連日のように、ニュースで高齢者が引き起こす事故を耳にするようになりました。
あまりに頻回にニュースになるため、まるで「高齢者がもっとも死亡事故を引き起こしている!」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
*「ペダル踏み間違い装置」なるものが大好評になっていることからも、問題意識が高くなっていることがわかります。
今回は、警察庁の発表から、「本当は、どの年代が事故・死亡事故を起こしやすいのか?」についてご紹介します。
そもそも交通事故による死者はどれだけいるの?
平成29年に発生した交通事故死亡者数は3,694人(平成30年は、3,532人とさらに減少)。この数字は、警察庁が昭和23年以降の統計以降最小となりました。
平成19年と比較すると・・・
- 全年齢層で36%
- 高齢者で27%
それぞれ減少しています。
75歳以上・80歳以上の運転免許保有者数はどうなっているの?
75歳・80歳以上の運転免許保有者数は、それぞれ年々増加しています。
《図1 75歳・80歳以上それぞれの運転免許保有者数》
免許保有者数を平成19年と比べると、平成29年は・・・
- 75歳以上は、約1.9倍
- 80歳以上は、約2.3倍
つまり、交通事故は年々減少しているにも関わらず、免許を保有している高齢者は増加していることになります。
このことから、少なくとも高齢者の事故は大きく減少していることがわかります。
それでは、年代別の交通事故の状況はどうなっているのでしょうか?
年齢別の交通事故の状況!
原付以上の運転者が含まれるため、16歳からの全集計となります。(年齢層別免許保有者10万人当たりの交通事故件数)
《図2 16歳から全年齢それぞれの交通事故件数》
さて、図2からもっとも事故が多い年齢層はどれか分かりますか?
事故件数は、どの年代も年々減少していますが(参考までに、5年間の事故件数も集計)・・・
- 16~19歳の事故件数が圧倒的に多い。
- 30歳までの若年層がベスト3位に入っている。
- 平成29年度でみると、35~74歳はほとんど事故件数に差がない。
- 75歳以上から事故件数が増えていく。
つまり、後期高齢者(75歳以上)は確かに35歳以上の年齢層と比較すると多いです。ですが、そもそも24歳以前の事故件数があまりに多すぎることが分かります。
若年者の事故は、最も多い高齢者層(85歳以上)と比較しても約2.3倍になります。
高齢者の事故はなにが問題なの?
確かに、若年層(16~24歳まで)に比べて高齢者(65歳以上)の方が事故件数は少ないです。ただ、「死亡事故を起こす件数」をみるとまた違った結果が現れます。
《図3 年齢別の死亡事故件数の比較》
図3から、死亡事故件数で見ると・・・
- 70歳以上から増え始める。
- 85歳以上では、なんと16~19歳と比較して約2.3倍も差があった事故数が、死亡事故で見ると追い越してしまっている。
つまり、若年者の事故件数は異常に多いですが死亡事故を起こすのは、80歳以上が異常に多いことがみてとれます。
とはいえ、どの年齢層でも事故・死亡事故は発生しているため注意が必要なことはいうまでもありません。
最後に
高齢者(85歳以上)の死亡事故は、確かに最も多くなっていることが分かります。ただ、16~19歳の最も事故が多い年齢層の死亡事故も2位とかなり多くなっています。
つまり、最近話題の高齢者の死亡事故のニュースは、高齢者は認知症や身体が衰えることから、「事故を起こしやすい!」というイメージが先行していることが影響していることも一因として考えられます。
ですが、実際には事故件数=若年層が正しく、また、16~19歳の死亡事故も85歳以上よりは少ないとはいえ、80歳以上を除けばどの年齢よりも圧倒的に多いことが分かります。
子ども達が免許を取り立ての時は、本当にご注意下さい。また、特に80歳以上の方も運転にはご注意下さいね。
参考
警察庁
→https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/toukeihyo.html
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