「溶連菌(ようれんきん)」という言葉を聞いたことがある人もたくさんいらっしゃるかと思います。
代表的な子どもの病気として認識されていますが、実は大人にもかかります。
今回は、知らないと怖い「溶連菌」についてご紹介します。
溶連菌とは?
溶連菌は、「溶血性連鎖球菌」と呼ばれる細菌。
また、ごくありふれた菌で大人の喉や皮膚にも当たり前のように害なく存在しています。
ですが、子どもは免疫力が弱く溶連菌に感染してしまいます。
溶連菌感染症は、基本的には子どもに多い喉の病気ですが、合併症を引き起こすこともある実は怖い病気です。
おもに喉に感染して咽頭炎や扁桃炎、小さく紅い発疹を伴う猩紅熱(しょうこうねつ)といった病気を引き起こします。
一般的には、2歳~10歳の子どもに感染しやすいですが大人にも感染します。
そのため、兄弟や子育て中のママさんパパさんに感染するリスクが高く症状から、風邪やインフルエンザと間違えることもあります。
*子どもが溶連菌感染症にかかると、少なくとも受診日とその次の日は出席停止を求められています。
と、ここまでは知っている方も多いかもしれません。
そしてこの溶連菌は、劇症型になると「人食いバクテリア」と呼ばれることもあります。
人食いバクテリアってなに?
正式な病名は、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」略して、「劇症型溶連菌感染症」と呼ばれます。
つまり、劇症型(突発的に発症し急激に進行する)で発生する溶連菌による感染症ということです。
そもそも溶連菌といっても、20種類以上存在しています。
大きく分けると、α溶液とβ溶液の2種類があります。
その中でも、人に感染するのはβ溶液であることが分っています。
そして、β溶液のなかでさらにA群・B群・C群・G群といった具合に分かれています。
ただ、なぜこれらβ溶液が劇症型になるかは分っていません。
健康な状態なら血中に溶連菌がはいっても白血球が退治します。
ですが、免疫力が負けてしまうと血液中に溶連菌がどんどん増殖してしまいます。
溶連菌のだす毒素により、最終的には多臓器不全におちいり亡くなってしまうこともあります。
人食いバクテリアの特徴は?
《誰が発症してもおかしくありません》
というのも、高齢者や糖尿病、がん患者、外傷、熱症、出産後などなど・・・免疫力が低下している人を始め、過労、ストレス、大量の飲酒や喫煙もその発症リスクに挙げられているからです。
《病気の症状は?》
⑴腕や脚に痛みが起こる。
初期症状では、風邪のような症状(咽頭痛・発熱・吐き気・嘔吐・下痢・倦怠感など)がありますが、ないこともあります。
→患者さんの約1割に全身性紅斑が見られます。
⑵壊死性筋膜炎(組織の壊死)や、筋炎(手足など体の筋肉に原因不明の炎症)といった軟部組織病変が起こります。
他にも、低血圧、ショック、呼吸不全や肝障害、腎障害などをきたし多臓器不全に陥ります。
→たったの24時間で多臓器不全に至るスピードと致死率約30%であることからおそれられている病気です。
分ってないこともたくさん!?
患者さんは、年間約400人と非常に少ないため子どもが溶連菌感染症になったからといって必ずしも恐れる必要はありません。
また、「どういう方がなぜなりやすいのか?」「なにに気をつけたらいいのか?」「感染経路」などよく分らないこともたくさんあります。
ただ、手足に赤みを持った痛みが続いたり傷口が化膿して熱を持ってくるといった症状が出たらすぐに病院へ行った方がよさそうです。
人食いバクテリアは、5類感染症
感染症法で義務づけられています。
5類感染症は、国が感染症発生動向調査をおこないます。
そして、その結果等に基づいて必要な情報を国民や医療関係者等に提供・公開していくことで、発生・拡大を防止すべき感染症とされています。
*都道府県保健所に7日以内に届け出る必要があります。
早急に医療機関への受診が必要
- 全身管理
- 適切な抗菌薬の投与
- 場合によっては、早急な壊死組織の切除や手足の切断といった外科的処置が必要になります。
*とにかく、早期発見がなによりも大事になります。
まとめ
- 溶連菌は子どもがよくかかる感染症の1つ。
- 人食いバクテリアと呼ばれる「劇症方溶連菌感染症」になると、致死率が約30%。
- 人食いバクテリアに感染するのは年間約400人ほどなため、必要以上に溶連菌にたいして恐れる必要はないが、症状には注意する。
参考
感染症 TODAY
→http://medical.radionikkei.jp/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-170719.pdf
株式会社 ミズホメディー
→https://www.mizuho-m.co.jp/information/oyakudachi/strep/strep.html
週刊現代
→https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52284
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