緊急事態宣言が、5月いっぱいまで延長されることとなりましたよね。ただ、様子をみながら早めに解除される場合もあるようですが・・・
とはいえ、家に閉じこもっていては心身共に病気になってしまうため、必要最低限の外出は絶対に必要となります。
ただ、最近では「私刑」がおこなわれることもあるようです。
今回は、「新型インフルエンザ等感染症特別措置法における外出自粛の意味」についてご紹介します。
そもそも、外出自粛の範囲は?
そもそも、現在の外出自粛の協力要請は、新型インフルエンザ等対策特別措置法により実施されています。
さて、同法の第45条 第1項はこのようになっています。
特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。
とあります。
→特定都道府県知事というのは、「その区域の全部又は一部が特措法第2条第3号に定める新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき区域内にある市町村の属する都道府県の知事」のことです。
つまり、特定都道府県知事とは新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言が出されるまで、対象区域となっている市町村の都道府県知事ということになります。
例えば、2020年5月7日時点でも延長されたため全国に緊急事態宣言が発令されていますが、特定警戒都道府県は13都道府県のみとなっています。
つまり、特定都道府県知事に該当するのは、以下の13都道府県と言うことになります。
①東京都 ②埼玉県 ③千葉県 ④神奈川県 ⑤大阪府 ⑥兵庫県 ⑦福岡県 ⑧北海道
⑨茨城県 ⑩石川県 ⑪岐阜県 ⑫愛知県 ⑬京都府
*特別警戒都道府県の対象になっていない34県では、休業要請の緩和が実施されている自治体もでてきています。
→政府の基本的方針が改定され、「地域の実情に応じて判断する」とされたため。
さて、「生活の維持に必要な場合」であれば外出してもいいため、例えば「買い物」や「通院」などは生活の維持に必要なためもちろん問題ありません。
このように書くと、まるでそれ以外は禁止事項のように思うかもしれませんが、そもそも「要請」であって「命令」ではないため罰則もありません。
*ちなみに、「要請」や「指示」には法的強制力はありませしが、指示を破ればパチンコ店のように業者名が公表されます。
そして、「命令」は法律を実施するために制定される「法規」のこととなるため、国民の権利を制限したり、国民の義務が発生することになります。
私達が注目すべきは、「自粛指示」でもなければ「自粛命令」でもなく「自粛要請」である点です。混同しないようにご注意下さい!
→ちなみに、同法での罰則はこれだけです。
第七十六条 第五十五条第三項の規定による特定都道府県知事の命令又は同条第四項の規定による指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長の命令に従わず、特定物資を隠匿し、損壊し、廃棄し、又は搬出した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。第七十七条 第七十二条第一項若しくは第二項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。第七十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
つまり、今回で言えば・・・
- 例えば、マスクのように「特定の物資」を不当に扱ってはならないこと。
- さらに、その「特定の物資」を保管した建物に職員が検査のための立入りを拒んだり、職員が特定物資の検査内容を正確に報告しないこと。
- そして、違反した場合はその行為者だけでなく法人なども罰せられること。
罰則の説明が長くなりましたが、つまり特定物資の取扱いに対する罰則のみと言うことになります。
そのため、そもそも理由もなく外出制限を直接個人に命令できるような人権侵害行為は、同法では許可されていません。
新型インフルエンザ等対策特別措置法でできること
新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する質疑応答集によると、個人に対して同法でできることは、本来はこれだけです。
これらの措置について、国民が要請等に従わない場合、感染拡大防止等のため必要な措置であることについて丁寧に説明し、理解を求めた上で、要請等に従ってもらうよう対応をお願いしたい。
さらに、そもそもの話しですが例えば具体的な休業要請やその中身は、各都道府県知事が決めることになります。
どういうことかというと、政府がすることは基本的に対象となる各都道府県に対して緊急事態宣言を出したり、その大枠(ガイドラインなど)を出すことです。
それを受けて、各都道府県がそれぞれの対策(外出規制や休業要請などのさらに具体的な内容を決める)を講じていくことになります。
そのため、大枠はあるため基本部分は同じですが、それ以外の裁量は都道府県に任されています。
さらに言えば、例えば外出自粛の制限が具体的にいつ解除されるかについてさえ、各都道府県の裁量に任されています。
少し分かりづらくなってしまいましたが、つまり緊急事態宣言を出すのは首相の権限。一方、「外出自粛」や「休業要請」など具体的な行動を取る権限は都道府県知事の権限となっています。
ニュース報道で、都道府県によって対応がバラバラに見えるのは、本当にバラバラだからです。
→都道府県によって、「感染者数」も「重傷者数」も「病床数」も「人口」も「財政面」も、本当に多くのことが違うため、それぞれの裁量に任せることは必要だとは思います。
とはいえ、基本的に様子をみながら対策を進めていくため、あまり飛び出したやり方は基本的にしないでしょう。
ただ、そんな中、例えば大阪府の吉村知事は「休業要請支援金(仮称)を交付する!」と表明して目立っていましたよね・・・
*今、都道府県知事がすることは借金(今はマイナス金利でかなり有利)してでもお金を引っ張ってくることでしょう。
最後に
今回の記事は、「緊急事態宣言に従わなくてもいい!」と言いたいわけではありません。
確かに、新型コロナウイルスの危険性については、インフルエンザと比較するとどうしても疑問が残る部分がありますが・・・
ただ、自粛要請に不満がある人なのかは分かりませんが、様々な問題が発生してきています。
例えば、「自粛警察」なんて言葉まであります。
自粛警察というのは、感染した人をおとしめたり、繁華街を訪れた人をおとしめたりと、いわゆる「私刑」を行う人達です。
繰り返しますが、自粛要請を無視しても犯罪ではありません。
ちなみに私刑は、ただのリンチと同じで日本では認められていません。そもそも逮捕されるとすれば、私刑を実施した人達でしょう。
そして、具体的な要請のやり方を決めるのは、「あなた」ではなく「各都道府県の知事達」です。個人が、誰かに私刑を行う権利も義務もありません。くれぐれも、勘違いしないようにご注意下さい。
日本は、一応法治国家ですので法律に基づいて裁かれることになります。
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