皆さんは、子どもと夏にでかける場所と言えば海派?山派?
どちらにしても注意することはたくさんあります。
さて、今回は海派の人のための「フロート遊びの注意点」についてご紹介します。
*海難事故は思った以上に起きていますので、参考にしてもらえれば幸いです。
「フロート」ってなに?
最近は、誰でも簡単に安くて楽しい海で遊べるグッズを買うことができますよね。
さて、海で「ビニール製の浮くグッズ」と言えば、ビーチボールや浮き輪なんかが主流ではないでしょうか?
フロート(float)=浮き・浮かぶ・浮輪といった意味があります。つまり、浮き具のことをフロートと言います。もちろん、一般的なO型(ドーナツ型)の浮輪もフロートの1つです。
それでは、空気で膨らませることで人が乗ることができる「ビニールおもちゃ」をご存じでしょうか?
鳥だったりイルカだったり、バナナや水上バイクなどを模した浮輪で、上にまたがることで浮遊感を楽しめる子どもにとってもとても面白い「フロート(浮輪)」なんですが・・・
体が水中に入る部分が少ないため、自分で移動することが難しいという難点があります。
今回取り上げるのは、こちらのレジャー用で使われる「跨がる・乗るタイプ」のフロート(浮輪)の危険性についてご紹介します。
どんな危険があるの?
想像通りだとは思いますが・・・
単純に、自分で移動することが難しいため、海で遊んでいるときにそのまま流されてしまったら大変なことになることは誰でも想像ができると思います。
「気をつけるし、そんなこと滅多にないだろ~」と思うかもしれませんね。
ところが、実際に「流される」という事故が何件も発生しています。
消費者庁のHPでも、注意喚起がなされています。
海上保安庁の平成21~30年までの10年間の事故情報において、子どもが海で遊泳中の事故者数(溺水・漂流による帰還不能など)は累計583人。
平成30年中は70人で上記10年間でもっとも多くなっています。
さらに、平成30年中の事故の中には、「フロートに乗った子どもが陸からの風により沖に向かって流される」という事例があり、さらに4歳児が溺れて中等症(命の危険はないが入院を要する状態)になった事故も発生しています。
それでは、なぜこんな事故が発生しているのでしょうか?
事故の状況は?
平成30年で発生した事故事例
- 事故者(8歳)は、フロート(動物型)に乗って遊泳。徐々に沖に流され帰還不能。
- 事故者(6歳)は、フロート(動物型)に乗り、同フロートの取っ手を大人が保持していたが手を離した際に、沖に流され帰還不能。
- 事故者(5歳)は、母親と2人でフロート(動物型)に乗り、父親がフロートをつかんで遊泳。強風で父親が手を離してしまい帰還不能。
- 事故者(4歳)は、姉とフロート(動物型)にのって遊泳していたが、母親に呼ばれ姉だけが浜に戻ったところ、風に流され帰還不能。さらに、事故者が立ち上がりバランスを崩し落水。
- 事故者(8歳)は、フロート(動物型)に乗り、姉はフロートをつかみながら遊泳。足が付かなくなりフロートから手を離した際に沖に流され帰還不能。
- 事故者(6歳)は、フロート(動物型)に乗り、父親がそのそばを遊泳。突風で沖に流され帰還不能。
→幸運にも、死者は出ていません。
原因は?
さて、上記の事例から共通点が見えてきたのではないでしょうか?
どれも、フロートが風に流されたことが原因です。しかも、手を離した一瞬の時間で帰還不能になる距離まで流されている事例もあります。
それでは、突風が突然吹いた影響でこのような事故に見舞われたのでしょうか?
実は、風を使った市販品テストで様々なことが分かっています。
- サーフボード型→手足をつけることができる。
- 海洋生物型(イルカ)→足を付けることができる。
- 鳥形→子どもが乗り込めるタイプ。
3種類のフロートを使用し、風速はそれぞれ3・6・10m/sの3条件で実験をされています。
どんな結果になったと思いますか?
図1 《フロート別 漂流速度》
図1から分かるように、風速3mでさえ1秒間に手や足が浸かるフロートは、約0.23m流されました。そして、乗り込み型のフロートだと0.64mも流されています。
風速6・10m/sともなれば、図1のように当然さらに流される距離は長くなります。
鳥の乗り込みタイプのように立体的なフロートは、影響が受けやすいことが分かります。
とはいえ、気付くのが数秒遅れただけで、どんなフロートタイプであっても漂流する危険性があることが図1から見てとれます。
そもそも、風が強い日にフロートで遊ばない方がいいでしょう・・・
それでは、図1にある風速3m/sとはどれくらいの風だと思いますか?
風速3m/sの風?
気象庁の風力階級を見てみると・・・
風速3m/sとは、風力2で「軽風」とされています。(風速1.6~3.3m/s)
- 周囲の状況・・・顔に風を感じる・木の葉が揺れる・風見が動き出す。ちなみに、子ども用のナイロンのこいのぼりが泳ぎ始める風速です。
- 海上の状況・・・小波の小さいもので、まだ短いがはっきりしている。波頭はなめらかに見え、砕けていない。
つまり、風を感じた時点で海に浮かべたフロートが流される危険性があります。
風速6・10m/sの状況は・・・
①風速6m/sとは、風力4で「和風(わふう)」と呼ばれます。(風速5.5~7.9m/s)
- 具体的には・・・砂埃が立ち紙片が舞い上がる。小枝が動く風です。
- 海上の状況・・・波の小さいもので長くなる。白波が多くなる。
②風速10m/sとは、風力5で「疾風(はやて)」と呼ばれます。(風速8.0~10.7)
- 周囲の状況・・・葉のある灌木(かんぼく:人間の背の高さより低い木)が、ゆれはじめる。池や沼の水面に波頭がたつ。
- 海上の状況・・・波の中位のもので、一層はっきりして長くなる。白波がたくさんあらわれる。
フロート使用時の注意点は?
そもそも、事故の半数は遊泳可能な海水浴場以外で発生しています。つまり、ライフセーバーを始め設備がしっかりとしていない状況で発生しています。
そのため、管理されている海水浴場で遊ぶ必要があります。
そして、なにより大人がフロートから手を離さないことが重要です。子どもだけでフロートに乗って遊ばせないようにしましょう!
最後に
せっかくの遊びで行方不明なんてことになれば、泣くに泣けません・・・
ちなみに、流されていることに気付いてすぐに追いかけても、水深が増すに連れて救助者の移動速度が遅くなるため、追いつくことは難しくなります。
あってはいけませんが、もし海での事件・事故が起きれば海上保安庁緊急通報用電話番号「118番」に通報!
楽しい夏ですが、安全対策はしっかりして下さいね。
参考
国民生活センター
→http://weather-gpv.info/gw.php
気象庁
→https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kaze.html
weather
→http://weather-gpv.info/gw.php
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