アスベストの製造等は中止になっているが・・・ 0.1%と自主回収

 

この記事では、アスベストの種類と現状についてお伝えしています。

 

皆さんは、「アスベスト」についてどれくらいご存じでしょうか?

「アスベスト」と言えば、「建物などに使用されている?」と考えるのではないでしょうか?

ですが、実はもっと身近に存在しています。

今回は、アスベストと自主回収」についてご紹介します。

 

そもそも「アスベスト」ってなに?

アスベストと言えば、「危険な物」として多くの人が認識しているのではないでしょうか?

実際、その通りで、アスベストについてはこのような取扱いになっています。

 

そもそもアスベストは、1970年~1990年にかけて年間約30万トンもの大量のアスベストが輸入されました。

そして、「アスベスト=建材」と多くの人がイメージするように、「大量に輸入されたアスベストの8割以上が、建材に使用された」と言われています。

とはいえ、すでに基本的にアスベストの製造等は禁止されています。


このように、2000年以前は当たり前のように大量に使われていたアスベストですが、正体は天然にできた鉱物繊維です。

→「せきめん」・「いしわた(石綿)」とも呼ばれる。

ただ、「アスベスト」と一言でいっても大別すると「蛇紋石(じゃもんせき)族」「角閃石(かくせんせき)族」の2種類があります。

さらに言えば、蛇紋石族の石綿名は、「クリソタイル(白石綿)」だけですが、角閃石族の石綿名は5種類あります。

つまり、アスベストには合計6種類があります。

 

角閃石族の5種類とは?

細かい部分は省きますが、角閃石族の石綿名は以下の5種類があります。

  1. クロシドライト(青石綿)
  2. アモサイト(茶石綿)
  3. アンソフィライト石綿 
  4. トレモライト石綿
  5. アクチノライト石綿

 

ただし、日本で使われてきた代表的なアスベストは3つだけです。

「白石綿(しろいしわた)」・「茶石綿(ちゃいしわた)」・「青石綿(あおいしわた)」

  • 白石綿:ほとんどすべての石綿製品の原料として使用。世界で使われた石綿の9割以上を占めている。
  • 茶石綿・青石綿: 吹付け石綿として使用。他に青石綿は石綿セメント高圧管、茶石綿は各種断熱保温材に使われてきた。

このように、アスベストの種類によりそれぞれ用途がありますが、使われてきたアスベストの多くは「白石綿」でした。

それでは、どうしてアスベストは重宝されてきたのでしょうか?

 

優秀だったアスベスト!

そもそもアスベストは、極めて細かい繊維で・・・

  • 摩擦
  • 酸、アルカリ

これらに、強い性質がありました。

しかも、「丈夫」で「変化しにくい」特性まで持っていました。なんにでも応用が利く、まさに「夢の素材」だったわけです。


こういった理由から、当時はさまざま用途に使われていました。

  • 建材:吹き付け材・保温・断熱材・スレート材など
  • 摩擦材:自動車のブレーキライニング・ブレーキパッドなど
  • シール断熱材:石綿紡織品、ガスケットなど

こういった、工業製品に使われてきました。つまり、アスベストと共に(アスベストに囲まれて)生活をしていました。

ところが、アスベストの危険性が知られるようになりました。

 

アスベストの発がん性!?

実は、アスベストには「肺がん」「中皮腫」を発症する発がん性が明らかになりました。

「中皮」というのは、内臓の膜の表面を覆っている膜のことです。

ちなみに、中皮腫はアスベストに曝露後、40年前後の潜伏期間を経て発症することが報告されているため、これからも日本では増加していくことが考えられています。

8割程度が悪性胸膜中皮腫、2割弱が悪性腹膜中皮腫、残りがその他の部位からの発症

 

つまり、アスベストの影響は何十年も経ってからでてくるため、「静かな時限爆弾」とも呼ばれています。

ただし、アスベストの発がん性の強さは、種類によって違います。

「白石綿 < 茶石綿 < 青石綿」の順に、発がん性が強くなります。(青石綿が、最も発がん性が強い)

それでは、そんな危険なアスベストの取扱いはどのようになっているのでしょうか?

 

アスベストの有用性は今も健在・・・

確かに、原則として「アスベストの製造等は禁止」されています。

  • 1995年:有毒性の高い「茶石綿」と「青石綿」の使用等が禁止。
  • 2004年10月:労働安全衛生法施行令が改正。白石綿等の石綿を含有する建材、摩擦材、接着剤の製造等が禁止。

つまり、2004年の時点で、日本で使われていた代表的なアスベストの製造等は基本的に禁止されました。

 

さらに、2006年9月以降は、代替が困難な一定の適用除外製品等を除き、石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべての物の製造等が禁止。

そして、2012年3月1日以降は、石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべての物の製造等も禁止されています。

→逆に言えば、アスベストが0.1%を越えなければ使用してもいい。なにより、当時の建物などはまだ現役で使用されている。

こういった事情から、普段の生活や解体等の工事でアスベストに曝露される危険は今なお続いています。

さて、アスベストの基礎知識はこれぐらいにして、実は私も使用している「ある商品」から、基準値を超えるアスベストが含まれていることが分かり、自主回収の騒ぎになっています。

 

今も使われている「アスベスト」

さて、そのある商品というのが「ニトリが販売していた珪藻土(けいそうど)商品」でした。

珪藻土は、水分をよく吸収するため、例えば「お風呂上がり用のマット」などとして重宝します。

ただ、この珪藻土はしばらく使用していると吸収力が悪くなっていくため、付属のヤスリで削る必要があります。

つまり、通常使用していれば問題ありませんが、商品を「削ったり」・「割ったり」した場合、アスベストが飛散する危険性があるため販売中止となり、自主回収となっています。

ちなみに、安全が確認された商品については、「販売継続」や「完売後に販売終了」などが決まっています。

これが、2020年12月の出来事です。

→消費者庁でも、ニトリ「珪藻土コースター、珪藻土バスマット」の返金・回収が紹介されています。

 

最後に

以前、ビニールを燃やしたときなどに発生する「ダイオキシン」に発がん性があることが問題になり、マスコミで連日報道されていました。

ところが、これは日常生活の中で摂取する量の数十万倍の量を摂取した場合における、急性毒性の危険性が本当の所です。

さらに言えば、ダイオキシン類自体の発がん性は比較的弱く、「現在の環境中の濃度ではガンになるリスクはほとんどない」と考えられています。

 

それでは、アスベストはどうでしょうか?

アスベストの危険性は厚生労働省でも認められています。

ですが、現在でもアスベストは安全基準は守られていますが、普通に素材として使用されています。

今回は、ニトリの商品で判明しましたが、珪藻土でできた「マット」だけではありませんでした。

  • ケイソウド傘立て
  • ケイソウド歯ブラシスタンド
  • ケイソウドコースター

など、多岐にわたります。


ただ、「珪藻土がすべて危険なのか?」と言えばそうではなく、『ニトリの【第2報】お詫びと自主回収のお知らせ』で、 安全が確認された商品もたくさんあります。

同じような商品であっても、安全性が大きく変わる分かりやすい例だといえるでしょう。

ちなみに、私の場合はニトリで購入した物ではありませんでしたが、そもそも100%安全な商品は存在しません。

そして、アスベストは現在もしようされており、これからもアスベストにより被害は続いていきます。

時代により、安全基準は大きく変わっていきます。これからは、特に根拠に基づいた新しい情報が重要になっていくでしょう。

 

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