お風呂の残り湯で洗濯できる? 「洗い」「すすぎ」の使い分けとは!?

 

暑くなると、節電・節水などが呼びかけられますが、なにか工夫をされていることはあるでしょうか?

「こまめに電気を消す・エアコンの温度を必要以上に下げない・水を流しっぱなしにしない」など、個人できることは小さいですがいろいろできそうですよね。

ただ、やり方を間違えると逆に余計に電気や水を使うことになりかねません。

今回は、節水の中でも失敗が多い「お風呂の残り湯の使い方」についてご紹介します。

 

そもそも、お風呂の残り湯は汚い!

単純に、「お風呂の残り湯」なわけですから、自分や家族の髪の毛や垢といった目に見える不純物が浮いています。体の汚れを落とすためにお風呂に入るわけですから当然ですよね。

ただ、汚れは目に見える物だけとは限りません。

衛生微生物研究センターが一晩放置した風呂水の細菌数について3家庭で調べたところ、このような結果が出されています。

 

一晩放置した風呂水の細菌数

入浴人数 入浴前 入浴直後 一晩放置後
2名 40 110 250,000
3名 40 360 290,000
5名 80 2,700 1,200,000

この細菌数は1mL(1cc)当たりに、どれだけの細菌がいたかを示しています。

入浴前から、すでに浴槽には細菌がいるためそれぞれのご家庭で数は違うため入浴前から差があることが見てとれます。

さて、この細菌数は入浴人数が増えるほど入浴直後から増加していることが分かります。

それでは、上記の表を細かく見ていきましょう。

 

入浴直後の浴槽の細菌数

  • 2名→2.75倍
  • 3名→9倍
  • 5名→33.75倍

このように、入浴人数が増えることで基準となる細菌数が増えていくことになるため、入浴直後のお湯には入浴人数に応じて細菌が増えていることになります。

 

洗濯はいつされますか?

特に、賃貸だと夜間に洗濯機をまわすとうるさいこともありますし、そもそも「太陽の下で干したい!」と思いますよね。

夏の暑い日なら、なおさら外で干さない手はありません。

ただ、お風呂に入る人は夜の場合が多いですよね。つまり、多くの場合最短でもお風呂のお湯を一晩置くことになります。

それでは、お風呂の残り湯を一晩おくと細菌数はどうなるのでしょうか?

 

○一晩置いたお風呂の細菌数(入浴直後の細菌数と比較)○

  • 2名→約2,272倍
  • 3名→約805倍
  • 5名→約444倍

となっています。


結果としては、入浴人数が多いほど細菌数の増え方は少ないですが、全体的な数では2名が入浴したときと比較すると5人入浴したときの方が約4.8倍多くなっていました。

ちなみに、横浜市では水道局が行なった実験より、入浴してから一晩おくと風呂の残りの細菌数は数千倍に増えていたことが報告されています。

→さらに、残り湯1mL当たりの細菌数は約100万ですが、「真夏には200万近くまで増殖した」という結果も合せて出されています。

つまり、そもそも真夏は細菌が増殖しやすいことが注意点としてあります。

 

結局、お風呂の残り湯は洗濯には使えないの?

水道局が行なった実験の結果、このような報告がされています。

一晩置いた残り湯を使って洗濯すると、残り湯由来の細菌が洗濯物に残ってしまう。

  • 脱水直後の洗濯物:1平方センチメートルあたり10万の細菌が残存
  • 24時間以上、屋内で乾燥させても細菌は1/10程度しか減少しない

梅雨時に洗濯物の臭いが気になるのは、人の皮膚にいる常在菌が洗濯物に残った皮脂やタンパク質の汚れを栄養分として臭い物質を作り出してしまうためです。

*ちなみに、日光に当てれば殺菌はできるが細菌の死骸は残ることがあるため、乾燥の途中で臭いが発生することもある。

それでは、お風呂の残り湯は捨てるしかないのでしょうか?

 

お風呂の残り湯の使い所とは?

結論から言えば、「すすぎ」は、水道水を使った方が細菌が残らずキレイに洗うことができます。

つまり、残り湯を使いたいなら「洗い」だけに使うことになります。

ただし、この場合「すすぎ」は2回実施する必要があります。(「すすぎ」1回では落としきれない)

それでは、バスクリン等を使っている場合は残り湯を洗濯に使えないのでしょうか?

 

バスクリンなどを使った残り湯は洗濯に使えるの?

株式会社バスクリンのHPを確認すると、このような説明があります。

「バスクリン」の入浴剤は、基本的に残り湯を洗濯に利用できるよう配慮しております(「中将姫の湯」は残り湯での洗濯はできません)。また、洗濯洗剤の働きを妨げる成分は入っておりません。

つまり、一部残り湯として洗濯に使用できない入浴剤もありますが、基本的には残り湯を洗濯に使う前提で作られていることが分かります。

ただし、注意事項があります。

  1. 残り湯と柔軟剤を一緒に使わない
  2. 残り湯でおろしたての衣類を洗濯しない
  3. 残り湯でつけ置きしない

そして、「すすぎ」は清水で行なう。

ちなみに、「花王のバブ」を使用する場合も同じで洗濯に使えますが、「すすぎ」は水道水などのきれいな水を使うことが指摘されています。

バブの種類によっては、給水ポンプのフィルターが詰まることがあるため注意する必要があります。

→まずは、製品表示の使い方をチェック!

 

最後に

正直、手間を考えると普通に洗濯した方が楽であることは言うまでもありません。そもそも、残り湯の使い方を間違えるともう一度洗うはめになる可能性もあります。

また、できるだけお風呂のお湯をキレイに使う必要があるため、「湯船におもちゃをいれない・体を洗ってから湯船につかる」といったことが基本になりますが、小さい子どもがいれば難しいでしょう。

我が家でも、「アヒルのおもちゃ」や「ミニオンの使い終わったシャンプーボトル」などを湯船に浮かべて子どもが遊んでいるため、他の家庭よりも湯船が汚いことが容易に想像できます。

ただ、そもそも常在菌は人と共生している菌であるため基本的に病気になる心配はありません。

ですが、例えば健康被害で問題になるレジオネラ菌は抵抗力の弱い人(高齢者や乳幼児・病気の人など)には感染リスクが高いため注意が必要です。

節水や節電のために、無理をして病気などになっては意味がありません。節電や節水は、無理のない範囲で実践して下さいね。

 

→「レジオネラ」については、こちらの記事で紹介しています。

加湿器で感染リスク? 「エアロゾル感染とレジオネラ」

 

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