●この記事では、有毒植物の被害について説明しています。
以前、コロナの影響で登山客の増加が話題になりました。
ところで、山に行かなくても外に出れば「ヨモギ」や「ギンナン」など、季節によって食べられる植物がたくさんありますよね。
その反面、毎年のように有毒植物による食中毒が発生していることをご存じでしょうか?
今回は、厚生労働省も注意喚起している「食用と確実に判断できない植物は、採らない・食べない・売らない・人にあげない!」ついて紹介します。
自然界の有毒植物?
そもそも、家庭菜園でもしていないと、なかなか自分で育てた植物を食べる機会は、少ないのではないでしょうか?
我が家の場合なら、1回きりですが、買ってきた「豆苗」や「ネギ」の根っこを再度成長させています。
ただ、この方法も自分で植物を摘んできたわけではなく、販売されている物を再度成長させているだけです。
また、「売られている種」を育てる場合も同様に、どんな野菜が育つか分かって育てることになりますよね。
このように、「市販の種」や「購入した野菜を再度育てる」分には、「食用と確実に判断できる!」といえるでしょう。
ただ、食用と確実に分かっていても後述しますがジャガイモのように注意は必要ですし、そもそも山菜とりなどに行って誤って有毒な野草を採取してしまう場合もあります。
しかも、これは毎年引き起こされています・・・
有毒植物で食中毒は珍しくない!?
厚生労働省が、平成22年~令和元年までの10年間の発生件数を発表しています。
- 事件数:190件
- 患者数:793人
- 死亡数:14人
このようになっています。
もちろん、把握されているだけでこの人数ですので、事件数はもっと多いでしょう。
まず、注目したいのは10年間で発生した全体の有毒植物による事件数:190件(毎年平均:19件)にも関わらず、患者数がその4倍以上もある点です。
つまり、本人だけでなく家族・友人など複数人の人が巻き込まれていることが分かります。
そして、14人の方が10年間ですでに亡くなられています。(平均すると年間約1人亡くなっている)
それでは、この10年間でどんな有毒植物による被害が多かったのでしょうか?
10年間で被害が多かった有毒植物!
事件数が最も多かった有毒植物
皆さんは、「スイセン」と聞いてどんな植物かイメージできるのではないでしょうか?
公園や広場などだけでなく、自生していることもあります。
園芸用に使われるなど、丁度、今の時期(秋~冬にかけて)、白や黄色の花を咲かせる物が多いですよね。
なぜ、突然スイセンの話しをしたかと言えば、実は10年間で最も事件数が多かった有毒植物はこの「スイセン」だったためです。
さらに言えば、死者も1人出ています。
→スイセン:事件数57件(患者数:195名)
写真のように、花が咲いていればさすがに間違われる可能性は低いでしょう。
実際は、葉:「ニラ」と間違えられたり、球根:「タマネギ」に間違えられたりしています。
*葉・鱗茎(りんけい:球根のこと)には、毒がある・
症状は?
食後30分以内に・・・
- 吐き気
- 嘔吐
- 頭痛
- 悪心
- 下痢
- 発汗
- 昏睡
- 低体温
といった症状が現われるため、命に関わります。
それでは、10年間で「患者数が最も多かった有毒植物」はなんだったと思いますか?
患者数が最も多かった有毒植物
患者数が最も多かった有毒植物は、カレーに必ずと言っていいほど入っている野菜です。
→ジャガイモ:事件数21件(患者数:327件)
10年間に発生した有毒植物による患者の4割以上が、このジャガイモが原因でした。ジャガイモの食中毒は以前の記事でも紹介していますが、「ソラニン中毒」が有名ですよね。
基本的には、「皮が緑」になっていたり、「芽が出たり」した物は有毒で注意が必要です。(芽の付け根:有毒)
→最悪、死にいたることもあるが10年間では幸い誰も亡くなっていない。
冒頭で紹介したように、まさにジャガイモは「食用と分かっている最も危険な野菜」といえるでしょう。
*ジャガイモの場合は、他の植物との間違えではなく「保存の仕方」や「食べ方」の問題。
→「ジャガイモの有毒性」については、こちらの記事でも紹介しています。
それでは、「10年間で多くの人の命を奪った有毒植物」とはなんなのでしょうか?
亡くなってしまった人が最も多かった有毒植物とは?
実は、10年間で最も多くの人の命を奪ったのは「イヌサフラン」というユリ科の植物でした。
→イヌサフラン:事件数15件(患者数:22人)
先程紹介した「事件数」や「患者数」が多かったスイセンやジャガイモと比べても、被害者は少ないことが分かります。
ところが、死者数は10人になっています。
つまり、10年間で有毒植物による亡くなられた人の7割以上が、この「イヌサフラン」が原因でした。
さらに言えば、患者数22人のうち10人が亡くなられているため、約半数がイヌサフランが原因で亡くなっていることになります。
特徴は?
イヌサフランは、「ギボウシ、ギョウジャニンニク、ジャガイモ、タマネギ」に間違われることが多いのですが、間違えると大変なことになります。
実は、イヌサフランは「葉・花・球根どれも強毒」で、さらに言えば日本各地で観賞用として栽培されています。
有毒植物で死者がでた最後の植物は?
10年間で亡くなられた有毒植物は、「スイセン・イヌサフラン」だけでなく、最後の1つは「トリカブト」でした。
「トリカブト」といえば、毒薬として時代劇などでも登場しますよね。実際、「茎・葉・花・球根のどれもが強毒」で、食べることはできません。
→トリカブト:事件数9件(患者数:17件)
トリカブトにより、10年間で3名が亡くなられています。
他にも、「ユウガオ」や「ヒガンバナ」など10年間で食中毒が発生した有毒植物はたくさんあるため、注意が必要です。
最後に
老後などに、「家庭菜園を始めよう!」と考えている人もいるかもしれません。ただ、命にかかわる有毒植物が身の回りにはたくさんあります。
よくやってしまいそうなのが、野菜と観葉植物を一緒に栽培することです。
また、山菜を採る場合でも、有毒植物が混じっていることもあります。そのため、調理前には必ず1つずつ確認してから調理するようにして下さい。
もしも、野草を食べて体長不良になればすぐに診察に行く必要があります。どちらにしても、素人が安易に野草などに手を出す行為は危険だと言えるでしょう。
また、ニュースにもなっていますが知人などから野草をもらったときも注意が必要です。
食べる前に、間違いやすい有毒植物はないか調べた方がいいかもしれません。
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