運動器が障害? ロコモは高齢者だけの問題じゃなかった!?

 

「人生100年時代」とも言われていますが、いつまでも元気にいられるとは限りません。

実際、日本人の平均寿命は80歳に達し100歳まで生きることは珍しくなくなりました。

厚生労働省が発表した令和元年簡易生命表より・・・

  • 男性:81.41歳
  • 女性:87.45際

これが、男女別の平均寿命になっています。

ただ、寝たきりの状態で長生きをするよりも元気に長生きできた方がいいですよね。

今回は、そんな「長生きの天敵:ロコモ」についてご紹介します。

 

「ロコモ」ってなに?

まだまだ、聞き慣れない言葉かもしれません。

さて、「ロコモ」とはロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)のことで、運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態のことをいいます。

  • 移動(locomotion:ロコモーション)
  • 移動するための能力(locomotive:ロコモティブ)

から、作られた言葉です。

→2007年に日本整形外科学会により新しく提唱された概念で、日本語では「運動器症候群」と呼ばれています。

つまり、「運動器の障害がロコモ(ロコモティブシンドローム)ということになります。

それでは、そもそも運動器とはなんなのでしょうか?

 

「運動器」と「平均寿命」の関係?

そもそも、運動器というのは身体を動かすために関わる組織や器官のことで、「骨・筋肉・関節・靱帯・腱・神経」などから構成されています。

さて、冒頭でお伝えしたように男女とも平均寿命は80歳を越えました。そして、特に女性は90歳まで生きることが当たり前になってきました。

ところが、運動器が障害を引き起こす「ロコモ」になってしまえば、転倒や骨折などのリスクが高まり要介護になりやすくなります。

そのため、平均寿命を延ばすだけでなく元気に生活するためにロコモを防ぐ必要があります。

それでは、そもそも「運動器の障害」にはどういったものがあるかご存じでしょうか?

 

2つの運動器の障害

そもそも、運動器の障害原因は「運動器の疾患」「加齢に伴う運動器の低下」があります。それでは、運動器の障害を引き起こす「疾患と老化」について見ていきしょう。

Pavlofox / Pixabay

 

運動器の疾患

  • 変形性膝関節症
  • 骨粗鬆症
  • 関節リウマチ
  • 変形性脊髄症
  • 背柱管狭窄症
  • 骨折
  • 四肢・体幹の麻痺
  • 腰痛
  • 肩こり

などが、挙げられます。

 

 

加齢に伴う運動器の機能低下

  • 四肢・体幹の筋力低下
  • 体力・全身耐久性の低下
  • 筋短縮や筋萎縮による関節可動式制限
  • 関節や筋の痛み

などが挙げられます。

ただ、「運動器の疾患」も老化が原因になることが多いため、ロコモは高齢者にとって重要な視点となります。

とはいえ、「ロコモ」は高齢者だけに引き起こされる運動器の障害ではありません。

 

若者にも「ロコモ」?

以前の記事でも、子ども達の「転倒の増加」「しゃがむ姿勢がとれない」といった状況が続いており、平成28年度からは学校検診に「運動器検診」が追加されています。

つまり、「ロコモ」は子ども達にとっても他人事ではありません。

 

例えば、運動機能不全の子どもの状況が以下のように示されています。

  • 雑巾がけできない
  • 倒立できない、倒立する子を支えられない
  • よくこける
  • ボール投げができない
  • 転んだ時、手をつけずに顔面を打ってしまう
  • 朝礼で立っていられない
  • 足がすぐつってしまう

など、私が子どもの頃には当たり前にできていたことができない子ども達が増加している例が挙げられていました。

 

「運動機能の高齢化」については、こちらの記事で紹介しています。

運動機能が高齢化していく現代の子どもたち ~運動機能検診が始まっています~

それでは、ロコモを予防するためになにができるのでしょうか?

 

ロコモは予防できる?

「運動機能の障害」がもしも筋力などの低下が原因なら、「動かせばいい!」と思いますよね。

確かに、間違ってはいません。

ただ、運動器の機能は「適度に使えば発達し、使わなければ衰える、過度に使い過ぎると傷害を起こす。」と言われています。

これは、若い人であってもしばらく入院して寝たきり状態になってしまうと、歩けなくなってしまうことからも分かるのではないでしょうか?

もしも、過度にリハビリを実施してしまえば、例えば靱帯を損傷してしまう危険性などがあるため、無理は禁物です。


まずは、7つの「ロコモチェック」で運動器が衰えていないか確認して見て下さい。

  1. 片足立ちで靴下がはけない
  2. 家の中で「つまづく」・「すべる」
  3. 階段をも乗るのに手すりが必要
  4. 家のやや思い仕事が困難
  5. 2kg程度の買い物をして持ち帰ることが困難
  6. 15分くらい続けて歩くことができない
  7. 横断歩道を青信号でわたりきれない

つまり、日常生活に支障が出ているレベルですが、1つでも当てはまれば「ロコモ」を疑うことになります。

ちなみに、机などを使って安全に「片足立ち」や「スクワット」によりロコモ予防が進められています。

特に、高齢者は無理をしてさらに運動機能の障害が引き起こされる可能性が高いため転倒しないように安全確保をした上でのロコモ予防が重要になってきます。

 

ちなみに、ロコモの判断は3つのテストで判定されることになります。

  • 立ち上がりテスト・・・片脚または両脚でどれくらいの高さの台から立ち上がれるかを測る
  • 2ステップテスト・・・できるだけ大股で2歩歩いた距離を測る
  • ロコモ25    ・・・運動器の不調に関する25の質問に答える

ロコモテストについては、こちらの動画で紹介されています。

「ロコモ」は身近にあり、私達の日常生活の結果がダイレクトに現われます。

当てはまったら、日々の生活を改善しないとせっかくの長生きができても、動けない状態で過ごすことになるかもしれません。

 

最後に

私達の生活は、今もどんどん便利になり続けています。

これは、同じ年齢でも10年前に生きていた人達よりも今の私達は便利になった分だけ、確実に能力が落ちていることを意味します。

同じように、10年前の人は20年前に生きていた人達よりも、能力が落ちていることになります。

例えば、戦時中に生きていた人達の生活は、今の私達には無理でしょう。

これは、電話番号や地図を覚えられなくなったことを考えれば分かるのではないでしょうか?

必要性がなくなれば、人間はどんどん退化していきます。このように、人間は善くも悪くも今の生活水準に調整されていきます。

ただ、あまりにそれが進んでしまうと「ロコモ」という問題が引き起こされることになります。

こういったことから、自分がいきていくための運動器の機能は、死ぬまで維持する必要があることが理解できるのではないでしょうか?


参考

公益財団法人 長寿科学振興財団:ロコモティブシンドロームとは
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/locomotive-syndrome/about.html

公立学校共済組合:~ 「まだ若いから関係ない?」 若いうちから運動を! ~
https://www.kouritu.or.jp/kanagawa/content/files/about/kanko/kankoubutu9/249-2-3.pdf

 

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