「飲酒は20歳になってから!」というのは周知の事実ですよね。
それ以前に、そもそも法律で禁止されています。
それでは、なぜ法律で禁止されているほど子どもに対して厳しく取締りがあるのかご存じでしょうか?
今回は、「アルコールが子どもに与える笑えない影響」についてご紹介します。
お酒を飲むとなぜ酔ってしまうの?
普通、食べた物は胃を通過して小腸に入って吸収されていくため、ある程度の時間が必要になります。
ところが、アルコールの場合は胃に入った時点で吸収が始まってしまいます。さらに、血液に入ってからわずか数分で全身にくまなく染みわたっていきます。
そして、アルコールが脳に入ると脳の神経細胞に働きかけるため、脳の働きを麻痺させてしまいます。
→これが、お酒が飲むと酔う理由です。
アルコールはなぜ20歳から?
「高校性の時はすでに当たり前のように親戚などから酒を飲まされていた!」なんて親から聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
そう聞かされて育った私は、大人になってからもほとんど飲みませんが・・・
さて、そんなお酒はなぜ子どもが飲んではいけないのか疑問に思ったことはありませんか?
実は、子どもへの悪影響が驚くほどあります・・・
脳障害
人は誰でも生まれたときは、約140億個の神経細胞を持っています。ただ、20歳を過ぎると1日10万~20万個ずつ壊れていきます。
この神経細胞の破壊は、「アルコールを摂取することで加速していく」といわれています。
→脳萎縮を速くもたらす危険があります。(認知症の危険性)
*記憶力・判断力・意欲などの低下につながる。
厚生労働省
厚生労働の発表でも、アルコールと脳萎縮の関係性は示唆されています。つまり、飲酒量が増加するほど脳萎縮は進行し、断酒すれば改善していきます。
とはいえ、大人になってからの小量の飲酒は認知症の予防が指摘されています。
- 1週間の飲酒量が350ml✕1~6本という小量の飲酒は、まったく飲まない人と比べると認知症の危険性がもっとも低くなると示唆。
→1本の缶ビール(350ml)を、2人で分けるぐらいの量が1日の摂取量だった場合、認知機能は飲まない人よりも維持されるということです。
→1日1本(350ml)のペースで飲んでしまうと、認知症の危険性が上がることを示唆。
性腺機能障害
アルコールが二次性徴に必要な性ホルモンに悪影響を及ぼす。
- 男性:インポテンツ(ED:勃起不全)
- 女性:無月経・生理不順
になることがあります。
臓器障害
未成年者の臓器は発達途中であるため、「アルコールに対する耐性が弱い」という特徴があります。つまり、全身の臓器に負担がかかります。
肝臓で分解しきれなかったアルコールが体内をめぐると、肝臓や膵臓といった臓器に障害を引き起こすことがあります。
- 肝臓障害・・・脂肪肝や肝硬変など
- 膵臓障害・・・膵炎や糖尿病など
臓器障害が引き起こされます。
そもそも、日本人はアセトアルデヒドを分解するための酵素の働きが元々弱い人が多く(2人に1人と言われている)、少しのお酒でもアセトアルデヒドが体内に蓄積し、吐き気などの症状を起こしやすくなります。
この体質は、遺伝によるもので努力で飲めるようにはならないため、生涯変わることはありません。
*アルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドは、非常に毒性が強く処理能力が低いとお猪口一杯でも顔が真っ赤になります。(「ウイスキーボンボン」だけでなく、「粕汁の匂い」だけでも顔が赤くなる場合もある)
急性アルコール中毒
先程お伝えしたように、日本人はアルコールに対する耐性が弱いにも関わらず、さらに未発達な子どもがアルコールを飲めば、急性アルコール中毒に陥る危険性が高くなります。
最近では、清涼飲料水のようなお酒などが発売されていますよね。つまり、ジュースと間違ってアルコールを摂取してしまう誤飲も発生しています。
→飲食店で間違って子どもにアルコールが配膳された例まであります。
また、「ウイスキーボンボン」や「スポンジにブランデーが染み込ませているケーキ」を食べてしまう誤食の危険性もあります。
→缶ビール1本(350ml)のアルコール量20gは、ブランデーの40mlと同じになります。
*誤食のアルコール量は、誤飲に比べて多くなりやすい。
アルコール依存症
アルコールには、麻薬のような強い依存性があります。そして、飲酒が状態化するとアルコール依存症となってしまいます。
→飲酒を始める年齢が若いほど、依存症になる可能性が高くなるという研究結果もあります。
習慣的な飲酒を始めてから発症するまでの期間
- 中年男性・・・15~20年
- 中年男性・・・5~10年
- 20歳未満・・・数ヶ月~2年
*20歳未満は、アルコール依存症に格段に早い段階で発症してしまいます。
さまざまな問題行動
- 集中力が続かない。
- 学習意欲の低下。
- 将来がどうでもよくなる(未来思考・未来展望)
- 精神的成長・心理的発達の停止(人生の幅を狭める)
- 怒りっぽくなる・自己中心的になる(鋭角が変わる)
- 飲酒運転による交通事故
- 怠学(怠けて学校に行かないこと)・成績不振・中退など。
- 金銭トラブル
など、さまざまなトラブルに巻き込まれる危険性が高くなります。
20歳未満の飲酒が禁止されているのは、このようにそれなりの理由があるためです。
最後に
アルコールが子どもに与える影響は大きく、取り返しがつかなくなることもあります。
「昔は、未成年でも飲んでいた!」はアルコールを飲んでもいいという理由にはなりません。そもそも法律違反ですが・・・
たまたま、その人に影響がなかったのかもしれません(実際は脳細胞が破壊され、性格の変化などもあったかもしれません)が、未成年から飲んでいた人は自分の子どもや孫には気をつけてあげてくださいね。
アルコールは、成長期の体には危険な物であることを認識する必要があります。
未成年者飲酒禁止法については、次回の記事でご紹介します。
参考
厚生労働省:e-ヘルスネット
→https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-007.html
こども救急箱:子どもの急性アルコール中毒 -誤飲の原因つくらないで-
→https://kodomoiryo.jp/archive/05.first%20aid%20kit/kodomokyukyu189.htm
Asahi:20歳未満の飲酒はなぜいけない?
→https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/minor_drinking/why.html
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