金属アレルギーは「食事」でも発症? 「接触皮膚炎」と「全身性金属皮膚炎」

 

皆さんは、「金属アレルギー」と聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか?

アクセサリーなどをする大人の病気?

ピアスなどで耳に穴を開けなければ関係ない?

それじゃあ、なぜ子どもに金属アレルギーが起こると思いますか?

今回は、「全ての人に関係している金属アレルギー」についてご紹介します。

 

そもそも「金属アレルギー」ってなに?

金属アレルギーは、ある種の金属が原因となりアレルギー症状が発病します。

その金属に接触することで、2~3日してから金属が「接触している部位」や「接触とは無関係の顔・胸・腹・腕・足」に蕁麻疹(じんましん)や湿疹を引き起こします。

ただ、「金属自体がアレルギーを起こす!」と言うことではありません。

何かしらの理由でイオン化して体内に取り込まれることでアレルギーを誘発してしまいます。

  1. 汗や体液により、微量の金属が溶け出す。
  2. 溶け出しイオン化した金属が体内に入り込む。
  3. 体内で異物として認識され、「抗体」が作られる。
  4. 再び同じ金属が肌に触れる(体内に入る)と拒絶反応を引き起こす。
  5. 異物を外に出そうと、「炎症」や「かぶれ」が引き起こされる。

ただ、金属アレルギーには二つのタイプがあり混同しないようにする必要があります。

 

金属アレルギーの種類

《接触皮膚炎》

「金属アレルギー!」と聞くと多くの人がイメージする金属アレルギーです。

金属が直接的に触れた部位に起こる金属アレルギーです。

例えば、アクセサリーなどの金属を身につけたときに触れた部位やその周辺に「赤み」や「痒み」が生じます。

hannahalkadi / Pixabay

 

《全身性金属皮膚炎》

  • 歯科治療で使用された銀歯などの金属
  • 食品に含まれる金属

こういった金属が口の中の粘膜や消化管を経由して体内に入ることで、全身に起こる金属アレルギー。

 

~症状~

  1. 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)・・・手足に膿が出る。
  2. 汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん) ・・・手足に水ぶくれができる。

jarmoluk / Pixabay

ただ、金属にはさまざまな種類があります。

 

「金属」とひと言でいっても種類は豊富!

「金属」とひと言でいっても、さまざまな種類があります。

そして、アレルギーを引き起こしやすい金属もあれば引き起こしにくい金属もあります。

  1. チタン
  2. 金・銀・プラチナ
  3. 亜鉛・マガジン・銅
  4. ニッケル・コバルト・クロム

さて、1~4の分類でアレルギーを引き起こしにくい金属を上から順番に並べてみました。

つまり、チタンが最もアレルギーを引き起こしにくい金属で、ニッケル・コバルト・クロムといった金属は、アレルギーを引き起こしやすいということになります。


ですが、そもそも一つの金属だけで作られている物ってほとんどないですよね・・・

例えば・・・

  • 家庭用品の多くは、色合いを良くしている。
  • 耐腐食性をもたせるために、「メッキ」という多重金属の表面加工が施されている。

当然、ジュエリーにも同じことが言えます。

まさか、100%純金のネックレスや指輪なんて、ほとんどの人が持ってないですよね・・・

ところで、冒頭で「なにかしらの理由で、イオン化して体内に取り込まれることでアレルギーを誘発する」と説明しましたよね。

これは例えば、口のなかでも引き起こされます。

 

食べ物で金属アレルギー?

口の中は、金属がイオン化しやすい!

