罹災証明書をもらうには!? ~申請と被害認定調査~

 

皆さんは、自然災害により例えば家が損壊してしまい、まともに住めなくなったとき支援金が支給されることをご存じでしょうか?

現実問題として、台風19号により少なくとも全国で3万棟を越える住宅が水に浸かってしまっていることがNHKの報道などで分かっています。

今回は、「災害により家屋被害が発生したときに、忘れてはいけない罹災証明書」についてご紹介します。

 

「罹災証明書(りさいしょうめいしょ)」ってなに?

罹災証明書とは、災害による被害の程度を証明する書面です。→家屋の被害が対象

先日お伝えした、「被災者生活再建支援法」に基づいて「被災者生活再建支援金」の申請等に利用されます。

罹災証明書は・・・

①各市町村(自治体)が災害被害に遭った方の申請を受けて

②住まいの家屋の被害状況を調査

③「全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊」等を認定

④認定結果を証明するための書類

つまり、災害により被災した住家の「被害の程度」を市町村長が証明する書類となります。


例えば、介護保険を利用しようと思えば、まずは市役所へ申請する必要があります。申請後、認定調査員が自宅等へ訪問し、高齢者の身体の状況を確認し「要支援」や「要介護」といった認定結果をだします。

認定結果によって負担する額やサービスは異なりますが、認定を受けることで必要な介護保険サービスを利用することができるという流れになります。

罹災証明書は、介護保険でいう所の、住家の認定調査のようなもので、この認定を受けなければ判断基準がないため、そもそもサービスを利用することができません。

つまり、罹災証明書の申請を自分でして認定結果が出て初めて、支援金などを受け取る権利が発生します。

ただ、これだけでは罹災証明書をもらうためのステップを割愛しすぎているため、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

罹災証明書をもらうまで

罹災証明書をもらうために・・・

①罹災証明届出書(印鑑:シャチハタ以外・マイナンバー・本人確認書類+被災した家屋のプリントアウトした写真)を提出

⇊ ⇊

②罹災届出証明書(「罹災証明届出書を出した!」という証明)を受け取る→基本的に即日発行

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③罹災証明書

*災害発生から2ヶ月以内に申請する必要があります。

 

ここまでで分かるポイント!

罹災証明書をもらうまでの手順と申請場所

 

罹災証明届出書を提出するときの注意点は?

片付ける前に、被災写真を撮影する!

  1. 建物の全景を撮影(遠景で建物の4面)
  2. 浸水した深さを撮影(メジャーを使って水が浸かった深さを測定:測定場所が分かるように遠景とメモリが分かるように近景の撮影)
  3. 被害箇所の撮影(指を差した状態で、被災箇所ごとの遠景と近景の2枚セット)

→主な被災箇所は、外壁・屋根・基礎・内壁・天井・床・ドア・襖・窓・キッチン・浴室・トイレなど。

罹災証明書を発行してもらうときに、このように被災状況がわかる写真が必要になります。


ただ、被災している住宅ですので倒壊する危険性と隣あわせの場合もあります。

そもそも、精神的にこんな冷静に例えばマイホームの被災状況を撮影できるのかは疑問がありますが、「生きるため」と割り切って行動するしかありません。

避難準備をするときに、マイナンバー・印鑑・カメラを前もって準備に加えておくと安心です。

それでは、罹災証明書による認定はどういった基準があるのでしょうか?

stokpic / Pixabay

 

罹災証明書の被害基準とは?

市町村へ「罹災証明届出書」を提出すると、損害割合を調査するために住家の被害認定調査がおこなわれます。

この調査により、損害割合(「全壊」・「大規模半壊」・「半壊」・「半壊に至らない」)の4区分が認定されることになります。

 

4区分

  1. 全壊(50%以上の損害割合)
  2. 大規模半壊(40%以上~50%未満の損害割合)
  3. 半壊(20%以上~40%未満の損害割合)
  4. 半壊に至らない(20%未満)

→「地震」・「水害」・「風害」・「液状化等の地盤被害」と、その時の災害にそった住家被害認定調査がおこなわれます。

 

「全壊」と認められる場合は?

外観と内観の調査がおこなわれます。

 

外観調査

  1. 一見して住家の全部が倒壊している。
  2. 層破壊がある。
  3. 一見して住家全部が流出し、又はずり落ちている。
  4. 液状化等により、基礎の一部が全部破壊されている。(木造・プレハブの場合)
  5. 地盤面に亀裂が発生し、当該亀裂が住家直下を横断・縦断している。

→1つでも該当すれば、「全壊」となるためこの時点で調査も終了します。

 

◎傾斜

傾斜の平均が、*「下げ振り」を使用して6㎝以上だった場合、「全壊」と認定されます。

*下げ振りとは、建物が垂直に建っているかどうか(傾斜)を調べるための道具。

 

◎基礎の損傷割合

外観の基礎の損傷割合が75%以上となった場合、「全壊」となり調査終了。

*外観の基礎割合とは、ヒビ・剥離・フリクといった損傷箇所のことです。

→不陸(フリク)とは、水平ではなく凸凹になっている状態のことです。

こういった状態の場合は、「全壊」と判断されることになります。

 

その他

先程、損傷した写真を撮影する必要があることをお伝えしましたが、損傷箇所が多いほど撮影枚数は増えることになります。

  • 柱の損傷
  • 建具の損傷(窓・戸・襖・障子などがしっかり閉まらなくなっているなど)
  • 内壁のヒビ
  • 床・畳のズレやヒビ
  • 風呂場・洗面所・トイレなどの設備の損傷

損傷箇所を撮影していくため損傷具合によっては、かなりの枚数になるかもしれません。


まずは、安全確認が基本です。

もし、前述したような「全壊」と判断されるような状態なら、そもそも素人が内観の写真を撮りに行くのは危険なため、外観のみ撮影して市役所へ行くことも考える必要があります。

前提として、「被災した家の修繕・補修・掃除などをする前に写真を撮影してね!」ということですので、安全確認もせずに内観の写真を撮影を取りに行ってしまえば二次被害が発生する可能性があります。

内観の撮影をするときは、本当にご注意下さい。

*ちなみに、被害認定調査で認定された被害の程度は、取り壊しなど住宅の復旧方法を検討するためのものではありません。

再建方法については、建築士等に相談する必要があります。

 

最後に

申請は、自分でする必要があります。

ですが、例えば状況によっては航空写真を使って判断できることもあります。

また、水害の場合は浸水深で判断できることもあります。

 

「浸水深」については、こちらの記事で紹介しています。

実は危険な床下浸水 ~床下チェックは忘れずに~

 

災害後、家を直していく前にまずは現状の状況を撮影することは、現実問題として精神的にもかなりの負担になります。

基本的には、申請までに2ヶ月間の猶予がありますが、すぐに申請がおりるわけではないため、「できる限り早い段階で申請する必要がある」ことは覚えておいたほうがいいでしょう。

冷静な判断・行動ができるように、普段から情報収集と避難時の準備を継続して下さいね。


参考

内閣府 防災情報のペ-ジ
http://www.bousai.go.jp/taisaku/unyou.html

住家被害認定調査等研修会 ビデオ教材(2019年3月更新)
https://www.youtube.com/watch?v=Lz6wK23A7j8

 

 

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