みなさんは、子どもの成長が「早い?遅い?」なんて心配になったことはありませんか?
定期的に小児科を受診しているのですが、息子(2歳)の成長曲線(発育曲線)をみて、医師から「身長の伸びが悪いね」と言われてしまいました。
→実は、毎月受診時に体重と身長を測るのですが思ったより息子の身長が伸びていなかったことから、医師に相談したことがこのエピソードの始まりです。
*これまでの身長・体重のデータはあったので成長曲線に当てはめてもらいました。
今回は、身長の伸びが悪いとどんな心配があるのか「成長曲線」の有効性からご紹介します。
そもそも「成長曲線」ってなに?
そもそもこの成長曲線は、厚生労働省がおこなっている「乳幼児発育身体調査」という統計調査をもとに作成されています。
この統計調査は、10年周期で全国の乳幼児の身長や体重の平均値を月齢ごとに調査されています。
つまり成長曲線を見ることで・・・
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その月齢の乳幼児の平均体重・身長を一目で知ることができる。
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定期的に書き込むことで、身長・体重の増減をグラフとして見ることができる。
という特徴があり、母子手帳にも簡単な成長曲線表が掲載されています。
ただし、成長曲線を見るときに注意しなくてはいけないことがあります。
成長曲線の注意点
1.あくまでも平均値
冒頭でお伝えしたように、あくまでも平均値です。成長曲線をみるときは、測定時の月齢の身長や体重を点として見るのではなく、グラフとして成長度合い(成長の曲線)を見る必要があります。
*ただし、平均線との差が大きすぎると病気の可能性があり注意が必要です。
2.子どもの成長曲線がおかしい
数ヶ月単位で身長・体重を月齢区分でグラフにチェックしていくことでその子の成長曲線を作成することができます。
特に、個人差があるとはいえ乳幼児は成長することが当たり前です。もちろん、成長が遅い子どももいます。私自信も、身長が伸びず中学2年生ぐらいまで140㎝台だったため親にかなり心配されていました。
ここで大事なことは、グラフとしての成長曲線を見ることで自分の子どもの成長が「成長しすぎている」・「横ばい(変化がない)」・「減少している」といった判断がグラフを見れば一目で分かることにあります。
成長曲線の重要性はこのぐらいにして、次は成長曲線でわかる成長異常の可能性について説明します。
成長異常の可能性!?
例えば、身長が伸びたからといって喜んでばかりもいられません。その伸び方が「身長成長曲線」の基準線に沿っていることが大事になってきます。
つまり、「現時点までは成長が正常である」という判断の根拠となるものが成長曲線です。それでは、成長曲線の異常によりどんなことが心配されるのでしょうか?
成長ホルモンや甲状腺ホルモンの病気
- 出産時の仮死状態
- 事故などによる脳の外傷や脳腫瘍
→といったことが原因で、脳の下垂体が障害された場合。
成長ホルモンは脳下垂体から分泌されますが、障害されているため分泌されなくなり低身長が目立ってきます。また、甲状腺ホルモンの分泌が不足したときも身長の伸びが悪くなることがあります。
*不足している成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどを治療で補うことで身長が伸びます。
染色体の病気
《ターナー症候群》
女の子にある2本のX染色体が1本しかない、または欠けています。
→低身長・思春期がない。そして、心臓病・難聴などの合併症の問題もある。
*女性ホルモン治療や成長ホルモン治療がおこなわれる。
《プラダー・ウィリー症候群》
15番染色体の変異による病気です。
→低身長・性腺の発育が悪い(乳幼児期は、筋緊張の低下・肥満・発達障害など)
*成長ホルモン治療により、身長を伸ばし筋力や身体の代謝も改善。
子宮内発育不全(SGA性低身長症)
子宮内発育不全とは、「妊娠満期で産まれても身長や体重が小さいこども」・「早産で妊娠週数に比べて小さく産まれた子ども」達のことをいいます。
→多くの場合は、3歳までに身長が伸びます。
*身長の伸びが見られず一定の条件を満たせば、成長ホルモン治療をおこなうこともあります。
骨・軟骨の病気(軟骨異栄養症)
骨や軟骨そのものに異常があり身長が伸びず、胴体に比べて手足が短いなど⇒身体のバランスに特徴がある。
→遺伝・突然変異(家族に同じ病気がない場合)の両方があります。
*軟骨異栄養症の場合は、「成長ホルモン:身長を伸ばす / 整形外科:骨延長術」がおこなわれます。
臓器の異常(心臓・肝臓・腎臓など)
重要な臓器に病気があり、身体に十分な栄養を取り込めないことで起こります。
→身長が伸びにくいことがあります。
*臓器の病気の治療や成長ホルモン治療がおこなわれます。
このように、低身長は病気のサインになっていることもあります。ただし、遺伝・体質・睡眠・運動・心理状態など様々な要因も考えられるため、低身長だからといって病気というわけではありません。
大事なことは、早期発見が早期治療につながるということです。
*成長曲線のPDFはこちらでダウンロードすることができます。
成長曲線の見方
成長曲線には、あらかじめ目安となる7本の基準線が引かれています。そして、基準線と基準線の間を「チャンネル」と呼びます。
成長曲線は、「身長と体重」の2種類がありますが、普通は身長・体重の基準線とも1つのチャンネルのなかにおさまります。
異常な成長曲線
身長や体重の成長曲線が「上向き(上昇)または下向き(減少)」にチャンネルを横切って別の基準線のチャンネルにまで至っている場合。
→特に、2本の基準線を横切っている場合は、なんらかの疾患が原因となるためすぐに対応する必要があります。
このように、成長曲線を記録していくことで危険な成長異常の可能性を一目で確認することができます。
最後に
子育てをしていると、「身長の伸びが遅いな・・・」と心配することや「ちゃんと成長しているのかな?」なんて心配になることが何度もあります。
そんな時の1つの目安として、成長曲線があります。心配な場合は、小児科で「身長の伸びが悪い」と相談してもいいかもしれません。
もちろん、簡単にダウンロードできるので毎月1回、成長記録として付けていくのもいいですよ。また、成長曲線を付けておくと、受診したときに一目で分かるのでお守りにもなります。
子育ては不安がつきものですが、1つずつ解消していきたいですね。
参考
厚生労働省:乳幼児身体発育調査
→https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/73-22.html
赤ちゃん&子育てインフォ
→https://www.mcfh.or.jp/jouhou/sodachi/kyokusen_1.html
日本小児内分泌学会
→http://jspe.umin.jp/public/teisinchou.html
公益財団法人 母子健康協会
→https://www.glico.co.jp/boshi/futaba/no80/con03_03.html
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