ハンコ文化とオンライン契約 法的にはどちらも認められている!?

 

リモートワークがこれから進んでいくことが期待されていますが、残念ながら「ハンコを押してもらうために出社している!」なんて問題になっていますよね。

それでは、そもそも契約の意味をご存じでしょうか?

今回は、「電子契約書(オンライン契約書)と紙の契約書」についてご紹介します。

 

電子契約書ってそもそもなに?

これまでなら、例えばwordで契約書を作成した場合、ファイルをプリントアウトし、印鑑をもらうために郵送で送ったり、ハンコをもらいに行く必要がありましたよね。

それでは、紙媒体が必要なくなればどうでしょうか?

電子契約書の1つとして、「クラウドサイン」というオンライン上で契約を成立させることができるサービスがあります。

「クラウド」というのは、パソコンやUSBなどの記録媒体に保存するのではなく、ネット上に保存できるサービスで、ネット環境さえあればどの機器からでもパスワードを入力すればいつでもアクセスすることができるサービス。

例えば、私が使っているグーグルの「スプレッドシート」が、このクラウドサービスの1つです。

さて、そんなクラウドサービス(オンライン上)を使った契約が「クラウドサイン」です。

使い方としては、作成した契約書をオンライン上で保存し、契約当事者にアクセスしてもらい問題なければそのままパソコン上の操作だけで了承できてしまいます。

当然ですが、ハンコはいりません。つまり、オンライン上で一連の契約行為ができてしまうことになります。

あくまでクラウドサインは電子契約の1例ですが、すでに電子契約ができる下地は日本に存在しています。ただ、まだまだ普及していません。

それでは、そもそも法的に電子契約は問題ないのでしょうか?

 

電子契約は法的に認められるの?

そもそもの話しですが、日本での契約は口約束でも成立してしまいます。

つまり、基本的には契約の形は問いません。→「基本的に」という部分はかなり重要ですので後述します。

さらに言えば、実は「電子署名法」という法律が2001年4月1日にすでに施行されています。

 

電子署名法の効力

電子署名法により、電子署名が「手書きの署名」や「押印」と同様に通用するための法的基盤が整備されました。

それに伴い、認証業務のうち一定の基準を満たすものは、国の認定を受けることができる制度が導入され、国からの認定を受けている旨を表示することもできるようになっています。

ただし、先程もお伝えしたように「基本的には契約の形は問わない」です。

 

実は、「書面」にしなくてはいけない契約が存在する!

例えば、「任意後見契約」や「訪問販売における書面交付義務」など、法律によって書面による契約が定められている場合は、これまで通り書面で契約をしなければ無効となってしまいます。

ただし、「労働条件通知書」のように電子化が解禁される場合もあります。

労働者として働いたことがある人なら、最初に労働条件が書かれた書類をもらったのではないのでしょうか?

  1. 労働契約の期間
  2. 有期労働契約の更新の基準
  3. 就業場所・従事すべき業務
  4. 始業・就業時刻、所定労働時間越えの労働の有無、休憩時間、休日、休暇、2交代制に関する事項
  5. 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切・支払時期、昇級に関する事項
  6. 退職(解雇を含む)に関する事項
  7. その他

このように、あらかじめ書面(労働条件通知書)で交付することが決まっていました。

ですが、2019年4月1日になってようやく「労働条件通知書」もFAX・電子メール・SNS等で明示できるようになりました。

このように、少しずつ重要書類の電子化が進められていますが、残念ながら緊急事態宣言が出されてテレワークが開始されても、いまだにハンコを押してもらうために出社する人が後を絶たない状況に陥っています。

それでは、そもそも日本でハンコにはどのような効果があるのでしょうか?

 

「テレワーク」については、こちらの記事で紹介しています。

テレワークにも労働者の権利は保障されている! 新型コロナウイルスと働き方

 

日本におけるハンコの役割とは?

そもそも、「記名」と「押印」の違いをご存じでしょうか?

  • 記名:署名(自筆)以外の方法で氏名を表示することをいいます。→ゴム印やプリンー印字など
  • 押印:印鑑で文書に印影を残すこと

さて、契約書には締結されたことを示す署名や押印がなされていますよね。種類としては、「署名のみ」・「署名+押印」・「記名+押印」があります。

契約を締結させるためには、このいずれかがあって初めて契約書に法的効果が付与されることになります。これは、今でも変わりません。

「ハンコ文化」ともいわれますが、法的な根拠として例えば裁判になった際の証拠としても扱われます。言い換えれば、ハンコへの信用力がまだまだ日本では高いことがうかがえます。

 

最後に

ハンコ文化を否定するつもりはありません。

ただ、例えば業務用の3Dプリンターであれば、「実印」ですら偽造コピーできる可能性があるほど高性能な物まであります。

とはいえ、「電子契約書なら絶対に安全!」というつもりもありません。

そもそも、昔から口約束では証拠が残らないため、証文(契約書)がかわされたり、「割り符」と呼ばれる合わせることで意味をなす物を使ったりと様々な工夫がなされていました。

ただ、少なくともハンコ文化が揺らいでいることは間違いありません。今後、「ハンコ」と「電子契約」のどちらが便利で信用できるかによってどちらかが淘汰されていくでしょう。

少なくとも、法律の改正により少しずつ紙媒体はなくなっています。

個人的に興味があるのは、日本のIT大臣となったハンコ議連の会長は、「ハンコ」と「電子契約」どちらを選択するのでしょうか?

世代交代のタイミングは、間近にきているのかもしれません。

 

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