腸内フローラ「善玉・悪玉・日和見菌」の常識がかわってきた!?

 

皆さんは、「腸内フローラ」という言葉をご存じでしょうか?

人間は、菌と共存することで生きていくことができます。今回は、「腸内フローラ」についてご紹介します。

 

「腸内フローラ」ってなに?

そもそも人間の腸内にはどれだけの細菌が生息しているかご存じでしょうか?

答え.約1,000種1,000兆個以上!

誰がどうやって計算したのか分かりませんが、とてつもない数の細菌と私達は共存していることがわかります。

これらの細菌は、特に小腸から大腸にかけて生息しています。そして、驚くべきことにこれほどたくさんの種類・数があるにも関わらず、これらの細菌はそれぞれバランスを取りながら腸内環境を良い状態に保っています。

 

◎名前の由来◎

さて、これだけの数の細菌がいる腸を電子顕微鏡で確認すると、植物が群生しているように見えます。

flora=お花畑

つまり、腸内に住む細菌群がお花畑に見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。

*重さにすると約1.5kg(「約1.5kgの細菌がいる!」といわれると気持ち悪いですね・・・)

→つまり、このたくさんの腸内フローラの働きが私達を助けてくれています。

 

腸内フローラには、どんな役割があるの?

そもそも、腸内フローラは指紋のように「同じ腸内フローラを持つ人は存在しない!」とされています。

 

◎「デブ菌」と「ヤセ菌」◎

例えば、「痩せやすい人」・「太りやすい人」がいますよね。

ワシントン大学の研究によれば、「腸内フローラが関わっている!」といわれています。いわゆる、「デブ菌」「やせ菌」という名前を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?

腸内細菌には、この「デブ菌」「やせ菌」がいて太ったマウスの「デブ菌」を痩せたマウスに移植する実験をしたところ、「痩せたマウスも太りやすくなった」という結果が発表されました。

このように、腸内フローラによって人間の体はコントロールされています。

 

◎腸内フローラの働き◎

腸内フローラの役割を大きく分けると・・・

  1. 消化できない食べ物を体に良い栄養物質へ作りかえる。
  2. 腸内の免疫細胞を活性化し、病原体菌などから体を守る。
  3. 腸内フローラのバランスを保ち、健康を維持する。

このように、腸内フローラがあるおかげで私達は生きていくことができます。ただし、腸内フローラのバランスは、私達人間のような関係性に似ているようです・・・

 

腸内細菌のバランスは崩れる!

それぞれ腸内フローラは違いますが、「腸内細菌」の分類はこのようになっています。

 

善玉菌(有用菌)

私達の体に良い働きをする細菌。

  • ビフィズス菌
  • 乳酸菌
  • フェーカリス菌
  • アシドフィルス菌

など。

悪玉菌の侵入や増殖を防いだり腸の運動を促すことで、お腹の調子を整えてくれています。

 

悪玉菌(腐敗菌)

私達の体に悪い働きをする細菌。便秘や下痢など、お腹の調子が悪くなることもあります。

  • ブドウ球菌
  • ベーヨネラ
  • クロストリジウム
  • ウェルシュ菌

など。

腸内の中を腐らせたり有毒物質を作る細菌です。

 

日和見菌(ひよりみきん)

善玉・悪玉ともいえませんが、体調が崩れたときに悪玉菌として働く細菌。

  • 大腸菌
  • バクテロイデス

など。

→善玉菌・悪玉菌の、多い(優勢な)方に味方する細菌です。

「優勢な方に付く」というのは、なんとも人間らしい細菌ですね・・・

 

◎悪玉菌は必要ない?◎

ちなみに、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7の割合になることが理想的だとされています。

普通に考えれば、「体にとって害をなす悪玉菌はいらない!」となりそうですが、実はそう単純なはなしでもありません。

私達の社会もそうですが、様々な人が集まって集団生活をしています。「全ての人にとって良い人」はいませんし、逆に「全ての人に害をなす人」という人もいません。


「悪玉菌」も同じです。

そもそも、悪玉菌が常に害を及ぼすわけではなく、消化・吸収を助けたり免疫機能を高めるといった機能も果たしています。

*「船頭多くして船山を登る」ということわざがあるように、リーダーばかりでは方向性が定まらないし、事なかれ主義ばかりではなにも進まないし・・・

→人間と同じように、まさに役割分担の割合が重要だということになります。

 

「善玉菌」・「悪玉菌」と分けることがそもそも難しい?

科学の進歩により、細菌について少しずつ分かってきました。

例えば、「善玉菌」の中にも怠け者がいたり「悪玉菌」や「日和見菌」の中にもよい働きをする菌がいることが分かってきました。

ちなみに、先程「2:1:7の割合が腸内フローラにとって良好だ」とお伝えしましたが、人それぞれ腸内フローラは違います。つまり、この割合も絶対的な割合ではないことが分かってきました。

また、「あなた」の「私」の腸内フローラは長い年月(人生)をかけて構成されてきました。そのため、サプリメントや乳酸菌といった「外来の菌」をいきなり摂取しても生存競争で負けてしまいます。

つまり、生活習慣を変えることが必要になってきます。

 

◎腸内フローラを改善したいなら・・・◎

腸内細菌は、私達が食べたものを餌にして生きています。細菌も生き物ですので当然といえば当然ですよね。

つまり、「健康に良い働きをする腸内細菌が好む食べ物を食べ続ける」ことで改善できることが分かってきました。

 

最後に

科学の進歩により、これまで分からなかったことも少しずつ解明されてきました。解明されていくということは、常識が裏付けられたり、逆にくつがえっていきます。

そして、腸内フローラが解明されていけば、個人にあった生活改善のアドバイスが科学的に、医学的にできることを意味します。

つまり、これまでのように「みんなと同じサプリメント」ではなく、「あなたにあったサプリメント」などを提供することができるようになります。

腸内フローラは、それぞれ違います。そのため、同じやり方で改善するにはそもそも無理があります。今後、もっと科学が進めば、「あなた用」の腸内フローラ改善計画を立てることができるかもしれませんね。


参考

大正製薬ホールディングスグループ
https://www.biofermin.co.jp/nyusankin/chonaiflora/aboutchoflora/

光英科学研究所
https://www.koei-science.com/gutstory/gut-flora/

オムロン
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/146.html

 

 

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