横断歩道がなくても横断してくる歩行者 ~法律的には問題ないの?~

 

前回、「信号機のない横断歩道は歩行者が優先」という、本来なら当たり前のことについてご紹介しました。

それでは、横断歩道の無い場所を歩行者が横断するときはどうなのでしょうか?

走行中に、4車線の道路を無謀にも横断してくる自転車や歩行者をよく見かけますが、それでも歩行者が優先されてしまうのでしょうか?

今回は、「横断歩道のない道路:歩行者は横断してもいいの?」について紹介します。

 

→「横断歩道と一時停止」については、こちらの記事で紹介しています。

長野のドライバーはひと味違う! ~横断歩道と一時停止~

 

「横断禁止」の標識がなければ横断してもいい!?

実は、横断禁止の標識がなければ「歩行者が車道を横断する行為自体は問題なし。」ということになっています。

警視庁:「歩行者のルール」を確認すると・・・

  • 「横断歩道」や「信号機」のある交差点が近くにあるところでは、その横断歩道や交差点で横断しなければならない。
  • 「歩行者横断禁止」の標識のあるところでは、横断をしてはいけない。(道路を斜めに横断してもいけない。)

とあります。

つまり、近くに「信号機・横断歩道・歩行者横断禁止」がなければ、道路を横断しても問題ないことを認めています。

とはいえ、これはあくまでも「歩行者が横断歩道のない道路を横断してもいいのか?」という疑問に対して、「条件によるが、その行為自体は認められている」というだけの話しです。

そもそも、道路の横断が無条件で許されていたら危険なのは結局、歩行者です。これでは、安全を守れないないため本末転倒ですよね。

それでは、どういった歩行者の横断が禁止されているのでしょうか?

 

「乱横断」が社会問題になっている!

「無謀横断」なんて呼ばれることもありますが、「横断歩道以外を渡る」・「横断歩道の信号を無視」するなど、高齢者を中心にこんな「乱横断」が社会問題になっています。

それでは、そもそも「歩行者の交通ルール」についてどれだけ知っていますか?

 

歩行者の交通ルール

道路交通法より

第7条

道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前条第一項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない。

信号を守らないといけない。

 

 

第十条第1項

歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という。)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することができる。

基本的には、右側通行です。

 

 

第10条第2項

歩行者は、歩道等と車道の区別のある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道等を通行しなければならない。
一 車道を横断するとき。
二 道路工事等のため歩道等を通行することができないとき、その他やむを得ないとき。

基本的には、歩道を歩かなくてはいけません。

 

 

第12条第1項

歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない。

横断歩道を渡る。

 

第12条第2項

歩行者は、交差点において道路標識等により斜めに道路を横断することができることとされている場合を除き、斜めに道路を横断してはならない。

基本的には、斜め横断の禁止。

 

 

第13条第1項

歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。

基本的には、車の直前・直後の横断は禁止。

 

 

第13条第2項

道路標識によって横断が禁止されている道路を横断してはいけません。

横断禁止場所


さて、歩行者の交通ルールについても、このように道路交通法に定められています。

とはいえ、改めて言われる必要がないほど、当たり前の内容ばかりではないでしょうか?

ただ、ここで重要なことは私達が小さい頃から大人から教えられてきた交通ルールは、「法律の条文に記載されている」ということです。

→私も親となり、子ども達に交通ルールを教える立場になりました。4歳の息子に交通ルールを少しずつ教えています。

さて、「条文に記載されている」と言うことは、やはり「罰則」についてもみていく必要がありますよね?

 

信号無視で逮捕の可能性?

例えば、道路交通法第7条は「歩行者に信号を守る義務」が記されていますよね。これに違反した場合の歩行者の罰則は、二万円以下の罰金又は科料です。

つまり、罰則がある場合は当然その罰則を受ける可能性があります。ただ、もしも信号無視だけでは終わらなければどうでしょうか?

そもそも、信号無視は死亡事故を引き起こしかねない危険な行為です。

もしも、歩行者であるあなたが信号無視をしたことで、バイクが咄嗟にあなたを避けたとします。

そのせいで、バイクの運転手が他の車と衝突したり、民家に突っ込んで亡くなってしまったとします。

この場合、歩行者であるあなたは逮捕される可能性が高いでしょう。

このように、「歩行者だから・・・」と甘い考えで無謀な横断をして事故を引き起こした張本人となれば、刑事罰も覚悟しなくてはいけません。

*ちなみに、車が「横断歩道のない交差点における歩行者の優先を妨害」すると、ドライバーにはこのようなペナルティーがあります。

  • 罰  則 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
  • 反 則 金 大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、原付車6千円
  • 基礎点数 2点

→横断歩道の有無に関わらず、車は歩行者の通行を妨げてはいけません。また、歩行者も横断禁止になっていないとしても、道路を安全に横断しなくてはいけません。

間違っても、「スマホをみながら横断」なんてことをしてはいけません。

 

最後に

歩行者の交通ルールは、幼稚園や保育園など小さい頃から習うと思います。ただ、道路交通法だけに気をつけていればいいわけではありません。

例えば、「歩きスマホ」をしている人がよくいますよね。

もしも、歩きスマホが原因で、相手にぶつかるなどして、自分だけでなく他人にも怪我をさせてしまうと、過失傷害罪として30万以下の罰金や科料に問われるかもしれません。

場合によっては、多額の損害賠償を負うことになる可能性まであります。

弁護士相談法人エースの交通事故相談WEBによれば、あなたが歩きスマホをしていたことが原因(過失)として認められた場合、以下のような損害賠償を求められる可能性が挙げられています。

  • 治療費(被害者側)
  • 修理費用(事故によって被害者の所有物が破損した場合)
  • 入院・通院に関する費用
  • 逸失利益(無事故の場合に得られるはずだった収入に対する補償)
  • 休業費(被害者が入院などで業している間の収入)
  • 後遺障害慰謝料(事故後の後遺症に関する慰謝料)
  • 死亡慰謝料(被害者が死亡した時、遺族に支払う慰謝料)

さて、そもそも道路交通法は「道路の危険を防止」することが目的です。

そのため、道路使用者には法律による規制はありますが、安全に道路を使用できるかどうかどうかは道路の使用者次第です。

「罰せられるから・・・」という理由もあるかもしれませんが、そもそも自分と周りの安全を守るための法律です。「乱横断」は本当にしないで下さいね・・・

ドライバーからすれば、中央分離帯を乗り越えて横断してくる歩行者を見かけると「ドキッ!」としてかなり恐いです。

ドライバーからすれば、こんな乱横断をする人はすでに「普通の人」と判断することができないため、「いきなり飛び出してくるかもしれない危険な人かも?」と思いながら走行することになります。

ただ、そんな危険な人に集中してしまうと、目の前の赤信号を見逃してしまうかもしれませんし、他にも乱横断をしている人を見逃すかもしれません。

そして、「車の直線・直後の飛び出し」は法律違反と同時に危険な行為です。絶対にしないで下さいね・・・

*私が住んでいる滋賀県は、横断歩道で一時停止する車は1割程度(全国:ワースト3位)です。そもそも横断歩道がなければ、なおさら一時停止する車は少ないのではないでしょうか。

 

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