皆さんは、高速道路を走る機会はありますか?
旅行や帰省、仕事など利用することがある人は何度も走ることになるのではないでしょうか?
それでは、走行中に「落とし物」があったことはありませんか?
私の場合は、ビニール袋が風で飛ばされている場面を見たことがあります。他にも、高速道路の一面に細かい木片が落ちていたことがありました。
今回は、そんな「高速道路の落とし物」についてご紹介します。
そもそも「落とし物」って多いの?
高速道路を運転中に落とし物を発見したとしても、数秒で近づいてしまうため「なにか落ちている!」と気付けたとしても、避けられるとは限りません。
つまり、一般道路を走行している以上に、高速道路での落とし物は命に関わります。
それでは、そんな高速道路での落とし物は頻繁にあるのでしょうか?
高速道路会社の落下物の処理件数(平成29年度)
- 西日本高速→約119,000件(1日平均:約326件)
- 東日本高速→約105,300件( 〃 :約288件)
- 中日本高速→約65,600件 ( 〃 :約179件)
- 首都高速 →約26,000件 ( 〃 :約71件)
- 阪神高速 →約22,100件 ( 〃 :約60件)
- 本四高速 →約7,300件 ( 〃 :約20件)
→合計:約34.5万件(1日平均:約945件)
この数値を見ただけでも、高速道路での落とし物は残念ながら日常茶飯時であることが見てとれます。
それでは、どんな落とし物が多いのでしょうか?
図1 《東日本高速・中日本高速・西日本高速・本四高速》
図1~3は、高速道路会社によって分類が違うため分けてグラフ化しています。
図2 《阪神高速の場合》
図1・2より、高速道路での落下物は、「プラスチック・布・ビニール」の落とし物が最も多いことがわかります。
図3 《首都高速の場合》
「ロードキル」というのは、道路上で発生する野生動物との接触のことです。
詳しくは、別の記事で紹介します。
さて、首都高速は「プラスチック・布・ビニール」という区分はありませんが、「その他」が約70%を占めていることから、「プラスチック・布・ビニール」が落下物の多くを占めているのかもしれません。
このように、それぞれの高速道路のどこかで、少なくない落下物が落ちており、その多くが「プラスチック・布・ビニール」であることが分かりました。
それでは、高速道路を走行中に「落とし物」を発見した場合、私達はどのように対処すればいいのでしょうか?
落とし物を発見したら?
緊急時はどこに停車すればいい?
高速道路で、落下物にぶつかったり落としたことに気付いたときは、間違っても高速道路内に絶対に侵入しないで下さい!!
道路には、「非常駐車帯」が設置されています。
非常駐車帯とは、緊急車両や故障車、道路管理車両などが利用する、停車を目的とした道路路肩にある空間です。
高速道路では、設置間隔が500mごと(トンネル内では約750m)に設置されていますので、こういった場所に停車させることができます。
道路緊急ダイヤル#9910
落下物だけでなく、逆走車・人や自転車等の立ち入り・路肩の崩壊・路面の穴ぼこなど、車両の通行に支障となる道路の異常・緊急事態を発見したときに使用するダイヤルです。
また、全国の高速道路・国土交通省が管理する国道全てが対象となります。(24時間通話料無料)
まさに、道路の「110番」ですので、例えば緊急ではない「道路交通情報の問い合わせ」や「高速道路料金のお問い合わせ」などで利用しないようにして下さいね。
→自動音声ガイダンスに従い「道路名」を選択することで、該当する道路の管理者につながる。
*運転中の携帯電話等の使用は道路交通法により禁止されていますよね。そのため、連絡する場合は同乗者にしてもらうか、安全な場所に停車してからかけるようにして下さい。
(高速道路には、事故・故障等でやむを得ず走行できなくなった場合しか駐停車できません)
それでは、そもそも「落とし物」は誰の責任になるのでしょうか?
「落とし物」は誰の責任?
自動車の運転者は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量又は貨物の積載の状態を点検し、必要がある場合においては、高速自動車国道等において燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量の不足のため当該自動車を運転することができなくなること又は積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない。
とあります。
最後の、「積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない。」に注目して下さい。
道路交通法第75条の10より、高速道路での落下物は「落とし主の責任」ということがしっかり書かれています。つまり、落とし物は「交通反則行為」となります。
どんな罰則があるの?
- 3ヶ月以下の懲役、もしくは5万円以下の罰金。(過失による場合は、10万円以下の罰金)
- 第三者に損害を与えた場合は、落とし主に賠償責任が生じる。
→「道路交通法」「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」等の違反により、法律で罰せられることになります。
《落下物原因の事故事例》
- 高速道路上の落下物を避けるために、車線を変更した貨物車にバスが衝突→乗員1人が亡くなる
- 大型トレーラーから落下した資材ボックスが原因で渋滞が発生→車列にトラックが衝突して10人以上が死傷
このように、大事故につながるケースが発生しています。繰り返しますが、「落とし物は落とし主の責任」です。
→後続車などの第三者が落下物によって損害を受けた場合、落とし主に損害賠償が生じることもあるため十分に注意して下さい!
最後に
「落とし物」は、重大事故につながる可能性が高く、もし事故が起これば落とし主の人生が終了するレベルとなります。
例えば、サーフボードや自転車などのレジャー用品を車外に積んでいる車を見かけますが、固定を何度か確認する必要があります。(走行中の振動で緩むこともある)
当然、窓を開けながら走行すれば窓からビニール袋などが窓から飛ばされるかもしれませんし、逆に小石やゴミが窓から入ってくるかもしれません。
ただ、トラックなどでもない限り、普通に走っていればそもそも「落とし物」は発生しないはずです。ですが、残念ながらその普通の走行ができていないため、毎日約1,000件の落とし物がどこかの高速道路に落ちているという現状があります。
また、あなたがどんなに注意していても、窓ロックを忘れて子どもが窓から物を投げるかもしれません。発進する前に、安全確認は忘れずに。
そして、長時間運転するなら休憩がてら「落とし物」をしないように、自分を守るためにも車体チェックはして下さいね!
参考
JAF:高速道路で落下物トラブル、どうすればいいのですか?
→http://qa.jaf.or.jp/drive/highway/16.htm
ドラぷら:道路緊急ダイヤルについて
→https://www.driveplaza.com/safetydrive/happening/obstacle.html
コメントを残す