クリーニング所の厳しいルール! 「指定洗濯物」をご存じですか?

 

皆さんは、クリーニング店を利用することがあるでしょうか?

クリーニング店といえば、「どんな衣類でもキレイな状態に戻してくれる!」そんな印象を持っている方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、お金を支払って仕事として洗濯をする分けですから「キレイにするのは当たり前!」ですよね。

ですが、「指定洗濯物」については特別なクリーニング店でしか処理することができません。

今回は、「一般のクリーニング所では処理できない指定洗濯物」についてご紹介します。

 

そもそも「クリーニング所」ってなに?

クリーニング所というのは・・・

  • 洗濯物の処理
  • 受け取り
  • 引き渡し

これらのためにクリーニング業を営むものの施設です。

 

クリーニング業というのは・・・

  • 溶剤
  • 洗剤

これらを使用して、衣類その他の繊維製品また皮革(ひかく)製品を原型のまま洗濯することをいいます。

 

営業形態

さらに、クリーニング業法が適用される営業形態には3種類があります。

  1. クリーニング所:洗濯物の処理(選別・洗濯・乾燥・仕上げなどの全部または一部)を行なう施設。
  2. クリーニング取次所:洗濯物の引き渡しのみを行なうクリーニング所。
  3. 無店舗取次店:施設を開設しないで洗濯物の受け取りおよび引き渡しをすることを営業しようとする車両を用いた店舗。

つまり、「クリーニング所」だけが洗濯物の処理を許されていますが、どこまでの処理をしてくれるかはクリーニング所によって異なります。


クリーニング所を開設・廃止するときは、都道府県知事に届出をしなくてはいけません。(そもそも、都道府県知事の使用前の検査確認を受けたクリーニング所のみが使用できる)

クリーニング所は、このように厳しく取り締まられています。

さて、そんなクリーニング所では他にも厳しいルールがあります。

jarmoluk / Pixabay

 

「指定洗濯物」に対する厳しいルール!

冒頭からお伝えしているように、クリーニング所は万能ではありません。

特に、厳しく取り扱われているものが「指定洗濯物」です。

 

「指定洗濯物」ってなに?

簡単に言ってしまえば、「消毒が必要な洗濯物」です。

クリーニング業法では、このように指定されています。

 

クリーニング業法

一 伝染性の疾病にかかっている者が使用した物として引き渡されたもの
二 伝染性の疾病にかかっている者に接した者が使用した物で伝染性の疾病の病原体による汚染のおそれのあるものとして引き渡されたもの
三 おむつ、パンツその他これらに類するもの
四 手ぬぐい、タオルその他これらに類するもの
五 病院又は診療所において療養のために使用された寝具その他これに類するもの

例えば、子育てをしていると汚物(尿・便など)が衣類などに付着することはよくありますし、子どもが風邪を引いて嘔吐してしまうこともあります。

ですが、こうして汚染された衣類は「指定洗濯物」に該当するため、普通のクリーニング所では受け付けてもらえません。

 

指定洗濯物取扱施設

そもそも、指定洗濯物(汚染された衣類)を取り扱う施設のことを「指定洗濯物取扱施設」といいます。

行政への申請が必要な、まさに特別な施設です。

また、指定洗濯物を消毒する方法については「クリーング所における衛生管理要領」で定義されています。

もしも、ルールに従うわなければ、都道府県知事(保健所設置市または特別区の場合は「市長」または「区長」)により、必要に応じて処分を受けることになります。

 

必要に応じた処分!?

  • 従業員等に対する業務停止
  • 環境衛生監視員による立ち入り検査
  • 措置命令
  • 営業停止
  • 閉鎖命令
  • クリーニング師の免許停止処分

こういった処分を受けることになります。

つまり、クリーング業法を守らなければそもそも営業ができなくなり資格も失うことになりかねません。

*クリーニング師は、都道府県知事が指定した研修を受ける必要があります。(最初の研修を受けた後は、3年を越えない期間ごとに受ける必要がある)

クリーニング所ごとに1人以上のクリーニング師をおかなければなりません。

つまり、マナー違反をするお客さんは本当に迷惑な客ということになります。

 

マナー違反!

クリーニングを利用する場合、何も言わず汚物の付着した洗濯物を他の被濯物で丸めて分からないように持ち込み、預けるケースが指摘されています。

「汚染物」をクリーニング所に持って行くことは、感染症の感染を促す加害者となる可能性が高くなります。

そして、クリーニング店であればなんでも洗えるわけではありません。必ず、店員へどういった衣類なのかを申し出る必要があります。

geralt / Pixabay

 

最後に

汚物がついた衣類が、限られたクリーニング所でしか使えないことを知らなかった人も多いのではないでしょうか?

実は、厚生労働省の調査では全国のクリーニング所の数は2018年度の時点で2万5713施設もありますが、「指定洗濯物取扱施設」は、3,499施設しかありません。

つまり、9割近くのクリーニング所では指定洗濯物を扱うことができません。

指定洗濯物取扱店は、最寄りの保健所に問い合わせる必要がありますが、場所によっては把握していない場合もあるようです。

さらに、病院や介護施設などの専属業者の場合もあるため一般の洗濯物を受け付けていない場合もあります。

このように、汚物が付着した衣類をクリーニングに出すことは、そもそも難しいことが分かっていただけたのではないでしょうか?

ルールは守って利用して下さいね!


参考

厚生労働省:クリーニング業法概要
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei04/07.html

盛岡市:クリーニング所に関する手続き
http://www.city.morioka.iwate.jp/kenkou/hokenjo/kaisetsu/1006730/1006734.html

神奈川県クリーニング生活衛生同業組合:嘔吐物のクリーニングについて
https://www.kanagawa929.or.jp/column/washing_cleaning/post_107.php

西日本新聞:嘔吐物が付いた衣類、クリーニング出せる? 「指定洗濯物」OKかどうか確認を
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/571890/

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です