皆さんは、「危険な腹痛」というと、どんな病気や症状を思い浮かべますか?たいていは、すぐに治まるため基本的にそこまで深刻になることはないのではないでしょうか?
ただ、現実問題として放っておくと危険な場合があります。
今回は、「その腹痛、大丈夫?」についてご紹介します。最後に、幼児の食品表(消化に良い食品・悪い食品)についてもご紹介します。
腹痛の種類
そもそも、「腹痛」というのは「お腹が痛い!」という症状を総称したものです。
- 痛みの部位
- 痛みの強さ
- 鈍痛
- 疝痛(差し込むような痛み)
- 発症の仕方
- 併発している症状
つまり、「腹痛」と一言でいっても原因は1つではないため、このようにさまざまな症状から原因を特定していかなくてはいけません。
さて、そんな腹痛には多く分けて2種類あります。
内臓痛
消化管の収縮・伸展・痙攣・拡張などにより引き起こされる痛みのことで、内臓神経(自律神経)を介して感じる腹痛です。
特徴としては、痛みの部位が明確ではなく周期的に「お腹全体が何となく痛い!?」という鈍痛です。(吐き気・悪心・冷汗などを伴うこともある)
例)下痢による腹痛
体性痛
内臓をとりまく腹膜や腸間膜(腸と腸との間にある膜)、横隔膜等に分布している知覚神経が刺激されて引き起こされる腹痛です。
一般に、刺すような鋭い痛み(疝痛)が持続的に続きます。(内臓痛よりも、痛みの部位がはっきりしている)
例)虫垂炎による腹痛
それでは、腹痛の原因にはどういった場合があるのでしょうか?
そもそも腹痛の原因はどんなものが多いの?
年齢によっても原因は異なりますが、腹痛にはこのような原因があります。
《緊急性の低い比較的よくあるもの》
1.便秘症→30~40%
2.急性胃腸炎→15~20%
3.かぜ症候群→10~20%
《緊急性の低い比較的繰り返すもの》
4.心因性腹痛・・・心の状態が原因になっている腹痛。
5.反復性腹痛・・・日常生活を傷害するほどの腹痛が間欠的(一定の時間で繰り返し)に、3ヶ月間に3回以上あり、明らかな機能的または器質的原因がないもの。
6.アセトン血性嘔吐症・・・数時間もしくは数日間、繰り返し激しい嘔吐を繰り返す病気。(年に数回のこともある)
《頻度は少ないが緊急性の高いもの》
7.腸重積症・・・回腸(小腸の最後)が、大腸の中に入り込む病態。入り込んだ腸は血中が悪くなるため、時間が経つと腸が壊死してしまうため早急に治療が必要になります。
8.虫垂炎等外科疾患・・・盲腸やその他の外科疾患。
9.紫斑病性血管炎・・・皮膚に赤紫色の出血斑(紫斑)ができやすくなる病気を「紫斑病」といいます。そして、血管が炎症を起こしていることから「紫斑病性の血管炎」ということです。
1~3の「腹痛の原因」から見てとれるように、基本的には緊急性が低い場合ばかりです。
ただし、4~6のように緊急性が低いが繰り返す場合。そして、7~9のように頻度は少ないとはいえ即座に対応しなくてはいけない場合もあります。
腹痛は、病気のサインとなる場合もあるため、一概に自己判断で済ませてしまうと危険な病気が隠れいる可能性があります。
それでは、どういった症状があれば「危険」と判断すればいいのでしょうか?
危険な腹痛とは!?
- 段々強みが痛くなっていく。
- 高熱を伴う。
- 「強い痛みが急に数十分続くが、その後けろりとする」を繰り返す。
- 痛みが上腹部から右下腹部に移動する。
- 嘔吐を繰り返す。
- 血便を伴う。
こういった症状があれば、危険な腹痛と考える必要があります。
それでは、腹痛時はどうすればいいのでしょうか?
腹痛時の対処は?
