風邪が治ったのに「においがわからない?」 たまには自分を最優先にしないと・・・

 

皆さんは、「嗅覚障害」と聞くと他人事だと考えるかもしれません。

ただ、実はいがいと身近に存在しています。

今回は、嗅覚障害のなかでも「ママが陥りやすい、感冒後に起こる嗅覚障害」についてご紹介します。

 

そもそもなんで嗅覚障害になるの!?

人の五感と言えば・・・

  1. 視覚
  2. 味覚
  3. 触覚
  4. 聴覚
  5. 嗅覚

ですよね。

さて、どの感覚が障害されても生活が難しく感じると思いますが、それでは「嗅覚」はどうでしょうか?

意外と、「どうってことないんじゃ・・・?」なんて考える人もいるかもしれません。ですが、実は想像以上の悪影響があります。

その話しは最後にして、まずは「こんなことで嗅覚障害になるの?」についてご紹介します。

 

嗅覚障害の原因

そもそも、「におい」を感じる粘膜(鼻粘膜)は、鼻の上にある嗅裂(きゅうれつ)という部位に存在しています。

ところが、空気を吸ったときに鼻腔に入ってくる「におい分子」が粘膜の腫れやポリープ(鼻茸:はなたけ)などに邪魔されると嗅裂まで到達しないことで嗅覚障害が発生します。

嗅覚障害が発生する原因としては・・・

  • アレルギー性鼻炎
  • 外傷性骨折(鼻や頭を骨折するような外傷や打撲など)
  • 加齢による嗅覚の衰え
  • アルツハイマー型
  • パーキンソン病

など、病気や外傷など、実はさまざまな原因で嗅覚障害は身近に発生します。

さて、今回の記事では「感冒後の嗅覚障害」についてですので、そちらについてみていきましょう。

nastya_gepp / Pixabay

 

「感冒後」ってなに?

そもそも、「感冒」とは風邪のことです。

風邪と言えば、誰もが1度はかかったことがありますよね。

つまり、風邪にかかった後に咳や鼻水といった症状が治ったにも関わらず、においが分からない状態になっていることです。

さらに言えば、風邪の後に嗅覚障害を放置したことで引き起こされる障害、それが「感冒後嗅覚障害」です。

原因は、ウイルスが嗅粘膜~嗅神経という部分にダメージを与えているために引き起こされます。具体的には、風邪のウイルスにより鼻奥のにおいを感知する「鼻細胞の変性・脱落」が原因と推測されています。

 

~症状~

  • 分かるにおいと、分からないにおいがある。
  • 異臭症状(本来のにおいと違うものに感じる)

こういった症状が現れます。

さて、子育てをしていると自分が風邪をひいたとしても、どんなにしんどい状態であっても、赤ちゃんの世話をしなくてはいけませんよね。

つまり、自分のことが後回しになります。

ただ、放っておくと嗅覚障害が二度と治らなくなる可能性があります。

Engin_Akyurt / Pixabay

 

実は怖い感冒後嗅覚障害!

感冒後嗅覚障害は、1年間の経過観察で自然に改善することもありますが、内服薬や他の治療により改善率を高めることができます。

日本では・・・

  • 漢方薬
  • ビタミンB12
  • 亜鉛鉄剤

こういった内服治療が行なわれています。ただ、2018年1月時点で、どの薬が効果を持つかは全国の大学や病院で臨床試験が行なわれている状態です。

他にも、ステロイド剤の点鼻薬などが使用されます。

それでは、「放置」するとどうなるのでしょうか?

 

3週間の放置

例えば、子どもが2人いると順番に風邪を引いたりして、1ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。そして、自分も子どもから風邪をうつされてしまい、しばらくしてにおいを感じないことに気付いたとします。

実は、嗅覚障害の症状が出てから3週間以上すぎると、治療を行なっても治らない場合が多く治療が難しい疾患でもあります。

つまり、自分を後回しにした結果、取り返しがつかない障害を負う可能性があります。

 

嗅覚障害は、そんなに問題なの?

鼻かぜを引いた状態を思いだして欲しいのですが、そもそも味がまったく分からなくなりますよね。その状態が一生続くと考えるとかなり怖いと思いませんか?

例えば、お弁当など日々の食事の味付けもままならなくなります。

さらに、母親は赤ちゃんのにおいに愛着や安心を感じることがすでに知られています。つまり、子育てに悪影響がでてくることはいうまでもありません。

sever111 / Pixabay

もちろん、赤ちゃんがウンチをしているかどうかも、においで分からなくなります。このように、子育て世帯にとって、嗅覚障害は致命的な障害になってしまいます。

もちろん、子育て世帯だけの問題ではありません。

そもそも、「においの感覚がなくなると不安になっていろいろな障害がでてくる」と東京大学大学院農学生命科学研究所の東原和成教授が指摘されています。

つまり、精神疾患との関係性も示唆されています。

*嗅覚を失うと、「他の疾病よりも死亡率が高くなる」という報告があるほどです。

 

最後に

「たかが嗅覚障害」ではない!

ということが、分かっていただけたでしょうか?

子育てにしろ仕事にしろ、つい自分のことは後回しにしがちになります。

ただ、五感は古来より人間に備わっている外界からの情報を分析するための基礎的な感覚機能です。その機能の1つが喪失している時点で、かなり危険な状態です。

しかも、風邪も治り特に異常がないにも関わらず、後遺症のように喪失状態が続いているのならなおさらです。

もちろん、放置していても治ることはあります。ただ、少なくとも1週間以上そういった症状が続くのなら、自分のことを後回しにしていいタイミングはすでに終わっています。

ただちに受診しないと、一生その機能を失った状態にあるかもしれません。

自分を後回しにするのもほどほどにしないと、結局は優先させた相手に迷惑をかけてしまうことになりかねません。

なにより、自分の人生が詰んでしまうかもしれません。くれぐれも、自分のことを最後の最後(取り返しが付かなくなる)まで後回しにしないようにして下さいね。


参考

京都みみはな短期滞在手術センター
https://www.hiroshiba.com/nose/disease04.html

日刊工業新聞:社説/嗅覚の重要性−研究進め「におい産業」の拠点化を
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00456773

ましきクリニック耳鼻咽頭科:嗅覚障害
http://www.mashiki-clinic.com/nose/41/

 

 

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