2020年4月1日から「改正健康増進法」が全面施行されることはご存じでしょうか?
簡単に言えば、屋内での喫煙が原則禁止されます。とはいえ、タバコを完全になくすことはできないようです。
今回は、「JT(日本たばこ産業)などが力を入れている無煙タバコ」についてご紹介します。
→改正健康増進法についてはこちらの記事で紹介しています。
「無煙タバコ」ってそもそもなに?
無煙タバコは、鼻や口にたばこを含んで味・香りを楽しむたばこです。
なんと言っても「煙がでないタバコ」。これが最大の特徴といえるでしょう。ちなみに、大きく分けて「嗅ぎたばこ」「噛みたばこ」の2種類があります。
《嗅ぎたばこ》
- 鼻腔用(鼻から吸引する)・・・スナップ
- 口腔用(唇と歯茎の間に挟む)・・・スヌーズ→「ドライタイプ」と「ウェットタイプ」がある。
《噛みたばこ》
たばこ葉を石灰や香料、ハーブや甘味料などと組み合わせて口に含み、唾液は含まずに排出します。
つまり、無煙タバコは「煙による不快感を周りの人に与えることがない」ということになります。
なぜ、無煙タバコは普及しなかったの?
単純な話し、無煙タバコが普及していれば少なくとも副流煙に周りの人が悩まされることはなかったでしょう。
実際、「スヌーズ」のような嗅ぎたばこは、15世紀前半にフィンランドから持ち込まれ、16世紀には大衆に広がり現在では、アメリカ・スウェーデン・ノルウェーを中心に使用されています。
また、噛みたばこは、最も古いタバコの愉しみ方として、19世紀のアメリカでは国内生産量の半分を占めていました。
ところが、葉巻や紙巻きタバコが一般的になり消費量は世界的に減少してしまいました。
このように、そもそも無煙タバコの歴史は数百年の歴史があることが分かります。それでは、煙がでるタバコよりも危険性は少ないのでしょうか?
無煙タバコの悪影響は?
無煙タバコからは、3000種類以上の化学物質が同定されています。さらに、30種類の発がん性物質も確認されています。
こういった物質が、唾液に溶け出すことで口の粘膜を介して血液へ吸収されることになります。
ちなみに、「国際がん研究機構」では無煙タバコそのものがヒトに発がん性のある「グループ1発がん物質」であることを「ほぼ確実」→「確実」と科学的結論が明確に発表されました。
ただし、「JT」はこの発表に対して反対意見を発表しています。
さて、そんな「JT」や「BAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)ジャパンは、口に含んでニコチンを摂取するタイプの無煙タバコを相次いで日本で発表しています。
その中で、「VELO」という商品ついてご紹介します。
VELO(ベロ)
例えば、「VELO」という商品がとうとう日本にも上陸したことが話題になっています。
VELOは、スウェーデン生まれで健康リスクの提言も立証されているらしいのですが、以前もそんな言葉でさまざまなタバコが新発売されていたような・・・
- 電気・火の必要がない
- 臭いが付くこともない
- 使用による歯の付着のリスクも抑えられる
- 約1時間、味が持続する
というわけで、「健康的だ!」ということが前面に押し出されている商品となっています。
改正健康増進法にも引っかからない!?
無縁タバコですので、飛行機でも使用することができ、もちろん改正健康増進法が施工される4月以降も、使用することができるようです。
- 2020年2月13日にオンラインストア販売
- 福岡市内のファミリーマートや一部のタバコ取扱店限定で先行販売
BATは、「改正健康増進法の施工に合せていない」とのことですが、限定で先行販売をするなど特に「タバコをあきらめられない人」や「試しに利用しようと思う人」にとって、売り出し方としては最高の宣伝効果があるといえるでしょう・・・
「タバコは大人のたしなみ!」なんて宣伝されれば、昔に逆戻りになるかもしれませんね。使用していたとしても分かりずらいため、高校生ぐらいの子が隠れて使用する姿が目に浮かびます。
今後は、「隠れ喫煙者」が増える?
