子どもの耳の病気で気になる病気といえば、「外耳炎」・「中耳炎」・「内耳炎」ではないでしょうか?
- 耳かきなどで外耳を傷つける・耳に水が入る→外耳炎
- プールなどで鼻から水が入る →内耳炎
といった具合に、例えば水が鼻と耳のどちらから入るかによって変わります。
さて、以前紹介した外耳炎・中耳炎と続き、今回紹介する耳のもう一つの病気「内耳炎」。ちなみに、「子どもはあまり内耳の病気がない」と日本医師会でも紹介されていますが・・・
実は、最近子どもが「内耳を痛める危険性」が危惧されています。その原因ついてもご紹介しますね。それでは、まずは内耳炎についてご紹介します。
■外耳炎についてはこちらの記事で紹介しています。
■中耳炎についてはこちらの記事で紹介しています。
内耳炎ってそもそもなに?
そもそも内耳には、簡単に言えば聴覚や平衡感覚に関与する装置があります。
外耳と中耳は、内耳に音を伝えるため「伝音系」と呼ばれ、内耳は外耳と中耳の音を感じる働きをしているため、「感音系」と呼ばれています。
つまり、音を感じる内耳に炎症が起これば、大変なことが起きることが想像できますよね・・・
症状は後述するので、まずは発生原因について見ていきましょう!
どうして内耳炎になるの?
❶中耳腔(鼓膜の奥の空気の入った小部屋)の炎症が、内耳にまで及んだ場合
→中耳と内耳には、それぞれを隔てている2つの窓(「正円窓:せいえんそう」と「卵円窓:らんえんそう」と呼ばれる窓)があります。しかし、この窓を通して炎症が内耳にまで及ぶことがあります。
➋真珠腫性中耳炎:しんじゅしゅせいちゅうじえん
(小児は先天性・大人は後天性の場合が多い)
→鼓膜の一部が内側に向かってへこんでいきます。そして、鼓膜の一部に耳垢などがたまり塊になるためと考えられています。(原因はまだよく分かっていない)
この塊が、手術のときに白い真珠のように見えるため「真珠腫」と呼ばれます。
問題は、この「真珠腫」が外部の骨を溶かして内耳や神経を破壊して大きくなっていきます。
*小児に多い先天性真珠腫は、胎生期に鼓膜の奥にある鼓室に本来は存在するはずのない成分が残ってしまい、その成分がだんだんと大きくなっていくためと考えられています。
→真珠腫性中耳炎は自然に消えることもあるようですが基本的には手術が必要。
❸髄膜炎
ごくまれに、髄膜炎から内耳道を経由して感染することがあります。
抗生物質の普及により、中耳炎から内耳炎まで進行することは激減しました。ただ、好中球性中耳炎の場合は内耳にまで障害が起こることがあります。
*好中球性難聴は、40~50歳ぐらいの大人に多く難治性(治りにくい)中耳炎の代表的な病気です。
このように、内耳炎は耳からだけでなく他の器官から発症するものもあります。それでは、内耳炎の症状について見ていきましょう。
内耳炎の症状は?
内耳への炎症が急激で強い
- 激しい回転性のめまい。
- 吐き気
- 嘔吐
- ひどい難聴
- 耳鳴り
が起こります。
内耳への炎症がゆっくり(慢性中耳炎に多い)
- 耳鳴り
- 難聴が少しずつ進行
- 軽いめまい
- ふらつき感
といった症状が現れます。
つまり、内耳の炎症が急激に進むかどうかで症状も変わってきます。
治療は?
まずは、内耳炎の原因を治療しなくてはいけません。先程お伝えしたように、中耳炎や髄膜炎など耳からだけでなく、その他の器官が原因になっていることもあるため、まずは原因究明が必要になります。
- 抗生剤
- ビタミン剤
- 副腎皮質ステロイド剤
など、併用されることもあります。ただし、慢性中耳炎の場合は手術が必要な場合もあります。
なにより、中耳の炎症が治っても難聴などが残ることもあります。そのため、耳の異常だけでなくめまいや吐き気などがあれば受診し、早期発見・早期治療が重要になります。
身近な難聴の危険!
さて、ここまでは内耳炎について見てきました。
内耳炎は・・・
- 中耳炎から内耳炎の症状の悪化は抗生物質により、そもそも激減している。
- 早期発見・早期治療が重要。
- 場合よっては、難聴になるかもしれない。
もちろん、内耳炎は危険ですが子どもがなるとすれば外耳炎や中耳炎が多いということになります。それでは、外耳炎や中耳炎にだけ気をつければいいのでしょうか?
実は、もう一つ私達が気をつけないといけない普段の行動があります。
ヘッドホン難聴
ちなみに、「ロックコンサート難聴」や「ディスコ難聴」と呼ばれる物もあります。これらは、音響外傷と呼ばれます。
さて、ヘッドフォンやイヤホンから音楽を強大音量で聞くことによって生じる難聴ですが、例えば、自転車に乗りながら大音量で聞いている人を見かけたことはありません?
そもそも、外部の音が聞こえない状態で自転車などに乗れば捕まりますが・・・
それはそれとして、イヤホンで大音量の音楽(音)を聴くことで、内耳では何が起こっているのでしょうか?
音響外傷の恐怖!
- 強大な音により、急性に難聴を発症
- 長時間、大きな音にさらされて気づかないうちに発症
といった場合があります。
そもそも、耳には弱点といわれる環境があります。それは、「長時間」・「大音量」・「高い周波数」です。
これは、内耳が高周波数帯域の音に損傷を受けやすいという特徴があるからです。しかも、ベッドホンなどの場合は、音源からの距離が近く直接音が伝わります。
困ったことに、内耳の感覚細胞が一部でも損傷を受け失われても再生することはありません。また、普通の会話では高い周波数帯で話す人は身近には基本的にいないため、最初は気づきません。
ですが、この状態を続けると中音~低音域まで聞こえにくくなるため聞こえが悪くなったと自分でも気づくようになります。
大音量で高音域の音を長時間、聞くことは危険です。
ヘッドホンやイヤホンで音楽は聴いてはいけないの?
例えば、パソコンなどを見続けるとブルーライトが指摘されるようになりました。ブルーライト眼鏡をかけたり、休憩したりとみなさんも対応されていると思います。
■ヘッドホンやイヤホンも同じ
- 適切な音量
- 耳を休める(ヘッドホンやイヤホンをはずす)
ことが必要になります。
最後に
大音量にさらされて損傷を受けてもある程度は回復します。また、損傷までいかずに疲労の段階ならさらに回復の可能性があります。
さすがに、小さい子どもがイヤホンやヘッドホンで大音量の音楽などを聴くことはないと思います。ただ、幼児教育のために例えば英語をヘッドホンやイヤホンで聴かせている場合もあるかもしれません。
子どもだけでなく、大人も音量や長時間の使用は十分にご注意くさい。
ちなみに、小学校の運動会でのピストルや爆竹など大きな音がする物は身近にもたくさんあります。大き過ぎる音が、直接耳に入らないようにご注意下さい。
参考
学校保健
→https://www.gakkohoken.jp/special/archives/145
神尾記念病院
→https://www.hotweb.or.jp/shirato/eard.html
白クマ先生の子ども診療所(日本医師会)
→https://www.med.or.jp/clinic/sick_itami_mimi.html
ながくら耳鼻咽頭科:真珠腫性中耳炎
→https://nagakura-ac.com/
細田耳鼻科
→https://www.hosoda-cl.com/ear/294/
ヨミドクター:内耳炎
→https://yomidr.yomiuri.co.jp/iryo-taizen/archive-taizen/OYTED543/
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