知っていますか? 子どもを守る「子ども110番の家」のマニュアルと存在意義

 

皆さんは、「こども110ばんの家」と書かれた旗やステッカーなどを見たことがあるでしょうか?

昔はいたる所で目にしましたが、最近は数が減ったような・・・

今回は、そんな「ボランティアでおこなう、子ども110ばんの家って結局なに?」についてご紹介します。

 

「子ども110番の家」っていつからあるの?

子ども110番の家は、1990年代頃から子どもを狙った犯罪が増加してきたことを受け、各自治体や学校等が・・・

  • 民家
  • 店舗
  • 事業所

などに協力を依頼して設置されたものです。


主に、通学路にある商店が地域活動の一環としておこなっています。

→民家がその役割を担っている場合もある。

*私の実家では、「子ども110番の家」と書かれた旗が数年間ぶら下げられていましたが、特に何もありませんでした。

 

どんな役割があるの?

そもそも、子ども110番の家は地域ぐるみで子ども達の安全を確保することを目的としています。

つまり、身の危険を感じた時などの「緊急時に安心して助けを求め駆け込む場所」として設置されています。

もちろん、対応マニュアルもあります。

埼玉県警察と京都府警のマニュアルより

 

活動内容

  1. 犯罪等の被害に遭い、または遭いそうになって援助を求めてきた子ども等の保護
  2. 事件・事故の発生を認知したときの110番通報・学校・家庭への連絡
  3. 日常生活のなかで、近所に子ども達が被害に遭いそうな危険な箇所等を発見した場合の連絡

つまり、①保護 ②連絡 ③危険箇所の発見

これらが、「こども110番の家」の主な役割となります。

ただ、ボランティアとはいえ、やはり一定のルールがあります。

 

活動上の留意事項

  1. 子どものプライバシーの尊重と守秘義務
  2. 子どもの立場になった思いやりのある対応
  3. 犯人に立ち向かおうとしない

このように、①秘密は守る ②優しく対応 ③危険な行為の禁止

といったルールがあります。

これは、子どもだけでなく自分の身を守るために必要不可欠なルールだと言えます。

とはいえ、子どもの対応はとても難しいことは言うまでもありません。

怖がっている、もしくは泣き出している子どもへの対応は簡単ではありません。

Alexas_Fotos / Pixabay

 

子どもが助けを求めてきたら!?

正直、本当に子どもが助けを求めにくるケースはまれです。そのため、「本当に子どもが逃げ込んでくるの!?」と思っている人の方が多いのではないでしょうか・・・

そんな時のために、本当に助けをもとめてきた時のマニュアルも示されています。

  1. 自分が落ち着く→自分が慌てれば子どもを不安にさせてしまう。
  2. 子どもを落ち着かせる→「大丈夫。」など、優しい声かけ。
  3. 子どもから話しを聞く
  4. 110番通報
  5. 警察が到着するまで待つ

これが基本として示されています。

 

子ども達への話の聞き方

①なにがあったのか?

  • 声をかけられた
  • 痴漢にあった
  • 連れ去られそうになった
  • 友達が被害にあった

など。

 

②いつ起こったのか?

  • 何分前のことか
  • 何時何分のことか

 

③どこで?

  • 町名や通り名
  • 目標となる建物等

 

④どんな状況?

  • ケガをした人や連れ去られて人がいないか

 

⑤相手の特徴は?

  • 人数・性別・年齢・身長・体格
  • 髪型・乗り物(自転車・色・車・番号)

 

警察へ通報するとき

⑥通報時

  • 子ども110番の家から通報していること
  • なにがあったのか

 

警察が到着するまでにすること

  1. 子どもの保護→1人で帰らせたりしない。
  2. 家庭・学校への連絡
  3. 状況によっては救急車の手配など

子どもを安心させて保護することが重要になります。

そして、この時見聞きしたことはSNSでアップしたりしてはいけません・・・

mohamed_hassan / Pixabay

 

「子ども110番の家」が役に立った事例

①不審者事案

帰宅途中の小学生4人が「木の陰に隠れてこちらをみてくる男がいる」と言って、最寄りの「子ども110番いえ」(商店)に駆け込んだ。

→子どもを保護し学校へ連絡など保護活動がおこなわれた。

 

②公然わいせつ事案

通学途中の女子中学生が「バイクにまたがった男が下半身を露出していた」と最寄りの「子ども110番のいえ」(一般民家)に駆け込む。

→保護した上で、110番通報するなど保護活動がおこなわれた。

 

このように、身近に避難できる場所があることで、安全確保ができている事例があります。とはいえ、課題もあります。

 

そもそも、「子ども110番の家」が少なくなっている!?

1997年に発生した神戸連続児童殺傷事件などをきっかけに拡大していきましたが・・・

警察庁によると

  • 2013年末→全国191万5000ヶ所
  • 2016年末→全国176万6000ヶ所

約15万件も減少しています。

理由としては、「人口減少」・「学校の統廃合に伴う通学路の見直し」などで更新されないケースがあるようです。

ちなみに、1度も利用されないことがほとんどで形骸化していることも指摘されています。

 

最後に

「子ども110番の家」は、地域でできる見守り活動の1つです。

理想を言えば、緊急事態の時はどこの家にでも逃げ込めればいいのですが、夫婦共働きが当たり前の昨今、やはりそういうわけにもいきません。

また、民家に「こども110番の家」の旗やステッカーがあったとしても、必ずしも誰かがいるとは限りません。これは、残念ながら交番でも同じことが言えます。

子どもの逃げ道はたくさんあった方がいいですが、それ以上に地域の目で守ることができるといいですね。

ちなみに、監視カメラは事件後にしか役に立ちません。

最近では、子ども携帯など様々な対策がとられていますが、やはり一番効果があるのは人(大人)の存在でしょう。

最近は、「無敵の人」なんていわれるおかしな事件が発生しています。

今後の対応が急がれています。


参考

埼玉県警察
http://www.police.pref.saitama.lg.jp/c0010/kenke/110bannoie.html

京都府警察
http://www.pref.kyoto.jp/fukei/anzen/seiki_t/kodomo110/

弁護士ドットコムニュース
https://www.bengo4.com/c_1009/n_7875/

 

 

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