「健康サポート薬局」は、より深く広い薬局!? 地域のための薬局とは?

 

皆さんは、普段から薬局に行くことはあるでしょうか?

今回のコロナの影響でさらに、薬局の需要は増加しその存在感を示していました。

それでは、そんな薬局のなかでも「健康サポート薬局」と呼ばれる様々な健康相談にのってくれる薬局があることをご存じでしょうか?

今回は、「平成28年4月1日からすでに始まっている健康サポート薬局」についてご紹介します。

 

健康サポート薬局は、普通の「薬局」とは違うの?

城東区薬剤師会のHPを確認すると、そもそも「薬局」は薬を販売する「販売業」だけでなく、医師の処方箋によって薬剤師が薬を調剤する場所でもあります。

つまり、薬剤師が必ずいなくてはいけません。

例えば、病院や歯科医院などで処方された場合は、地域の薬局・・・

  • 保険薬局
  • 基準薬局
  • 保険調剤します

といった看板や表示がある場所で調剤してもらうことができます。

さて、そんな薬局の中でも厚生労働大臣が定める一定の基準を満たしている薬局が「健康サポート薬局」として指定されています。

 

健康サポート薬局の役割は?

日本薬剤師会では、薬局の機能についてこのように説明されています。

医師から処方された薬について説明し、ご質問にお答えし、皆さんに薬を手渡す。これが薬局の基本的な機能

私も、毎月子ども達の健康状態を見てもらいに小児科へ受診していますが、受診後に軟膏などを処方してもらうために、隣の薬局へ行っています。

その際、確かに上記のように説明を受けてから薬をもらっています。

これは、どこの薬局でも同じです。

健康サポート薬局は、さらに「いつでも気軽に立ち寄ってもらえることで、健康を常日頃からサポートしていく」こと。

つまり、地域の薬剤師をもっと活用してもらう目的で始められました。

  1. かかりつけ薬剤師・薬局の機能⇨薬に関するあらゆる相談に応じる。
  2. 健康サポート機能      ⇨薬以外の健康に関する相談にも応じる

この、2つの機能を兼ね揃えた薬局が「健康サポート薬局」ということになります。

具体的には、市販薬や健康食品に関する質問だけでなく介護や食事・栄養摂取についてに至るまで、気軽に相談できる薬局という位置付けになります。

それでは、どういった体制が必要になるのでしょうか?

厚生労働省:健康サポート薬局のあり方について(平成27年9月24日)より

 

健康サポート薬局の要件とは?

  1. 地域における連携体制の構築
  2. 薬剤師の資質確保
  3. 薬局の設備
  4. 薬局における表示
  5. 要指導医薬品等の取扱い
  6. 開局時間
  7. 健康相談・健康サポート

これらの要件(厚生労働省が定める一定の基準)をクリアすることで、都道府県知事に届出(H28年10月1日以降)を行った薬局だけが、「健康サポート薬局」として表示することができます。

この「表示」というのは、上記の「4.薬局における表示」のことですが、こちらのロゴマークを表示するなどして、健康サポート薬局である旨を分かりやすく表示しなくてはいけません。

また、「6.開局時間」の設定はこのようになっています。

(開局時間の設定)
平日の開局日には連続して開局(午前8時から午後7時までの時間帯に8時間以
上が望ましい)していること、さらに土日どちらかにも一定時間開局していること。

ちなみに、「3.設備要件」は薬局内にパーテーション等で区切られた相談窓口を設置していることが要件ですので、こちらの要件は比較的簡単に準備できると言えるでしょう。

それでは、肝心の「2.薬剤師の資質確保」についての要件はどうなっていると思いますか?

 

「薬剤師の資質確保」はどうなっているの?

(健康サポートに取り組む薬剤師の研修と人的要件)
一般用医薬品や健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言や健康の維持・増進に関する相談、適切な専門職種や関係機関への紹介等に関する研修を修了し、定の実務経験を有する薬剤師が常駐していること。

さらに具体的に調べていくと、日本薬剤師会・日本薬剤師研修センターが行う「健康サポート薬局研修」の要件ではこのようになっています。

「健康サポート薬局」となる場合には、厚生労働大臣が定める基準で規定される「常駐する薬剤師の資質に係る所定の研修」を修了し、薬局において薬剤師として5年以上の実務経験がある薬剤師が常駐する必要があり、届出にあたっては研修修了証の提出が必要

つまり、そもそも薬剤師として最低でも5年間の実務経験が必要になります。そして、その上で研修に合格する必要があります。

 

~ワンポイントアドバイス! コロナと健康サポート薬局~

コロナの影響により、人員や開店時間帯を始め健康サポート薬局としての要件を満たせなくなっても機能が麻痺しないように、「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた薬局及び医薬品の販売業に係る取扱いについて」が令和2年4月24日に厚生労働省が発表しています。

この中で、健康サポート薬局についても要件の縛りが緩和されています。

  1. 研修を修了した薬剤師が常駐できていない(出勤できない場合でも)差し支えがない。
  2. 開店時間を一時的に満たしていなくても差し支えない。

こういったことが、コロナ対策としてすでに指示されています。

さて、そんな健康サポート薬局ですが、東京都ではさらに先に進めることが「平成28年度 東京都薬事審議会 資料」により示されています。

 

東京都の健康サポート薬局はどうなっていくの?

東京都では、2025年までに全ての薬局を「かかりつけ薬局」と「健康サポート機能」そして「高度薬学管理機能」を組み合わせた薬局の将来像を打ち出しているようです。

 

  • 「かかりつけ薬局」

  1. 服薬情報の一元的・継続的把握
  2. 24時間対応・在宅対応
  3. 医療機関をはじめとする関係機関との連携

 

  • 健康サポート機能・・・地域住民による主体的な健康の維持・増進の支援

  • 高度薬学管理機能・・・抗がん剤等の薬学的管理

そして、2035年までには日常生活圏域でかかりつけ機能発揮が目標として掲げられています。

確かに、24時間自宅で健康状態が管理できればいいですが、少なくとも2020年7月時点では再当選した都知事のコロナ対策を見てみると、感染者の増加により外出自粛要請が引き続きだされていますね・・・

 

最後に

健康サポート薬局は、「より専門的に、より幅広い地域の人達の健康の相談場」としての広がりが期待されています。

勘違いしてはいけないことは、健康サポート薬局はあくまでも「地域住民の健康を支援する役割を担う一機関」ということです。

つまり、健康サポート薬局だけで全ての相談や支援を完結するわけではありません。そのため、健康サポート薬局には、必要な場合は他職種や関係機関へつないでいく機能があります。

さて、コロナ禍の現状を見れば、さらにこういった薬局の需要は広がることが予想されます。

ただ、夏場で感染者数が増加しているということは、冬場はさらに増加していくことが容易に想像できます。

もしも、再び緊急事態宣言がだされるような自体になれば、現状では健康スマート薬局の機能は麻痺してしまうことになるでしょう。

ですが、感染者数だけでなく、無症状の患者さんの割合などコロナ感染者の詳しい内訳などを知ることができれば、健康スマート薬局の需要はさらに拡大していくかもしれません。

 

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