~虐待マニュアル~ SBS理論 発祥の地ではすでに絶対的なものではない!?

 

年号が平成から令和に変わりましたが、虐待がなくなることはありません。そして、虐待による冤罪がなくなることもなさそうです。

先日、乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)は、SBS理論により「硬膜化血腫と眼底出血」がみられればSBS。つまり、虐待と判断される現実があることをお伝えしました。

これは、平成25年改訂版の厚生労働省が発表している虐待防止マニュアルにも基本的な対応として記載されています。

*そもそも、マニュアル通りの判断でいいのなら専門職は必要なくあなたや私でもできてしまいます。

ですが、そもそもSBS理論が破綻してきていることをご存じでしょうか?

今回は、各国の状況と日本の中村1型についてご紹介します。

SBSについては、こちらの記事で紹介しています。

命に関わる乳幼児揺さぶられ症候群(SBS) ~虐待ありきで隔離?~

今回の記事は、刑事弁護OASISの記事を中心にまとめています。

 

SBS理論はいつからあるの?

発展経過

❶そもそもSBSは、1970年代にアメリカやイギリスで提唱された医学理論です。

➋「目立った外傷がないにも関わらず、乳幼児の硬膜下血腫や網膜出血があれば揺さぶり行為によりそれらの症状が生じたと考えられる」という仮説でした。

❸この理論が、1980・1990年代にかけてアメリカにおいて硬膜下血腫・脳膜出血・脳障害といわれる3徴候が発生している場合、他の死亡や障害の原因がない場合は揺さぶられたことが原因だと推理できるという理論に発展。

*この理論の問題点は、保護者が「低位落下(つかまり立ちからの転倒など)で発生した!」として主張しても「低位落下では3徴候は生じないから嘘をついている!」と判断されてしまうことです。

❹つまり、直前にこの乳幼児と関わっていた者(親・親戚・近所のおばさんなど)が容疑者とされる可能性が高くなります。


このようにして、SBS理論は1990年代から海外で注目されるようになった理論です。こういったアメリカの議論が1990年に日本へ伝わり、日本にもSBS理論が広がっていきました。

この時、この理論の信憑性をちゃんとした検証をしていれば今のような冤罪事件には発展していなかったかもしれません。

もちろん、この理論が正しければ良かったのですがこの理論の発症の地であるアメリカやイギリスをはじめ、海外ではこの理論の影響で、冤罪が続発しました。

Counselling / Pixabay

 

日本では1990年代以降どんな経過をたどったの?

❶1990年代にアメリカからSBS理論が日本に普及。

➋SBS理論による虐待論が、一部の医師により推進。

❸2010年頃から、これらの医師による鑑定に基づき、警察・検察が養育者を積極的に追訴

❹その結果、有罪判決が出るようになった。

*結局、海外と同じような経過をたどっているのではないでしょうか・・・

Conmongt / Pixabay

 

この理論の問題点は?

アメリカ・イギリス・カナダ・スウェーデンといった各国では、すでにSBS理論は虐待の根拠にならなくなってきています。

それでは、日本はどうだったのどうでしょうか?

実は、1964年に中村紀夫医師の研究により転倒や低位落下でも硬膜下血腫などの頭部損傷が生じることが明らかにされていました。

ですが、一部の医師の指示によりどんどんSBS理論が広められていったようです。

つまり、この理論の問題点は・・・

  • 発症の地である海外ではすでにSBS理論は否定されつつある。(日本のように3徴候が絶対的なSBSの理由にならない)
  • 日本でも、このSBS理論が普及される何十年も前にすでに否定されている。

ということになります。

ところが、今だに日本では3徴候があれば虐待と判断され、親子は隔離・逮捕されかつての海外と同じような経過をたどっているようです。

mary1826 / Pixabay

そもそも、3徴候が他の原因で発生するかどうかはすぐに検証できそうなものですが・・・

 

中村Ⅰ型

日本では、虐待によるものではなく事故として起こる3徴候を示す根拠として中村Ⅰ型があります。ただし、裁判では医師がこの判断をしめしたとしても、裁判で考慮されないことがあるようです。

中村Ⅰ型は、1960年代に論文で発表されています。これは、つかまり立ちなどからの転倒で頭を打つなど、軽度な打撲によっても起きる硬膜下血腫のことをいいます。

「生後7~10ヶ月・畳など、固くないものに後頭部を打つ・脳実質に一時的な損傷を認めない」など、その他全部で7つの特徴があれば虐待ではなく、事故の可能性が高いということになります。

dewanr2 / Pixabay

 

最後に

そもそもの問題点は、よく分からないことまでSBSとして親子分離・逮捕してしまう今の現状にあります。まさか、自宅内に監視カメラを設置するわけにもいきません。

分かっていることは、病院に行ってCTをとった結果、SBSの徴候が確認されれば無条件に児童相談所が介入してくる可能性が高いことです。

*医師は、「マニュアル通りにあとは児童相談所が判断してくれるだろう」と虐待通報。児童相談所は「医師が虐待の判断を下したから」とマニュアル通りに親子を分離する・・・

こんなことがおこなわれているのかもしれません。

あきらかにSBSが原因なら虐待ですが、転倒事故や病気などによってもSBSの所見が見られることを忘れてはいけません。


これでは、私達親は安心して病院にいくこともできません。

虐待防止法が厳しくなりますが、はたして1度も児童相談所の虐待介入がなく無事に育て上げられる親は何人いるのでしょうか?

そして、令和という新しい年号になっても冤罪で捕まる親は何人出てくるのか?

虐待冤罪事例はこちらの記事で紹介しています。

ただの事故が虐待に!?子どもが母から離されて起こる「母子分離不安」とは?

これからの法整備に、注目していきたいと思います。

参考にさせていただいた資料には、たくさんの冤罪事例といまだに子どもに会えない事例がたくさん紹介されています。

気になる方は、ぜひ下記の参考より虐待マニュアルと合わせて確認してみて下さい。


参考

刑事事件OASIS
https://www.keiben-oasis.com/3764

SBS Review Project Japan
https://shakenbaby-review.com/index.html

yahooニュース:「揺さぶられっ子症候群に科学的根拠なし」日弁連シンポで外国人医師らが警鐘
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagiharamika/20190218-00115172/

龍谷大学:国際シンポジウム
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-1976.html

厚生労働省:子ども虐待対応の手引き
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/dl/120502_11.pdf

 

 

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