  • プラークや唾液には金属を腐食させる物質が存在している。
  • 飲食物によりpHや湿度が激しく変化する。
  • 噛むことで金属がイオン化する。

 

さて、このように書くとまるで「私達は金属を普段から食べている!?」と思うかもしれません。実際、先程の「全身性皮膚炎」の紹介でも、歯科治療で使われる銀歯などだけではなく、「食品」をあげています。

実は、そのまさかです。もちろん、口の中の「詰め物」や「覆せ物」も金属アレルギーの原因になりえまが・・・

ただ、それだけではなく食品により金属アレルギーが引き起こされます。

というのも、ほとんどの食物にはそもそも金属が含まれています。

Films42 / Pixabay

 

《パッチテストと内服テスト》

普通、「アレルギー」といえば、パッチテストで簡単に調べることができます。

例えば、お酒が弱い人もこのパッチテストで分かります。

パッチテストとは、簡単に言えば調べたい成分を皮膚に塗布し、その後の皮膚の変化(反応)をみてアレルギーの有無を見るための検査です。

ですが、このパッチテストが陰性(反応がなくアレルギーではなかった)としても、内服テスト(摂取)をすると陽性(反応がありアレルギーがある)の場合があります。

例えば、ニッケル・コバルト・クロムは金属アレルギーになりやすい金属ですが、これらはチョコレート・ココア・豆類・香辛料・貝類・胚芽(はいが:成長して芽になる部分)などに多く含まれています。

つまり、金属アレルギーは食べ物により発症することもあると言うことです。

 

金属アレルギーの特徴は?

  • 金属アレルギーのほとんどは、大人になってから発症する。
  • 金属アレルギーは、ゆっくり進行する。
  • 遺伝しない。
  • 一度発症すると完治しない。
  • 金属アレルギーの多くは、子どものうちから金属に接していくことでアレルギー体質になってしまう。
  • どんな金属であれ、アレルギーを引き起こす可能性がある。

などなど、このように金属アレルギーにはさまざまな特徴があります。そもそも、「金属アレルギー」と「食べ物アレルギー」を勘違いしてしまうこともあるため検査は必須です。

例えば、チョコレートを食べるとニッケルにより顔が赤くなる子どもがいます。

それでは最後に、ピアスの危険性についてご紹介します。

 

ピアスは注意が必要!

アレルギーが最も引き起こされやすい状態は、「ピアスを初めて付ける時」だと言われます。

というのも、ピアスは皮膚を貫いて皮下組織に直接金属が接するため、拒絶反応が引き起こされやすくなるためです。

また、痒みを放っておけばどんどん拒絶反応は強くなる可能性があり危険です。

なんの知識もなく(自分のアレルギー体質すら知らない状態)で、興味本位で行なうにはあまりにもリスキーな行為です。

せめて「消毒しすぎないようにする」とか、「アレルギーを起こしにくい素材を選ぶ」とか必要最低限なことは調べてからにして下さいね。

一生、金属アレルギーで悩むことになりかねません・・・

例えば、友達に誘われて耳に穴を適当に開けてその後悩むのは、あなただけの責任(自己責任)です。

 

最後に

金属はいたる所にあり、金属なしの生活は不可能です。

そもそも、ほとんどの食べ物に「金属」は含まれています。というより、例えばカルシウムも金属の一つです。つまり、「金属は栄養素の一つ」と考えれば分かりやすいかもしれません。

さて、金属アレルギーは、「夏場」や「汗をよくかく人」ほど金属が汗に溶け出してしまいます。(汗は酸性→金属は酸に弱い)

つまり、身につけた金属が汗に溶け出し、体内に入り込むことで発症する場合です。こういった「接触性皮膚炎」の場合は、そもそもアクセサリーをしないか、アレルギーがでない金属に換えれば対処できます。

ですが、「全身性金属皮膚炎」の場合は、食品に含まれる金属も原因となります。

その食品を完全に避けることは難しいため、可能な限り制限していくしかありません。

いかがでしたでしょうか?

私達は普段から金属に囲まれ、食事からも摂取しています。

金属アレルギーは約10人に1人と言われますが、急増しているアレルギーでもあります。

子どもの場合なら、小児科でも診てもらえるため気になることがあれば、ぜひ相談してみて下さいね!


参考

赤羽歯科
https://www.akabaneshika.or.jp/topics/2015/08/19/02/

中川駅前歯科クリニック
http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-101-2.html

ゆたか倶楽部
https://www.d-yutaka.co.jp/blog/health_and_beauty/health_info201807/

アミダモール:金属アレルギーについて|症状や原因、対処法など
http://www.amidamour.net/shop/index.php?main_page=page&id=4#04

 

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