低温調理器で食中毒? 東京都保健福祉局が可能性を示唆!?

 

皆さんは、低温調理器を使ったことがあるでしょうか?

お肉をおいしく仕上げることができるため、人気の調理器具として話題になっています。

ただ、東京都保険福祉局が食中毒の危険性について注意喚起しており、マスコミでも低温調理器の使い方について注意喚起が報道されています。

今回は、「低温調理器と食中毒の注意喚起の根拠」についてご紹介します。

 

そもそも「低温調理」ってなに?

低温調理というのは、真空にした状態の食材を低温で長時間加熱する調理法のことです。

→正確には、「低温真空調理」といいます。

この、真空で長時間加熱することで食材の食感がよくなり、うま味が増すことになるため、人気の調理法になっています。

そもそも、本来はプロ向けの業務用が中心だった低温調理器でしたが、家庭向けの調理器として販売されたことがことの発端です。

結論から言えば、「一般の人が、低温調理器を使って加熱が不十分な状態でお肉などを調理して、殺菌しきれていない状態で食べて食中毒を引き起こすかもしれない」ということのようです。

ただ、食中毒に限ったことではないですが、ネットを調べれば食中毒の危険性について、それこそお弁当の作り方1つとっても検索すればいくらでも出てきます。

  • 生野菜は入れない
  • トマトのへたは取る
  • 粗熱を取ってからお弁当の蓋を閉める

など、今や最低限の常識として食中毒に関する情報は多くの人が知っています。

それでは、低温調理器は本当に食中毒の危険があるのでしょうか?

 

「低温調理」とはいえ、加熱していることに変わりないのでは?

低温調理器は、お鍋などの容器に水を入れて低温調理器(湯せん器)で水を温め、設定時間までジップロックに入れた食材を湯せん(お湯で温め)ていきます。

例えば、「アノーバ低温調理器」を例に挙げると、目標水温を設定すれば容器に入れた水の水温も自動的に測ってくれるため、目標水温になっているかは一目で分かるようになっています。

あとは、ジップロックに入れた食材を決められた「水温・時間」の設定通りに湯せんするだけで、食材をおいしい状態に調理することができるため、話題になることも分かります。

ただ、問題はこの水温について「東京都保健福祉局」が食中毒の可能性を示唆する報告を2019年7月13日に挙げています。(令和元年度 第1回東京都食品安全情報評価委員会)

 

なぜ、加熱しているのに食中毒?

まず、この報告は大前提として・・・

「いわゆる『低温調理』による食中毒の予防について」は、近年「低温調理」と称したレシピや飲食店メニューが注目を集めていることを受けて、食中毒予防の観点から検証や注意が必要と考えることとして提供された情報

だということです。

さらに言えば、この情報の判定結果は具体的なリスクは不明確な状態であることが報告が挙げられています。

それでは、なぜ低温調理器の注意喚起がこの東京都保健福祉局の報告から、マスコミなどが低温調理器の注意点について報道されているのでしょうか?

 

レバーを含む食肉を利用した調理が主なレシピになっている!

そもそも、低温調理器でお肉を調理する場合は付属の説明書を見ながら最初は、レシピ通りに作る人が多いかもしれません。

ですが、例えば、ネットで「低温調理 肉」と検索すればクックパッドを始め、動画などでも本当にたくさんのレシピが紹介されています。

ちなみに、この調査時点ではレシピ数は300件・ブログサイトでは721件もヒットしたようです。あれから1年以上経っているためもっと増えていると考えた方が妥当でしょう。

当然、レシピの中には肉の重量だけでなく、その厚さや加熱温度・時間など、付属の説明書のレシピにも負けないぐらい丁寧に詳しく説明されたレシピもあるようですが・・・

問題は、重量の記載どころか加熱時間の記載がないレシピが散見された点です。

そもそも、「プロが低温調理器を使う」と言うことは、基本的にそれをお客さんに「食べさせる」ということになりますよね。

そのため、食中毒を1度でも起こせば店としては終了になりかねないため、死活問題を回避するためにも食中毒対策に手を抜くことはないでしょう。

一方、一般人の場合は低温調理した食品を食べるのは、基本的に自分やその家族と言うことになります。

また、「一般人に食中毒の知識がどれだけあるのか?」と言われれば、少なくともプロの料理人並みというわけにはいかないでしょう。

つまり、そんな一般人が低温調理器を適当なレシピをみて目分量で調理してしまったら、家族が全滅することになりかねません。

こういった点を危惧して、東京都保健福祉局が報告しているようです。

ただし、プロが作った料理でも完璧ではありません・・・

*大前提として、食中毒を100%防ぐことは不可能。

 