◎安楽な体位◎
内臓痛は体位を変えることで腹痛が緩和する場合があります。
体位としては、「シムス位」と呼ばれる姿勢が安楽とされています。シムス位というのは、妊婦さんの安楽な姿勢として知られています。
❶左側面が下になるように、うつ伏せ気味の姿勢で横になる。
➋左足(下側)をやや伸ばす。
❸右足(上側)を前に出して曲げる。
❹左手は背中側に回して伸ばす(曲げてもいい)。
◎心身の安静◎
心因性腹痛の場合もあり、心理的にも安静を保てるようにする。
◎罨法◎
腹部を温めることで、腹痛が緩和されることがあります。ただし、発熱などに伴う炎症性疾患(虫垂炎・胆嚢)の場合は、逆硬化となります。
ちなみに、冷罨法は腹痛には効果がありません。
◎食事の管理◎
腹痛が激しいときは、禁食する。放置することで腹痛が緩和したら、消化のよい食品を選び小量ずつ摂取させ、普通食に戻していきます。
このように、腹痛時の対処はいくつかありますが危険な腹痛の症状があればすぐに受診する必要があります。
それでは最後に、幼児の食品表をご紹介します。
消化に良い食品・悪い食品
幼児の食品表(消化に良い・悪い食品)
種類 | 消化の良い食品 | 消化の悪い食品 |
穀類 | ・食パン・お粥・うどん | ・ラーメン・寿司・赤飯 |
魚類 | 油の少ない魚 ・鯛・カレイ・ヒラメ・タラ |
油の多い魚 ・サバ・サンマ・ウナギ・ブリ・マグロ |
肉類 | 油の少ない肉 ・鶏肉・ヒレ肉 |
油の多い肉 ・豚肉・ベーコン・ソーセージ |
豆類 | ・豆腐・高野豆腐・きな粉 | ・小豆・大豆など固い豆 |
卵類 | ・卵・うずらの卵・茶碗蒸し | ・すじこ・たらこ |
油類 | ・良質バター・植物油 | ・ラード |
野菜類 | 軟らかく煮た野菜 ・人参・かぶ・白菜・大根・ほうれん草・キャベツ・カリフラワー |
繊維が多い、強い香りの野菜 ・たけのこ・ごぼう・レンコン・セロリ・ふき ・うど・にら |
その他 | ・きのこ・海藻類・漬物・干物 | |
果物 | ・バナナ・りんご(すりおろし)・果物缶詰 | 酸味の強い物、固い物 ・みかん・梨・干し果物 |
飲み物 | ・麦茶・白湯・イオン飲料(OS1) | ・コーヒー・サイダー・コーラ |
菓子類 | ・ゼリー・ぼうろ・カステラ | ・ドーナツ・ケーキ・かりんとう |
調理法 | ・煮る・蒸す | ・揚げる |
このように、「消化に良い物」と「消化に悪い物」は、調理法によっても注意する必要があります。
また、子どもが好きな物が消化に悪い場合もあるため食事管理は必要になります。もちろん、大人でも同じことが言えるため、上記の表を参考にされると食事管理の手助けになるでしょう。
最後に
腹痛は、いつ・どこで起こるか分かりません。
それこそ、「ストレス」で引き起こされることもありますし、「食あたり」なんてこともありえます。また、深刻な病気が隠れている場合もあります。
その腹痛の原因は、医師しか判断を下すことができません。嘔吐や血便は分かりやすいですが、激痛が繰り返される場合は、いったん症状が治まってしまうため、受診が遅れてしまうかもしれません。
また、急性虫垂炎のように、痛みが上腹部から右下腹部に移動する場合も注意が必要です。危険な腹痛は、見落とさないようにご注意下さい。
参考
公立岩瀬病院:腹痛のQ&A
→http://www.iwase-hp.jp/health/qa/celialgia.html
大幸薬品
→http://www.seirogan.co.jp/fun/stomach/stomachache02.html
つわり軽減ノート
→https://tsuwari.around35.com/?p=671
広島県医師会
→http://www.hiroshima.med.or.jp/pamphlet/55/post-11.html
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