国立感染研究所により、2019年7月30日に風疹患者数が2004人になったと発表されました。
厚生労働省は、ワクチン接種の徹底を呼びかけている状態です。
今回は、そんな「感染力の強い風疹」についてご紹介します。
風疹ってそもそもどんな病気?
風疹は、「三日ばしか」「三日はしか」とも呼ばれその感染力は、水痘・麻疹(はしか)・ノロウイルスよりは弱いが、インフルエンザよりも強いという特徴があります。
(風疹は、1人の風疹患者から5~7人にうつす強い感染力があります)
風疹は、発熱・紅い発疹・リンパ節腫脹(耳の後ろが腫れる)がほぼ同時に出現します。→ウイルス性発疹症
ただし、感染しても症状は様々です。
- 症状が出ない。
- 関節炎を伴う。
- 重篤な合併症(脳炎など)併発
と言った具合に、無症状~命の危険までその症状には雲泥の差があります。
風疹の一連の流れ
❶耳の後ろや首などのリンパ節が腫れる。
➋米粒~エンドウ豆ほどの大きさの淡いピンク色をした発疹が、顔や耳の後ろに現れる。(発熱を伴うこともある)
❸この発疹は、1~2日で全身に広がる。
❹3日程度で発疹は自然に消えるが、発疹が消える頃に痒みがでる。
妊婦さんへのリスク
風疹は感染後、約2週間で発症しますがもし、妊娠1ヶ月の女性が風疹に感染すると50%以上の確率で・・・
- 心疾患
- 白内障
- 難聴
など、「障害をもった子どもが産まれる可能性が高い」と注意喚起がなされています。
*風疹の抗体検査は、3,000円~5,000円程
→自治体に申請すれば、無償・費用の一部が助成される場合もあります。
患者が急激に増加中!
私が子どもの頃は、子どもがかかる病気として知られていたと思うのですが・・・
平成30年に報告されたこの年の風疹患者累計は2,917人。5年振りに2,000人越への流行で深刻化していました。
ところが今年、平成31年(令和元年)は国立感染症研究所が7月30日の発表で風疹患者数がすでに2,004人になったと発表しています。
→昨年を上回るペースで、増加しています。
*患者の大半は子どもではなく、なんと95%が大人(30代~50代の男性に多くみられる)
とはいえ、風疹と言えば予防接種を子どもの頃にすでに受けているはずですよね・・・
なぜ、大人の間で風疹が大流行しているの?
インフルエンザよりも感染力が強い風疹は、ウイルスが小さいこともあり、予防対策としてよく言われる「手洗い・うがい・マスク」では予防できないとされています。
そして、男性の間で大流行している風疹は、「定期予防接種の制度の隙間が影響している」といわれています。
風疹の予防接種
- 1回目:1歳
- 2回目:5歳以上~7歳未満
この2回の予防接種でほぼ確実に予防することができます。
つまり、予防接種をしていれば基本的には風疹にはそもそも感染することがほとんどありません。(ほとんどというのは、2回の予防接種をしても風疹への抗体が付かない場合もあるため)
ところが、1979(昭和54)年4月1日以前に産まれた男性は、そもそも風疹の定期接種がありませんでした。つまり、この年代以前の男性は、「さいあく1度も予防接種を受けていない」ことが指摘されています。
さらに、一度風疹を発症すれば解熱剤を処方するなど、対処療法しかなく有効な対処法はありません。つまり、風疹に対する唯一の予防は、ワクチン接種のみです。
「子ども」と「大人」の違い!
風疹は、子どもと大人で症状が異なります。
子どもの場合
- 発熱・発疹・リンパ節の腫れなどの症状。
- 子どもでは比較的軽くすむことが多い。
- まれに、「脳炎」や「血小板減少性紫班病」などの合併症に2,000人~5,000人に1人くらいの割合で発生する。
大人の場合
- 子どもよりも、発熱・発疹の期間が長い。
- 関節痛がひどくなることが多い。
大人の方が重篤化しやすい。
*発疹がでる前後約1週間は、人に感染させる可能性があるため注意が必要です。
妊婦さんへの注意事項
既に、妊娠しているのであればワクチン接種を受けることができません。
→人混みを避ける。
→風疹が発生している地域では可能な限り外出を避ける。
平成31年7月21日までの風疹患者数
- 東京都:736人
- 神奈川:246人
- 千葉 :176人
- 埼玉 :173人
- 大阪 :120人
- 福岡 :82人
→首都圏・大都市圏で流行していることが見てとれます。
妊娠するまでに風疹抗体の有無を確認することが、唯一の確実な対処法となります。
→私の妻は予防接種をしていたにも関わらず、残念ながら抗体が付いていなかったので妊娠中は人混みを避けながら生活し、無事に4.2kgの男の子を出産してくれました。
*一人目を出産後、あらためて風疹抗体を打っていましたが結局定着せず、二人目も風疹抗体なしで無事出産。
最後に
風疹は大人の方が重症化しやすく、男性に発症しやすい状態が続いています。
また、症状を和らげるには対処療法しかありません。
もし、「予防接種の有無」や「風疹にかかったことがあるか分からない」場合は、医療機関で風疹抗体を確認してもたった方がいいでしょう。
→あなたが風疹を発症→職場の同僚にうつす→同僚の奥さんにうつす→同僚の子どもが障害を持って生まれる。
なんてことになったら、あなただけの問題ではなくなります。
とはいえ、妊婦さんがそもそも風疹抗体を持っていれば心配することもないですし、ご主人さんが風疹抗体を持っていれば奥さんにうつすこともありません。(あなたに風疹抗体があれば、そもそも誰かにうつすこともない)
予防接種をしていても、風疹抗体が付いていないこともあります。そのため、男女に限らず風疹抗体の有無(検査)は早めに確認した方がいいですよ。
*自治体によっては無料で検査ができる場合もあるため、近くの医療機関や自治体などで確認してみてください!
→詳しくは、こちらの厚生労働省のHPで確認できます。
参考
厚生労働省
→https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/
新百合ヶ丘総合病院
→http://www.shinyuri-hospital.com/column/pharmacist/column_pharm_02.html
タケダ健康サイト
→https://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=hashika_hifuzen
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