新型コロナウイルスの拡大により、いまだに旅行など遊びに行くことは難しい状態が続いています。
とはいえ、「人が多いところに行かなければいいのでは?」と考えて山登りに出かける人もいます。
私もその1人だったんですが・・・
私の場合なら、滋賀県の近江富士と呼ばれる三上山に定期的に登っているのですが、特に外出自粛が言われるようになり出してからは、初めて駐車場が満車になったことも経験しています。
「御上神社の駐車場」と「三上山の駐車場」がそれぞれありますが、どちらも満車になっていてあきらめて帰ったことが何度かありました。
さて、そんな山登りですが毎年、遭難者が出てしまいます。
今回は、「間違いだらけの登山で遭難!?」についてご紹介します。
そもそも、「遭難者」って多いの?
警察庁が令和2年6月18日に発表していた「令和元年における山岳遭難の概況」によると、全国の令和元年の山岳遭難発生件数は2,531件で、遭難者は2,937人となっています。
その内、死者・行方不明者は299名です。
2010年~2019年までの10年間をグラフにすると図1になります。
図1
2019年は遭難件数・遭難者数・死者・行方不明者数が減少していますが、2015年以降は毎年3,000件前後発生しており、遭難された方の約1割は、亡くなるか行方不明
になられています。
平均すると、ほぼ毎日、日本のどこかの山で誰かが登山により命を落とすか行方不明になられていることになります。
2020年については、例えば群馬県では1月~6月で群馬県内で発生した山岳遭難件数は前年と比べて9件減少の26件・遭難者数は7人源の33人でしたが、死者:4名・行方不明:1人。
この理由は、「外出自粛の影響で、登山者数が減少している」ことが指摘されています。とはいえ、やはり三密を避けることができる登山に出かける人が多いことが分かります。
それでは、本題のなぜ「遭難」してしまうのでしょうか?
遭難する原因は?
登山以外の目的は?
そもそも、山に入る理由は登山が目的とは限りません。
「山菜・キノコ取り」や「観光」、「作業」、「スキー」などさまざまな理由があります。
とはいえ、2015年~2019年までの5年間を見ても、山に入って遭難された人の7割以上が「登山目的」でした。
ちなみに、ここでいう登山は・・・
- 登山
- ハイキング
- スキー登山
- 沢登り
- 岩登り
のことです。
それでは、なぜ遭難してしまったのでしょうか?
遭難原因は?
2015年~2019年までの遭難時の状態は、図2です。
図2から分かるように、道に迷ったことが原因
で遭難している場合が圧倒的に多いことが分かります。(全体の約4割)
その次が、「滑落」や「転倒」が続きます。
それでは、なぜ道に迷う人が後を絶たないのでしょうか?
どうして道に迷ってしまうの?
とりあえず山を下ったらどうなる?
もしも、登山中に「道に迷った?」と感じた時あなたならどうしますか?
例えば、「とりあえず山を下ろう!」としたとします。
単純に考えれば、「山を下っていけば麓につく!」と考えるのでしょう。また、体力的にも下りの方が楽だと錯覚してしまいます。
ですが、そもそも道に迷っている状態ですのでどこに付くか分かりません。ちなみに、確かに下りの方が体は楽に感じますが足への負担はかかるため、「足がガクガク」してきます。
というのも、膝をなめらかに動かす筋肉の1つである「内側広筋(太もも前面の内側にある筋肉)」は、膝を伸ばすときに働く筋肉ですが・・・
→内側広筋は、登山の下りで、適度にブレーキをかけながら降りる動作で重要な筋肉です。
普段なら、「階段の上り下り」や「ランニング」などで使われますが、もしもあなたが運動不足ならどうでしょう?
当てもなく下り続ける状態がいつまで続くか分からない状態で、はたしてどこまで体がもつでしょうか?
「沢」を発見したら?
「沢」と言えば、短い川の通称ですが、川の支流として多く存在しています。
つまり、沢を下っていけば下流に付くため、途中で途切れていなければ麓までいくことができるでしょう。
ただ、その沢をあなたが下っていけるかどうかは別問題です。
図2の遭難原因を思い出して欲しいのですが、遭難原因の第2位・3位が「滑落」と「転倒」でしたよね。
実は、沢は滝に繋がっていることもあるため、「突然道が無くなり滑落」なんてこともありえます。
また、湿地の状態になっている場合が多いため、滑りやすく転倒しやすいという特徴があります。
そんな場所に、足がガクガクの状態で下ろうとすれば、どうなるか分かりますよね?
山登りの鉄則は・・・
- 迷ったら引き返す!
- 沢には近づかない!
これが、最低限のルールです。(現在地が分かれば、下った方がいい場合もありますが、その人の準備次第)
そうしないと、私のような目に遭うかもしれません。
迷って引き返さなかったらこうなるかも・・・
社会人2年目の時に、初めてできた彼女(今の奥様)と京都にある上醍醐まで登ったことがありました。
当時は、まだ上醍醐に登っても入山料が必要なく(平成20年6月から入山料が必要)、私も何度か登っていたので、「大丈夫だろう」とデートで登ることになりました。
ちなみに、それまでに滋賀県にある三上山や800段で有名な立木観音などもデートで行っていたため、お互いに山登りには少し自信がありました。
今から考えると、普通はデートに選ばない場所ばかりですよね・・・
さて、上醍醐まで登ったのはよかったですが、下りはいつの間にか知らない道に出てしまいました。
引き返せばよかったのですが、「下ればどこかに降りるだろう!」と考え彼女の手前、とりあえず下り続けていると運良く1時間程で、なんとか無事に下山することができました。
ところが、本来なら醍醐駅まで送るつもりだったのですが、出てきた場所が醍醐寺側ではなく高速道路側に降りてしまっていました・・・
当然、足はガクガクで体力も使い切っていたため途方に暮れるところでしたが・・・
とりあえず、休憩のため近くの喫茶店に入り、店主の方に事情を話すとなんと車で醍醐駅まで送って下さいました。
本当にお世話になりました。
ちなみに、この時下山できたのが17時前で、あと30分下山が遅れていたら日が暮れて「遭難」していたでしょう。
最後に
いつ・どこで・どんなタイミングで遭難するかは誰にも分かりません。
登り慣れている山ですら、ルートを間違えれば未知の山になってしまいます。
ちなみに、私が体力作りのために大学生の頃から何十回と登っている三上山は標高432mのいわゆる「低山」です。
ですが、いくつもルートがあり、道が荒れている場所もあります。
以前、この三上山でも道に迷ったことがありましたが、この時はすぐに引換えしたので問題なく下山することができました。
さらに、台風がきてしばらくしてから行った時には、倒木ですごいことになっていました・・・
三上山の場合は、表参道~裏山道のルートで、頂上の神社まで私の足で約45分かかります。なにより、険しい道があったりもするため油断は禁物です。
→標高に関係なく、「山は山」
- 道に迷ったら引き返す!
- 沢には近づかない!
これを徹底して、下山する体力を残して安全に登山を楽しんで下さいね!
*最近では、「YAMAP」というアプリで、電波が無くても現在地などが分かるアプリもあります。
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