国勢調査が開始され、皆さんのご自宅にも国勢調査のアンケート用紙がすでに届いているのではないでしょうか?
ただ、犯罪者は使える物はどんなものでも利用してきます。
というのも、そもそも最初から嘘ですから守る必要がないため、相手を騙して情報を聞き出すなど、目的を達成すればそれでいいためです。
今回は、「国勢調査でかたり調査!?」
についてご紹介します。
→「国勢調査と罰則」については、こちらの記事で紹介しています。
国勢調査をかたる人達
前回、国勢調査と統計法についてご紹介しましたが、「国勢調査です!」と偽って個人情報を入手するなどといった行為は、犯罪行為になります。
統計法 第57条
一 第十七条の規定に違反して、国勢調査その他の基幹統計調査の報告の求めであると人を誤認させるような表示又は説明をすることにより、当該求めに対する報告として、個人又は法人その他の団体の情報を取得した者
→二年以下の懲役又は百万円以下の罰金
ちなみに、第十七条の内容は以下のようになっています。
第十七条 何人も、国勢調査その他の基幹統計調査の報告の求めであると人を誤認させるような表示又は説明をすることにより、当該求めに対する報告として、個人又は法人その他の団体の情報を取得してはならない。
つまり、「国勢調査です!」と騙して個人や団体の情報を取得すれば「二年以下の懲役又は百万円以下の罰金」に処されることになります。
間違っても、「アルバイト?」と称してこういった手口に加担してはいけません。
あなたは捕まっても、その情報を使って本当にお金をだまし取る人達が捕まる可能性は低いでしょう。
国勢調査ではありえない調査方法とは?
ところで、国勢調査の回答方法はご存じでしょうか?
「送られてきたアンケート用紙への回答」、「インターネット」、「訪問調査員」・・・電話?メール?ウェブサイトへのリンク?
現代なら、「以前にはなかった方法で調査も行われている?」と咄嗟の時には考えてしまうかも知れません。
ですが、例えば横浜市では、「2020年の国勢調査のスケジュール」はこのようになっていました。
9月14日(月曜日)~9月30日(水曜日) | インターネット回答用IDと調査票(紙)の配布 |
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9月14日(月曜日)~10月7日(水曜日) | インターネットによる回答期間 |
10月1日(木曜日)~10月7日(水曜日) | 調査票(紙)の提出 |
さらに、今回は新型コロナウイルスの影響で訪問調査員と直接接触しない調査方法がとられており、例えば郵便受けなどを使って、調査書類を配布しています。
つまり、そもそもあなたは基本的に調査員と接する機会がありません。
スケジュールをみてもらえば分かるように、調査方法は「インターネットによる回答」
か「郵送」
しかありません。
ちなみに、職員から電話がかかってくる可能性はありますが、あくまでも調査内容に不備があった場合の確認です。
*「インターネット」と「郵送」以外で国勢調査の依頼があれば、犯罪の可能性が高い。
とはいえ、場合によっては国勢調査員が訪問してくる可能性はあるかもしれません。
ですが、そんな国勢調査員も一目で分かるようになっています。
「総務省統計局」の印字
- 顔写真付きの「調査員証」
- 腕章
- 「令和2年 国勢調査」と書かれた手提げ袋
これらを身につけています。
とはいえ、国勢調査については調べればすぐに本物か偽物か見分けがつくようになりますが、残念ながら、被害に遭ってから気付くことになるかもしれません。
というのも、例えばすでに「かたり調査」と思われる不審な電話が発生しています。
2020年の国勢調査ですでに不審な電話が・・・
国民生活センター 2020年9月1日(メールマガジンに掲載)
(事例1)
数日前、「国勢調査」と言って電話があり、銀行のことについて「いくつ口座があるか」「預金は1千万円以上あるか」と聞かれた。「口座は二つあり、預金は1千万円以下だ」と答えた後、不審に思い電話を切った。(80歳代 女性)
(事例2)
国勢調査だと言って個人情報を聞かれたことがある。答えなかったが、答えたほうがよかったのだろうか。(70歳代 女性)
さて、この事例はどこがおかしいか分かりましたか?
事例のどこがおかしい?
そもそも、電話で調査している時点で犯罪の可能性が高いです。
また、国勢調査を回答したことがある人なら知っていると思いますが、そもそも・・・
- 預金
- 収入
- 負債
- 銀行口座
- クレジットカード
など、こういった調査項目は国勢調査に存在しません。
つまり、国勢調査の調査内容にお金の話がでた時点で詐欺だと思っていいでしょう。
もちろん、街頭などで呼び止められて・・・なんてこともありえません。
繰り返しますが、国勢調査だと偽って情報を取得した場合は「二年以下の懲役又は百万円以下の罰金」
となります。
最後に
国勢調査については、「そもそも強制するから騙されるのでは?」と考える人もいるかもしれません。
ただ、そもそも「インターネット」や「郵送」ですでに回答が終わっていれば騙されることも減るでしょう。
→「回答に不備があった」などと行って、騙そうとしてくることはあるかもしれません。
「個人情報を守りたい!」と考えることも分かりますが、ドコモ口座の事件では最も知られてはいけない情報の1つである「個人口座の情報」まで知られてしまっています。
残念ながら、いまさら国勢調査を拒否しても守れる個人情報にはあまり期待することができません。
それよりも、個人情報が知られていることが前提で行動した方が現実的です。なにより、国勢調査は今生活している場所の状況をつかむための全数調査です。
そして、私達の今後の生活の指標になる調査ですので、なくしてしまう影響の大きさを考えてしまいます。
*国勢調査のオンライン回答については、次回ご紹介します。
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