日本での喫煙者のイメージは最悪ですよね。かくいう私も、喫煙には反対しています。
今回、新発売される無煙タバコは白いパッケージで一見するとお菓子の缶にもみえるため「子どもが飲み込んだら・・・」と考えるとかなり怖いですよね。
とはいえ、「タバコの嫌な臭い」もなければ、「健康被害がでても本人のみ」となるため多くのタバコを吸わない人にとっては、人ごとですませることになるでしょう。
喫煙者にとっても、歯が変色するリスクも低いということなので、他人に自分から言わなければ使用していることが分からないと考えられます。
つまり、残るのは「自己責任」ということだけですね・・・
タバコの歴史が一週した!?
結論からいえば、タバコの歴史が最初に戻った(一週した)だけではないかと。それはそうと、少なくとも無煙タバコが主流になるまでは人前で堂々と口に含むことは難しいかもしれません。
なぜなら単純に、「危険なタバコを口の中に入れるなんてありえない!」というイメージがあるからです。
そのため、最初は「ガムを食べている風」に使用する人が増えるかもしれませんね・・・
パートナーや子どもに隠れて使用する、パパさんやママさんもでてくるでしょう。さらに、これまで禁煙できていた人が手を出す可能性も高いです。
「タバコを止めてくれていた!」と思っていたら、実は隠れて使用してしたなんてことになったら夫婦ゲンかに発展するかもしれませんね。
一番最悪なのが、子どもが誤飲したことで無煙タバコの使用がパートナーにバレた時ではないでしょうか。この場合、いろんな意味で取り返しが付かなくなるかもしれません。
タバコはタバコ
以前、タバコ関連の記事でも指摘しましたが、「安全なタバコ」はありません。
というより、危険性が科学的に証明されているにも関わらず、「麻薬のように法律で厳しく罰せられない状態が続いている物」それがタバコです。
さらに、無煙たばこの使用は紙たばこと同じで、がんや重大な病気の原因になります。ちなみに、無煙タバコの使用者の7割は紙たばこも併用していると言われています。
*無煙タバコを紙巻きタバコの代わりにするのではなく、禁煙外来を受診されることをオススメします。
→タバコについての記事はこちらで紹介しています。
最後に
予想通り、日本にとっては新しいタイプのタバコが改正健康増進法が施工されるタイミングで出回ることになりました。
ただ、無煙タバコは「喉が痺れる」「塩っぽい」など、種類により独特の刺激があるようです。
ですが、あまり目立つことが嫌いな日本人にとっては隠れて使用する人が増えていくかもしれません。そして、本当にそのタバコの危険性を知ることができるのは、使用者だけです。
とはいえ、私は危険だと知りながら自分の体で実験する気にはなれません。
繰り返しますが、安全なタバコはありません。
そもそも本当に健康的なら、最近話題の「健康食品ならぬ健康嗜好品?」として売り出せばいいのではないでしょうか?
それ以前に、「使用者に確実に害をなす商品を売り出すのってどうなの?」という疑問が残ります。「周りに害をださないからいい!」と言うのならば、そもそも麻薬も一部は認められてもいいことになりそうですが・・・
これ以上はやぶ蛇になりそうですので、これぐらいで。
とりあえず、お子さんがいるママさんやパパさんは、子どもを守るために必ずパートナーに「無煙タバコを使用している」と伝えてから使うようにして下さいね!
参考
JT:無煙タバコ
→https://www.jti.co.jp/tobacco/knowledge/variety/smokeless_cigarette/index.html
無煙タバコなら安心?
→http://square.umin.ac.jp/nosmoke/material/TS_muen.pdf
国立がん研究センター:情報提供 受動喫煙と肺がんに関するJTコメントへの見解
→https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2016/0928/index.html
VELO公式
→https://velo.discoverglo.jp/age-confirmation?returnurl=%2f
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