都内の飲食店で低温調理法で作られたメニューも食中毒案件に含まれる!?

平成30年1月~平成31年4月末に都内飲食店で食中毒についてこのようにまとめられています。

原因食品とされたメニューの1つに、ここにお示ししている低温調理法またはそれと思われる調理法によって調理された食品が含まれていました。

とあります。

ただし、冒頭でお伝えしたように「この情報の判定結果は具体的なリスクは不明確な状態」です。

つまり、「飲食店で食中毒を引き起こしたメニューの中に確かに低温調理器を使った料理はあったが、食中毒との因果関係ははっきりしていない」ということです。

さらにいえば、有症苦情(飲食による体調不良について保健所へ申し出があり、調査した結果、飲食店で提供したメニューと体調不良の因果関係が明らかにならなかった事案)の中に、低温調理器で調理された食材がありましたが、因果関係は分かっていません。

繰り返しになりますが、「低温調理器が原因で食中毒になったかどうかは分からない!」これがこの報告の大前提ですので勘違いしないようにして下さいね。

それでは、なにを東京都保健福祉局は危険視しているのでしょうか?

 

そもそも厚生労働省が食肉について、通知を出している!

厚生労働省は、「食肉の加熱条件に関するQ&A」を発表しています。

Q.食肉による食中毒防止のための加熱条件として、中心部を 75℃で 1 分間加熱することが必要とされていますが、これと同等の加熱の条件はどのようなものがありますか?
A.「75℃、1 分」と同等な加熱殺菌の条件として、「70℃、3 分」、「69℃、4 分」、「68℃、5 分」、「67℃、8 分」、「66℃、11 分」、「65℃、15 分」が妥当と考えられます。

このように、食中毒の観点からそもそも食肉の加熱条件については厚生労働省からQ&Aが出されています。

例えば、低温調理器に付属されているレシピ付きの説明書には、こんな基準が書かれています。

 

肉や焼き魚の低温調理器での使用目安

  • 60度・・・タンパク質が硬くなり始める
  • 64度・・・コラーゲンが収縮する
  • 68度・・・水分を失いパサつき始める。

ということは、「おいしく食べたい!」と考えれば、68度以下で設定して調理したくなりますよね・・・

それでは、「時間通りに湯せんすればいいのか?」といえばそう単純な話しでもないようです。

 

中心温度が重要!

そもそも、食材の中まで温度が上がっているかどうかは、中心温度を測れば分かります。「中心温度計」も売られています。

ですが、こんな危険性が指摘されています。

  1. 中心温度が設定温度まで上がっていない。
  2. 袋に入れて調理する際に空気がきちんと抜けておらず、うまく熱が伝わらない。
  3. おいしさのため、安全ギリギリの温度を追求する人がいる。

こういった現状があるため、今回の報告がなされました。

 

最後に

低温調理器は、レシピ通りに作れば確かに誰もが簡単・便利においしい料理が作れると思います。

ただ、食中毒の危険性については考えておいた方がいいでしょう。

これまでなら、フライパンや鍋などを使ってしっかり加熱していたと思いますが、調理の仕方が変わると十分な調理ができるか経験がないため分からなくなります。

もちろん、今回の報告は低温調理器で食中毒が発生したかどうかを確認したものではなく、あくまでも食中毒を引き起こす可能性について示唆されているに過ぎません。

ここで言えることは、低温調理器を使うときは中心温度がしっかり設定温度まで上がっていることを確認することです。

決して、「おいしさと食中毒」を天秤にかけないようにご注意下さい!

 

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