赤外線で一瞬で測れる?皮膚赤外線体温計の使い方を間違えると・・・

 

「体温計」と聞くと、脇に挟むタイプの体温計を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

ただ、子どもが生まれると接触型体温計(脇で測るタイプ)では、体温が測り終わるまでしばらくじっとしていないといけませんよね・・・

ですが、例えば新生児をはじめ小さな子ども達は「嫌な物は嫌!」と言うことを聞いてくれません。

そんな時、「耳で2秒!」なんてフレーズがあるように、非接触型体温計ならあっという間に計り終えることができます。

ただし、子どもは逃げることがあるのでテレビなどで集中している間に測る必要はありますが・・・

今回はそんな、「非接触型の体温計」についてご紹介します。

 

「非接触型体温計」ってすごくない!?

記事の内容に入る前に、少しだけ私の体験をお伝えします。

高価でしたが、初めて非接触型の体温計を買ったときの私の感想は「これすごくない!?」でした。

子どもが産まれて、脇で測ることができずに悪戦苦闘していましたが、デコにかざしてボタンを押した瞬間に「ピッ!」で測れてしまいました。

少し困ったことはありましたが、子どもはすぐに熱を出すので、それから必需品となりました。

→困ったことについては、後述します。

さて、そんな非接触型体温計は「皮膚赤外線体温計」と呼ばれ、皮膚が放出した赤外線を測定して体温に変換しています。

「赤外線が・・・?」この時点で、ちょっと分かりにくいですよね。

それでは、赤外線の話しからしていきます。

 

そもそも赤外線は全ての物質が出している!?

全ての物質は、理論上「-273.15℃」

つまり、「絶対零度よりも高ければわずかに赤外線を出している」とされています。

→「絶対零度」というのは、それ以上冷やすことができない温度のことです。(分子の運動エネルギーがゼロの状態。つまり、ガチガチに凍っているイメージ)

これは、そもそも「温度」が分子の運動エネルギーをベースに定義したものだからです。

簡単に言えば、運動エネルギーが大きいほど温度は高くなり、逆に温度が小さいほど温度は低くなります。

運動エネルギーで例えるなら、「運動エネルギー0の時の温度が定義されえる限りの一番低い温度」ということになります。

つまり、私達人間も含めて基本的に全ての物質は赤外線を発生しており、その性質を利用しているため「赤外線体温計」という名前が付いています。

さらに、「皮膚の温度(赤外線)を測るための測定器」ということで、皮膚赤外線体温計というまさに名前通りの体温計です。

byrev / Pixabay

それでは、どれくらい正確に測れるのでしょうか?

 

皮膚赤外線体温計は正確に測れるの?

前述した、「困ったこと」が何度かありました。

あくまでも、私個人の経験からですが、あまり正確に体温が測れないイメージがありました。というのも、例えば「額(オデコ)」と一言でいっても範囲がありますよね・・・

例えば、「デコの右側部分で測ると36.3℃」・「デコの左側部分で測ると37.2℃」なんてこともありました。

ですが、実はこれ使い方が間違っていました・・・

 

正しい使い方?

そもそも、正しい使い方については説明書に記載されています。

  • 屋外での使用は避ける(太陽からの赤外線も一緒にとらえてしまう)
  • 体温計を強く握りしめない
  • 室温になじませてから使用する
  • ブロープレンズは常に清潔にする
  • どの部位を測るための体温計か確認する(耳・デコなど)

など、必ずこういった注意事項が書かれています。


例えば、一般向けの販売はされていませんが「皮膚赤外線体温計MC-720」は、オデコで体温測定をするための非接触型体温計です。

非接触対応型体温計の場合、検温データを保存できると思いますがこの機器の場合は25回分の検温データが保存することができます。

また、約1秒で額等の皮膚の温度を測定し、舌下での体温に換算しています。

普通は、この「測定時間」「データが⚪回分保存できる!」なんて特徴にばかり目を向けてしまいますが、本当に大事なことはその機能を正しく使う知識です。

例えば、登校または運動直後など汗をかいている場合は、汗でオデコが冷えてしまいます。

先程の私が体験した「右側と左側のオデコで体温が違うかった?」というのも、体温測定を嫌がって逃げていた子どもを捕まえたときに測定したことが原因だったと考えられます。

このように、皮膚赤外線体温計には使用上の注意があります。

 

使用上の注意!

  1. 指定された動作環境で使うこと(外で使わないなど)
  2. 光学機器のセンサー部分(ブローブレンズ)が汚れていない
  3. 汗をかいていない、化粧・日焼け止めを使用していない(体温が低く表示される可能性がある)

基本的には複数回測定し、それでもおかしければ脇の下で測定する。


海外の測定では、屋外で検温されている映像を見たことがありますが、「屋外で使える皮膚赤外線体温計?」があるのかは分かりません。

仮に、屋外で測定できる皮膚赤外線体温計があったとしても、汗をかいていない・化粧・日焼け止めなどをしていない安静な状態で測定しなくては正確な体温は測れないでしょう・・・

人間には、赤外線を目視で確認することはできません。

それこそ、見ただけで熱せられているアイロンかどうかすら分からないですよね・・・

特に、これだけ暑いと人体の体温はすぐに上昇します。

どうやって少しでも正確な体温が測れるのか、説明書の注意書きを確認してから測定するようにして下さいね。

 

最後に

皮膚赤外線体温計は対象に触れることなく測定できることから、コロナ禍の現状では特に「清潔」だと言えるでしょう。

ちなみに、赤外線による温度測定は生鮮食品などを調べるときにも使われるほどです。

他にも、例えば半導体の製造現場でも精密な部品を傷つけることなく測定できるため重宝されています。ちなみに、サーモグラフィーも皮膚赤外線体温計と同じ仕組みです。

1992年にオムロンが耳で測れる皮膚赤外線体温計の先駆けとして販売を開始してから、もうすぐ30年になりますが、日本ではまだまだ脇の下で挟む体温計が主流でした。

 

ところが、新型コロナウイルスの影響で皮膚赤外線体温計の受注が増加しています。

例えば、NISSEIが発売している「皮膚赤外線体温計サーモフレーズ MT-500/MT-500BT」は、欠品状態となり受注が停止しています。

→現在は、発売開始されているようです。

 

ただ、せっかく購入しても正しい使い方をしなければ、「信頼できない高いだけの体温計」になってしまいます。

ちなみに、「非接触型体温計」「非接触型温度計」が売られていますが、非接触型温度計は工業用品などの製造現場などで使われていますが、これを人に使ったとしても皮膚の表面温度しか計測できません。

繰り返しになりますが、非接触型体温計は「皮膚の温度を測定し、舌下での体温に換算して数値を出しています。」

そもそも、非接触型体温計は医療器具です。

購入時は、パッケージなどに医療機器認証番号が表示されているか必ず確認してから購入して下さい。間違って、非接触型温度計を購入しないようにご注意下さい。


参考

毎日新聞:非接触型体温計の仕組みは?
https://mainichi.jp/articles/20200611/kei/00s/00s/015000c

まいどなニュース:「平熱」なのに「発熱」しかも何度も… いまいち知られていない非接触型体温計の使い方
https://maidonanews.jp/article/13617007

OMEGA:赤外線放射温度計の原理と応用
https://www.jp.omega.com/technical-learning/infrared-temperature-measurement-theory-application.html

 

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