車イスは子ども用もある!?意外と知られていないベビーカーとの違いとは?

 

前回、「ベビーカーマーク」についてご紹介しました。

ベビーカーマークは、例えば「電車やバスなどでベビーカーをたたまなくてもいい」ベビーカー使用者の権利を守るマークです。

さらに、ベビーカー使用者側のマナー(周囲の人への接触や通行を妨げないなど)を守るためのマークでもあります。

さて、今回はそんな「ベビーカーと間違えやすい、子ども用車イスとの違い」についてご紹介します。

 

ベビーカーマークについてはこちらの記事で紹介しています。

「ベビーカーマーク」が外出を楽にする? 目標はまだまだ遠い・・・

 

間違えるとなにか問題なの?

例えば、車イスにのっている人に対して「車イスをたたんで歩いて!」なんて言わないですよね・・・

なぜなら、車イスはその人にとっての「足」だと、多くの人が理解しているためです。もしも、こんなことを街中で言えば、人権問題になりかねません。

ところが、「子ども用車イス」に乗せているお母さんに対して、「どうして大きい子を歩かせないの!?」「邪魔だからたたんで!」なんて言われることが実際に起こっています。

子どもに冷たい社会?

確かにそういった面もあるのかもしれません。ただ、少なくともベビーカーではなく「車イスだ!」と分かればこういったことはなくなるでしょう。

それでは、子ども用車イスはそんなにベビーカーに似ているのでしょうか?

 

知っていれば、「子ども用車イス」と「ベビーカー」は間違えない!?

そもそもの話しですが、「子ども用」とはいえ車イスですから重さは数十kg(軽い物で約6~7kg)あります。つまり、見た目の重厚感がまったく違います。

もちろん、1kg程のベビーカー(軽い子ども用車椅子と同じくらいの重さの物もあります)のように、簡単に持ち上げられません。

最近は、カラフルでオシャレなデザインが増えていることも、ベビーカーと判別されにくい一因と考えられます。

ただ、注意している人も、おそらく「変わったベビーカーだな?」と思いながら注意しているのではないでしょうか。

なぜなら、ベビーカーとは機能性がまったく違うためです。

 

そもそも「子ども用車イス」ってなに?

「車イスになぜ乗るのか?」を少し考えれば、誰でも想像できると思います。

誰だって「自分の足で歩いて、自由に行きたい場所にいきたい」と思いますよね。子どもならなおさら走り出してしまいます。

ですが、病気や障害などで車イスに乗らないと移動することができません。冒頭でお伝えしたように、「足」の代わりになるものが車イスです。

つまり、自力で座ったり立ったりすることができない、そんな子ども達の姿勢を安定させることができます。さらに、例えば人工呼吸器などの医療機器を詰んで移動できるほど、車体は頑丈にできています。

 

子ども用車イスの特徴は?

  • 折りたためない→たためたとしても、介助者が子どもの身体を支えることは難しい。
  • 重量がある。
  • 「子ども用車イスマーク」を付けていることもある。

1台20万~30万円程。(障害者手帳を取得すれば1割負担)

そもそも、足を支えるためのフットレストが付いています。

特に、ベビーカーと間違えられやすいのは、「介助する人が後ろから押して動かすバギー型」

 

国土交通省による対策は?

❶2018年4月子ども用車イスの存在について利用者等に対して周知を行など、当該車イスに乗ったまま円滑に各種施設・設備等を利用できるよう呼びかけを実施。

➋国土交通省において、子ども用車イスについての理解・配慮をお願いするポスターを作成。

→2019年8月以降、駅や車内等に掲出(けいしゅつ)する等、子ども用車イスの理解・配慮の取組みに協力を呼びかけていく。

このように、少しずつですが啓発活動は進められています。そもそも、子ども用の車イスに対する認知度が低すぎることが、大きな問題点といえます。

 

どんな事例があるの?

  1. バギー型車イスを使う長女とバスに乗ろうとしたら、バスの運転手に「たたむように」と言われ、乗車をあきらめた。
  2. 病院などの障害者用駐車場に車を止めたとき、警備員から咎められた。
  3. 電車に乗るときにスロープの利用を申し出ると、「ベビーカーは補助できない」と言われた。

このようなことが1度だけではなく、外出するといつ言われるか分からない状態です。

 

最後に

国によると、全国に約7万7千人の肢体不自由児がいるといわれています。

「知らないことは仕方がない」とはいえ、無知であることで時には命に関わる場合もあります。

誰かの無知な一言で、ケガをさせてしまうかもしれません。

当事者でないと分からないことはたくさんありますが、少なくとも「子ども用車イスがある!」ということを知っていれば、ベビーカーかどうか確かめることができるでしょう。

そして、情報化社会になり「知らないことで危険を伴うような無知」が許された時代は、終わりを告げたのかもしれませんね。

あなたは、「ベビーカー」と「子ども用車イス」の違いが分かりますか?


参考

一般社団法人 日本ショッピングセンター協会
http://www.jcsc.or.jp/cat_notice/p_20180420_11524

国土交通省
http://www.mlit.go.jp/common/001296506.pdf

 

 

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