●この記事では、「パパ・ママ育休プラス」・「パパ休暇」について説明しています。
前回、育児休業についてご紹介しました。
育児休業は、「会社側は拒否できない労働者の権利」ですが、そもそも父親か母親のどちらかしか取得できない制度ではありません。
今回は、「育児休業の特例」についてご紹介します。
→「育児休業」については、こちらの記事で紹介しています。
そもそも、「育休」は労働者の権利
育休の話しになると、まず「男性と女性のどちらが育休を取得するか?」という発想になるのではないでしょうか?
→現実は、女性が取得することがほとんどですよね・・・
ただ、そもそも「どちらかしか取得できない」という制度ではありません。
どういうことかというと、育児休業は両親で取得することができます。
まず、この点が誤解されやすいのではないでしょうか?
それでは、「両親が育児休業?」とはどういうことなのでしょうか?
そもそも「パパ」と「ママ」どちらも育休を取得できるの?
結論から言えば、両親が順番に育休を取得することもできますし、一緒に育休を取得することもできます。
ただし、このように両親ともに育児休業を取得する場合は「特例」となります。
そして、この特例は「パパ・ママ育休プラス制度」と呼ばれています。
パパ・ママ育休プラス制度?
そもそも、原則的な「育休」といえば「両親ともに、子どもが1歳に達するまでの育休が取得できる」という制度です。
→保育所に入れないなどの場合は最長2歳まで延長できる。
それでは、なにが特例なのでしょうか?
この制度は・・・
両親がともに育児休業を取得する場合、原則子が1歳までの休業可能期間が、子が1歳2か月に達するまで(2か月分はパパ(ママ)のプラス分)に延長されます。
それでは、どういった取得が想定されているのでしょうか?
パパ・ママ育休プラス制度の事例とは?
大前提として、この特例での育児休暇は子どもが1歳2ヶ月になるまでの期間(通常の育休よりも期間が2ヶ月延びる制度)です。
期間の延長は、2ヶ月間だけですが「2人で育休を取得すること」ができます。
もっと言えば、そもそも男性が育休を取得することが主たる目的の制度です。
それでは、どういった想定がなされているのでしょうか?
両親が切れ目なく育休を取得
- ママ:産休(8週間)+育児休業=1年間(職場復帰など)
- パパ:ママが職場復帰後、2ヶ月間の育児休業
両親が育休を同時取得
- ママ:産休(8週間)+育児休業=1年間(職場復帰など)
- パパ:ママの育児休業期間に被せて1歳2ヶ月まで育児休業
ただし、ママの育休開始日はパパの育休開始日よりも前に利用することができません。また、この特例であっても一人の育休取得最大可能日数は1年間です。
両親の育休が連続していない
- ママ:産休(8週間)+育児休業+祖父母が面倒を見てくれる期間
- パパ:祖父母の面倒が見てくれる期間終了後すぐに、育児休業取得=1歳2ヶ月
つまり、「パパ・ママ育休プラス」を利用することで・・・
「両親が一緒に育児ができる期間を作れる」・「期間をずらして連続して取得する」・「両親が連続して取得しなくてもいい」といった、それぞれのスタイルで育休を取得することができる仕組みになっています。
それでは、「パパ・ママ育休プラス」はどうすれば取得できるのでしょうか?
① 配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
② 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
③ 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
*女性は、「8週間の産休後」に育児休業に入ることになる。(女性の場合、産休8週間を含んだ1年間が「育児休業」)
それでは、そもそも産後8週間以内の状況で、パパは育休に入れないのでしょうか?
パパ休暇
実は、育児休暇の特例の1つに「パパ休暇」があります。
ママの出産後8週間以内の期間内に、パパが育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度、パパが育児休業を取得できます。
本来なら、育児休業は特別な事情がなければ、1度しか取得できません。
ですが、産後8週間以内にパパが育児休業を取得すれば、ママが育児休業を開始してから、再度育児休業を取得することができます。
→出産後8週間以内に1回目の育児休業を「取得・終了」せずに、継続すれば原則通りの「育休」となるため、注意が必要。
このように、男性の育休を促す制度はすでにできあがっています。
にもかかわらず、男性の育休の取得は低い現状が続いています・・・
最後に
男性が、育児休業が取得できる体制は制度的には手厚くなっています。
ある意味、女性よりも手厚いかもしれません。
ただ、実際に休めるかどうかはまた別の問題になっています。
パパママ育休プラスは、2010年から始まったまだまだ新しい制度です。
職場でも「今の人はいいね~」なんて、嫌みを言われるかもしれません。この制度に限らず安易に使えない制度はたくさんあります。
ですが、こういった反応は法律的にはパワハラなど、犯罪行為として罰せられる可能性があります。
本来なら、制度が改善されるのであれば喜ばしいのですが、現場では今日・明日の仕事を回せるかどうかが喫緊の課題になっている職場も多いでしょう。
その状態で、果たして育児休暇を言い出せる男性がどれだけいるのかはまた別の話です。
せっかくの制度も誰も使わなければ、「絵に描いた餅」で終わってしまいます。
働き方改革がどこまで進むのかが鍵になることは、いうまでもないでしょう。
そもそも、「育休」という形をとらなくても、ある程度の労働時間がコントロールできればいいのですが・・・
これからは、現実に基づいた改正が進められていく必要があるでしょう。
厚生労働省:両親で育児休業を取得しましょう!
→https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169713.pdf
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