皆さんは、折りたたみ傘をお持ちでしょうか?
私の場合は、ベビーカーと車にそれぞれ1本ずつ常備しています。
いざという時の雨にも使えるため、とても重宝しています。
ただ、使い方を間違えると大変なことになります。
今回は、「取り扱い注意な折りたたみ傘」についてご紹介します。
*国民生活センターが公表している情報より
そもそも折りたたみ傘は危険なの?
「折りたたみ傘」とひと言でいっても、そもそも手の力で開く「手開き式折りたたみ傘」と、バネの力で開閉する「ジャンプ式折りたたみ傘」があります。
今回、ご紹介するのは「ジャンプ式折りたたみ傘」についてです。
後述しますが、子どもにも被害がでているため最後まで呼んで頂けると幸いです。
ジャンプ式折りたたみ傘
ジャンプ式にもさまざまな種類がありますが、昔ながらの「ボタンを押すと傘の中棒が勢いよく伸び」・「縮めるときは手で中棒を押し入れる」タイプの折りたたみ傘がありますよね。
ジャンプ式折りたたみ傘を使用されている方はご存じだと思いますが・・・
- ボタンを押すと、内蔵されているバネにより勢いよく中棒が飛び出す。
- 使い終わったあと、中棒を収納するときはそれなりの力が必要。
ジャンプ式折りたたみ傘には、こういった特徴があります。
ただ、こういった特徴のため事故が発生し2008年に国民生活センターは、ジャンプ式折りたたみ傘の危険性について注意喚起をおこないました。
さらに、2013年には家庭用品品質表示法が一部改正され「ジャンプ式折りたたみ傘は、傘の開閉時及びシャフトの伸縮時には、顔や身体から離して使用する」旨を取り扱い上の注意として表示することが義務づけられました。
法律が改正されるだけ、事故が多かったことが見てとれます。
こういったことから、商品の中には「手元を収納するさいに誤って手を離しても手元が飛び出さない」ものも売られるようになりました。
つまり、危険防止機能があるものとないもの新旧混在の状態になっています。
さて、気になるのは「ジャンプ式折りたたみ傘に、どれほどの威力があるのか?」ではないでしょうか。
それでは、国民生活センターが2019年6~8月に実施したテストからご紹介します。
ジャンプ式折りたたみ傘の衝撃力とは?
手元を収納する直前まで中棒を収納した場合
たまにあると思うのですが、もう少しで「カチッ」と音が鳴るところまで縮められたが、手が滑って勢いよく中棒が飛び出してしまい、再度中棒を縮めることになったというシーンを想像して見て下さい。
この時、勢いよく飛び出してきた手元が衝突したときの衝撃力は=604~1,562N(62~159kgf)
これは、厚さ約4mmのガラス板であっても破砕できる威力です。
Nとkgfについて
この項目は、難しい話しになるため飛ばしてもらってかまいません。
- N(ニュートン)=重さ
- kgf(キログラムフォース)=重力の大きさ→重力により数値が変化する。
- kg=質量→地球でも宇宙でも変わらない
→1kgf≑9.8N
例えば、1kgfは質量1kgの物体に地球の重力加速度が加わったときの力。
私達が、普段「1kgの重さ」と言っているのは質量1kgの物体に作用する力(9.8N)ということになります。
分かりやすくいえば、地球上では1kgのものが受ける力は1kgfということになります。
さて、それではジャンプ式折りたたみ傘の話しに戻ります。
どういった事故があったの?
事例①
2016年(10代 女性)
ジャンプ式折りたたみ傘をさして登校し、学校の玄関先で傘を閉じて中棒を収納しようとしたところ、跳ね返ってきた。
→傘の手元が前歯と唇に当たり、前歯が1本折れ唇を2針縫うケガ。
他にも、同じような状態で歯が折れた事例があります。
事例2
2018年4月(50代 女性)
ジャンプ式折りたたみ傘の手元を押し込んだが、完全に押し込められておらず手を離した瞬間に勢いよく傘の手元が飛び出してきた。
→眼球を直撃し、水晶体を支える目の繊維が切断され視力が0.7→0.1まで低下。
このように、当たり所が悪ければ歯が折れることや、失明の可能性があるジャンプ式折りたたみ傘は、例えば顎に当たれば皮下出血により黒いあざができることもあり、想像以上の衝撃があることが分かります。
国民生活センターが実施したアンケートでは、1000人中約3割の人が「使用中にケガをしたり、危険を感じたことがある」と答えています。
つまり、今回紹介した事故事例はまだまだ氷山の一角であることが分かります。
ちなみに、骨折した人までいたようです・・・
最後に
ジャンプ式折りたたみ傘は便利ですが、このように思わぬ落とし穴があります。
我が家では、1歳と3歳の子どもがいるため遊ばせないように、特に注意する必要があります。
このように、自分だけではなく他人に取り返しの付かないケガを負わせてしまうかもしれません。
収納するときは、音がなるまで確実に両手でしっかりと縮めて下さいね。
当然、冗談でも人に向けて伸ばさないようにご注意下さい。
ただ、中棒を収納する時はある程度の力が必要になります。
そのため、子どもや高齢者などが持つ場合は、飛び出し防止機能があるタイプを利用することをオススメします。
参考
国民生活センター
→http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190912_2.html
建築学生が学ぶ構造力学
→http://kentiku-kouzou.jp/kouzoukeisan-taikajuutani.html
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