和2年度の私が住んでいる市の具体的な軽減額は、以下の表1のようになります。
(表1) 《令和2年度の軽減額例》
世帯主と被保険者および特定同一世帯所属者前年中所得金額の合計 | 軽減割合 | ①医療費給付費分 | ②後期高齢者支援金等分 | ③介護納付金分 | |||
均等割額 | 平等割額 | 均等割額 | 平等割額 | 均等割額 | 平等割額 | ||
(1人) | (1世帯) | (1人) | (1世帯) | (1人) | (1世帯) | ||
33万円以下の世帯 | 7割 | 17,850円 | 13,090円 | 6,370円 | 4,900円 | 6,930円 | 3,290円 |
改正後:33万円+28万円5千円✕被保険者および特定同一世帯所属者数 以下の世帯 | 5割 | 12,750円 | 9,350円 | 4,550円 | 3,500円 | 4,950円 | 2,350円 |
改正後:33万円+52万円✕被保険者および特定同一世帯所属者数 以下の世帯 | 2割 | 5,100円 | 3,740円 | 1,820円 | 1,400円 | 1,980円 | 940円 |
さらに例えば、令和2年度の大阪府を確認すると、国民健康保険料の上限額はこのようになっています。
年間保険料の最高限度額
①医療分保険料・・・全ての世帯にかかる
→最高限度額:年間61万円
②後期高齢者支援金分保険料・・・全ての世帯にかかる
→最高限度額:年間19万円
③介護分保険料・・・被保険者のなかに40歳~64歳の方(第2号被保険者)がいる世帯のみにかかります。
→最高限度額:年間16万円
つまり、表1から「あなた」や「同一世帯」の方の所得の合計で軽減割合が決まります。
さらに、「世帯主の1人だけが暮らしているのか?」それとも「世帯として複数人が暮らしているのか?」によっても、支払う税額が変わってきます。
→表1から分かるように、「1人」よりも「1世帯」の方が保険料は安く済むことから、例えば家族と世帯を別にして一人暮らしを始めた社会人1年目の負担が大きくなる。
→国民健康保険料は①+②+③の合計で決まる。(そもそも税額は、自治体によって変わる)
それでは、新型コロナウイルスによる影響はどのように加味されているのでしょうか?
新型コロナウイルスの影響で収入が減少していたら?
以下の場合は、国民健康保険税の減税が実施されます。
- 新型コロナウイルス感染症により、世帯主が死亡または重篤な傷病を負った世帯
→令和2年2月1日~令和3年3月31日までが納期限の国保税全額
- 新型コロナウイルスの影響により、世帯主の事業収入が前年と比べ3割以上の減少が見込まれる世帯
それでは、具体的にどのように税額が算出されるのでしょうか?
コロナの影響で所得が減少したら?
→❶✕➋/❸で、対象となる税額を算出。
❶令和2年2月1日~令和3年3月31日までが納期限の国保税額
➋世帯主の減少が見込まれる事業主入等に係る前年の所得金額
❸世帯主および、世帯の被保険者全員の所得の合計金額
上記で税額が算出できたら、下表の割合をかけて、減免金額を算出していきます。
(表2) 《減免割合》
世帯主の前年の所得金額 | 300万円以下 | 400万円以下 | 550万円以下 | 750万円以下 | 1,000万円以下 |
減免割合 | 10分の10 | 10分の8 | 10分の6 | 10分の4 | 10分の2 |
ポイントとしては・・・
- 世帯主の事業等の廃止や失業の場合は、前年の所得金額に関わらず、対象となる税額が全額免除される。
- 世帯主の前年中の所得金額が1,000万円以上または、減少することが見込まれる事業収入等に係る所得以外の前年中の所得金額が400万円以上ある場合、「新型コロナウイルスの影響により、世帯主の事業収入が前年と比べ3割以上の減少が見込まれる世帯」の減免は適用されない。
- すでに収めた国保税も減免の対象となる。
→つまり、前年に400万円以上の所得があれば減免が適用されない。
それでは、具体的にどれだけ減額されるのでしょうか?
具体的な計算例
例えば、私のような夫婦と子ども二人の4人世帯を例に取ってみましょう。(所得は例ですので、実際とは関係ありません)
4人とも国民健康保険加入者
- 令和1年中の収入:夫→600万円+妻→130万円=730万円
- 令和1年中の所得:夫→250万円+妻→65万円 =315万円
- 令和2年中の収入:夫→400万円+妻→150万円=550万円(見込み)
→「収入」から、必要経費を引いた額が「所得」です。税金は、この所得をもとに計算されることになります。
- 令和2年2月・3月納付期限の国保税(31年度分)=10万円だったとします。
- 令和2年度国保税年金額=50万円だったとします。
上記の世帯で、世帯主(夫)の令和2年中の営業収入の見込額が400万円に減少(33.3%)した場合の計算をみてみましょう。
営業収入が600万円 ⇒ 400万円に減少した場合
- 減免対象税額
→10万円(令和2年2月・3月:平成31年度分)✕250万円(令和1年中の夫の所得)/315万円(令和1年度の夫+妻の所得)=79,400円
→50万円(令和2年度分)✕250万円(令和1年中の夫の所得)/315万円(令和1年度の夫+妻の所得)=396,900円
- 減免割合
令和1年中の夫の所得は250万円でした。
つまり、世帯主の所得が300万円以下のため表2より、減免割合=「10分の10」となります。
それでは、実際にどれだけ減免されていくのか見ていきましょう。
実際の減免額は?
- 平成31年度分:79,400円×10分の10=79,400円
- 令和2年度分 :396,900円×10分の10=396,900円
このように、満額減額されることになるため・・・
減免後税額はこのようになります。
- 平成31年分:10万円-79,400円=20600円
- 令和2年度分:50万円-396,900=103,100円
どちらも、約5分の1の金額が減税されていることになります。
*減額を受けるためには、申請が必要。
最後に
あくまでも、減免措置であるため一定額は支払う義務があります。
確かに、1度きりとはいえ1人につき10万円給付がありました。ただ、納税について考えると喜んでばかりもいられません。
今年は、ボーナスが「でない人」や「減額」される人もいるでしょう。
そもそも、仕事を失った人もいるでしょう。
約3ヶ月間の休業要請で大きく経済が後退してしまいました。そして、今も様子見の状態が続いています。
自分がどんな税金をどれだけ納税する必要があるのか、一度確認してみてはいかがでしょうか?
参考
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援について
→https://www.mhlw.go.jp/content/000620361.pdf
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