「熱中症では塩分補給を忘れずに!」とよく言われます。
私も、記事で熱中症について書いてきました。
今回も熱中症について・・・
ではなく、今回は「赤ちゃんの食塩中毒」についてご紹介します。
人体の食塩濃度
例えば、海上で遭難したら「海水は絶対に飲んではいけない!」と言われます。
海水は、本当にしょっぱいですよね・・・
そもそも、塩分補給が大事と言われるなら、極論を言えば「海水を飲めば塩分補給と水分補給が同時にできて完璧なんじゃ?」なんて、考えたことがある人もいるかもしれません。
だから生理食塩水!
海水が問題となるのは、塩分濃度です。
人体の塩分濃度は0.9%(1L中に9gの食塩)。この塩分濃度が人体に適合する0.9%に調整された(人体の体液とほぼ同じ)水が生理食塩水です。
この塩分濃度であれば、人体の細胞は正常に機能することができます。つまり、人体の塩分濃度は高すぎても低すぎても異常をきたすことになります。
一方、海水の塩分濃度は約3.5%(1L中に35gの食塩)も入っています。
つまり、海水は生理食塩水(人体の塩分濃度)の約4倍もの塩分濃度があることになります。
塩分中毒!?
食塩を過剰に摂取することで起こるものだけが、塩分中毒ではありません。そもそも、体内の塩分濃度が上昇することで発生することで発生するのが塩分中毒なので・・・
- 塩分の過剰摂取
- 食塩摂取量に見合う水分を摂取できなかった
こういった理由で発生します。
そして・・・
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
- 心身機能障害
- 盲目
- 神経症状
といったさまざまな影響が見られます。
それでは、そもそもどれくらいの塩分を摂取すると危険なのでしょうか?
致死量は?
厚生労働省では、塩分のとりすぎを防ぐために年齢別に1日当たりの塩分摂取の目標値を定めています。
男性
- 6~11ヶ月:1.5g(目安量) →女性:1.5g未満
- 1~2歳 :3g未満 →女性:3.5g未満
- 3~5歳 :4g未満 →女性:4.5g未満
- 6~7歳 :5g未満 →女性:5.5g未満
- 8~9歳 :5.5g未満 →女性:6g 未満
- 10~11歳 :6.5g未満 →女性:7g 未満
- 12歳以上 :8g未満 →女性:7g 未満
となっています。
これが、適切とされる1日の目安量です。
「意外と少ない!」と思った人がいるかもしれませんね・・・
*12歳以上は、塩分摂取量は男性で8g未満・女性で7g未満とされ、いくつになっても変わりません。
さて、塩の過剰摂取による致死量は、体重1kg当たり0.5~5gとされています。
つまり、赤ちゃんにとって塩は猛毒になってしまいます。なぜなら、小さじ1杯で命を落とすこともありえるからです。仮に体重が50kgなら、約25g~250gが致死量となります。
そもそも、赤ちゃんは離乳食が始まるまでは「母乳」や「ミルク」にナトリウムが含まれているため、基本的に「熱中症が気になって塩水を・・・」なんて補給する必要はありません。
→食塩水にすると、小腸に吸収されやすくなるため、そのまま塩をなめるよりさらに危険な状態に陥りやすくなります。
そして、実際にこんな事件が発生しています。
事件
❶2015年に認可外保育施設の施設経営者が、「市販のイオン飲料に8g以上の食塩を加え、1歳の女の子に飲ませ、食塩中毒で死亡させた。」として、施設経営者が逮捕された事件が発生しています。
➋イギリスで1993年以前の15年間で報告された300件の中毒例のうち、12人が食塩中毒と疑われました。(11人が0歳児・1人は3歳)
→赤ちゃんは、体内の過剰な物質を排出する腎臓の機能が成熟していない。
→塩分の多量摂取で喉が乾いても、自分で飲むことができない。
さて、このような事例がありますがイギリスの論文の衝撃的な部分としては、バナナジュースに食塩を混ぜるなどして、「意図的に与えていた事例もあった」ということです。
つまり、赤ちゃんや小さい子どもの塩分の過剰接収の背景には「虐待」というか、もはや殺人なのではないかという可能性があります。
もし、赤ちゃんの塩の致死量を知らなければ、食塩中毒と聞いて「そんなにたくさんの塩を飲ませたの!?」と勘違いする人が出てくるかもしれませんね。
今は、離乳食の作り方や注意事項などは、例えば保健センターで教えてもらえます。離乳食のレシピももらえますよね・・・
また、仮に塩と砂糖を間違えたとしても、離乳食を作るときにそもそも味付けは極めて薄味にしていますよね・・・
我が家の場合は、0歳の娘がいるため・・・
- 醤油・・・1~2滴
- 味噌・・・耳かき1杯分
など、そもそも「塩」自体を使わずにほとんど調味料をごく少量のみ使う程度です。
つまり、普通に子育てをしていれば塩に対してそこまで神経質になる必要はないので、そこだけは誤解しないで下さいね!
最後に
今回は、食塩中毒についてお伝えしましたが、食塩中毒は日常生活では起こりにくいはず・・・
というのも、そもそも食塩を過剰に摂取するとひどい喉の渇きに襲われるため、それこそ遭難でもして海水を飲んだが水が補給できないなんて場合がこれに当たります。
そして、もう一つは赤ちゃん(自分で水分補給ができない人など)に塩を故意・過失とわず与えた場合です。
認可外保育園の事例を考えると、「1歳児の塩分の致死量を知らなかったのか?」という疑問も残ります。何にしても、子どもの食塩中毒は虐待の可能性があることを知っておくべきでしょう。
離乳食や水分補給で塩や砂糖といった調味料を過剰に使う親はいないと信じたいですが、事例で紹介したように、使う人はいるようです・・・くれぐれも塩分の過剰摂取にはご注意下さい。
*まさかないとは思いますが、食塩水の早飲み競争はただの自殺行為です。塩の致死量が、0.5~5gということは、人によって致死量に10倍も差があるということになりますよね。
→もしあなたが、体重の0.5%の塩分が致死量だったらどうしますか?
→体内の塩分濃度を正常に戻すために、多量の水を飲める状態になければ結局、食塩中毒により危険な状態に陥るかもしれません。
参考
東京すくすく
→https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/health/3327/
ナース専科
→https://nursepress.jp/209398
Yahoo ニュース:乳児が危険?食塩中毒の実態は
→https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20170713-00073205/
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