トリアージの技術革新!? ~法整備はまだまだこれからの現状とは?~

 

前回、トリアージについてご紹介しました。

そして、現在は「トリアージタッグ」と呼ばれる丈夫な紙が使われています。ただ、トリーアージタッグにはさまざまな問題があります。

今回は、開発が急がれる「電子トリアージタッグ」についてご紹介します。

 

トリーアージについてはこちらの記事紹介しています。

トリアージは災害医療の第一歩! 「選別」のやり方と優先度はどうなっている?

 

「トリアージ」ってそもそもなに?

阪神淡路大震災の教訓から、総務省消防庁で制定されました。

そして、2005年4月:JR福知山線の列車脱線転覆事故の際に、初めて大規模に適用されました。この時から使われているのが、トリアージタッグです。

トリアージは、優先的に治療する人を一目で判断するために行なわれるため、「医療の第一歩」とも呼ばれます。

  • 黒:死亡もしくは救命が困難。
  • 赤:呼吸困難・ショックの徴候がある。
  • 黄:歩けないが呼吸可能な場合。
  • 緑:歩ける。

これら4種類があります。


救助する順番は、→黒となっています。

ただ、これまでの紙タグ(トリアージタグ)では、傷病者位置把握が困難・病体の変化が分からないなど問題点が指摘されていました。

こういった問題を解決してくれるのが、電子トリアージタッグです。

 

「電子トリアージタッグ」は、どんなことができるの?

  • 脈拍
  • 血中酸素濃度(Spo2)
  • 無線転送装置
  • 位置推定
  • 人体通信
  • 無線給電機能
  • 医師端末に傷病者のバイタル情報を表示

こういったことが、できるようになります。

さて、これまでの紙タグは傷病者の状態をタグにどんどん書き出していく必要がありました。

また、リアルタイムの状態変化が分からず、タグを付けた傷病者の近くに誰(医師などの医療関係者)がいるかも分かりませんでした。

ですが、電子トリアージタッグを使えば、パルスオキシメーター(酸素濃度を計測するための機器)のように、指先に挟むだけで傷病者の容体変化をリアルタイムで知ることができるようになります。

 

豊富な機能!

~位置情報を地図提示~

  • google map上に、傷病者・医療従事者の現在位置をリアルタイムに表示できる。
  • 現場PC群に、傷病者の位置情報と生体情報を転送。
  • サーバーにデータ転送も可能。

つまり、誰がどこにいるかが一目で分かり、なおかつ緊急生の高い傷病者の近くにいる医師が救護できるということになります。

何度も容体を確認する必要がなくなり、医師の時短もできる。

Simon / Pixabay

 

~災害現場の自動地図生成~

「医師や傷病者の現在地がリアルタイムで分かる!」と言うことは、そもそも使える道を「自動的に生成することができる」と言うことにもなります。

つまり、移動することで自動的に使える道が分かることになります。

訓練シミュレーターでは、十数人が5分程度現場をランダム歩行することで1m²毎の建物の有無の判定制度は、85%以上の結果が示されています。

 

災害時以外もさまざまな用途が!?

  • 老人ホーム・介護施設における入所者の病状や居場所把握。
  • 独居老人や生活習慣病を持つ人々などの見守り。
  • 過酷な環境で働く労働者の生体モニタリング(消防作業や原発現場での作業など)
  • 泥酔者のモニタリング(繁華街など)
  • 高齢者などの熱中症モニタリング。
  • 中高校生のクラブ活動の活動監視。
  • AED(自動体外式除細動器)設備の補助装置

このように、私達が生活する上であらゆる用途に今度利用されることが期待できます。

それでは最後に、トリアージによる法整備をめぐっての課題についてご紹介します。

 

東日本大震災の被災者遺族が病院側を提訴!

そもそも、トリアージには特別な免責規定はありません。

つまり、現実問題として法的な拘束力はなく従う必要もない状態です。

つまり、例えばトリアージで優先度が一番低い「緑」判定がでたことで、治療が後回しにされそのまま亡くなった場合、訴えられる可能性があるということです。

 

こんな裁判が!?

実際、東日本大震災で被災し、搬送先の病院で亡くなった当時95歳の女性の遺族が、「病院正面玄関で行なわれたトリアージに過失があった!!」として提訴されました。

基本的に、「緑」は治療不要になるのですが、そもそも要介護5の認定(最重度:寝たきり状態)がでていたため、少なくとも中等度の「黄」と判断されるべきだったと指摘。

ただ、病院側としては当時最大約600人の被災者がいたこともあり、亡くなった女性に乏しい物資の中から点滴を1本打つことが精一杯な状態だったようです。

→2019年1月に口頭弁論が始まりました。

Tumisu / Pixabay

 

なにがいいたいかといえば、どんな緊急事態であっても「やむを得ない判断ミス」があれば責任を問われるということです。

そもそも、トリアージは「1人でも多くの人を救う」その一点を突き詰めた結果だと言える治療行為だと思いますが、このままでは正しいトリアージができなくなるかもしれません。

その結果、さらに訴訟が増えることは言うまでもありません。技術革新は確かにすごいですが、それと同時に法整備が急がれています。

 

最後に

命の選択は日々、行なわれています。

技術革新による、電子トリアージタッグが当たり前になれば、さらに多くの選択に迫られることになるでしょう。

それが、私や妻になるかもしれませんし、私の子どもや親といった近親者の可能性もあります。

ただ、もしも判断ミスがあったと感じれば私も訴えるかもしれません。ですが、法的な整備があり医師が守られていればそういうわけにもいきません。

そもそも、被災者の生死にもっとも接するのは医療関係者になるのではないでしょうか。

その中で、医師が何度も提訴されるようなことがあれば、医療従事者はさらにどんどん減少していくことになりかねません。

とても難しい問題ですが、トリアージにより多くの人が救われていることも確かです。トリアージの理解をみんなで共有できる日がくるといいですね。


参考

科学技術振興機構
https://shingi.jst.go.jp/past_abst/abst/p/12/1264/astep4_04.pdf

朝日新聞デジタル:災害時のトリアージめぐり訴訟に 学会は法整備視野
https://www.asahi.com/articles/ASM3L44VPM3LUBQU004.html

 

 

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