前回、飲酒運転は「関わる人全てを不幸にする」ことをお伝えしました。
ただ、わざわざ「飲酒運転をしよう!」と思って運転する人はいないですよね?
とはいえ、いまだに飲酒運転で検挙される人はあとを絶ちません。実は、飲酒運転で逮捕される人の中には「どれくらいでお酒が抜けるのか分からない人」が少なからずいらっしゃるようです。
そこで今回は、「お酒が抜ける目安」についてご紹介したいと思います。
⇒飲酒運転による罰則については、こちらの記事で紹介しています。
そもそも、飲酒運転の検挙数はどうなっているの?
結論からいえば、10年前と比べると「飲酒状況別交通事故件数」は明らかに減少しています。
ところで、「飲酒運転」と一言でいっても大きくわけて2つに分かれています。
- 酒酔い運転・・・まっすぐ歩けない。受け答えがおかしいなど、客観的に見て酔っている状態。
- 酒帯び運転・・・呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上検出された状態。
さらに、「酒帯び運転」は呼気1リットル中のアルコール濃度が「0.15~0.25未満」か「0.25mg以上」かで罰則が異なります。
それでは、2009(平成21年)~2018(平成30年)までの飲酒運転による事故件数の推移を見ていきましょう。
《飲酒運転による事故件数》
図から分かるように、明らかな飲酒運転(酒酔い運転)よりも酒帯び運転が多いことが分かります。罰則の違いについては、冒頭リンクの「飲酒運転は周りを巻き込んでいく!?」で紹介しています。
さて、酒帯び運転のなかでも呼気1リットル中のアルコール濃度が0.25mg以上の飲酒運転が最も多くなっていますよね。(酒酔い運転と比較すると10倍以上の件数)
政府広報オンラインによると飲酒運転をした理由には、このようなことがあげられています。
- 酒を飲んでから時間が経っていた。
- 事故を起こさない自信があった。
- 飲んだお酒の量が少ないので大丈夫だと思った。
- 運転していく目的地が近かった。
こういった回答が多かったようです。
今回の記事については、1・3について紹介していきます。
ようするに、「お酒がどれくらいの時間で分解されるのか?」です。「酒を飲んでも飲まれるな」といいますが、飲まれている人がまだまだ多いということでしょう。
それでは、お酒の種類とアルコールの分解にかかる時間には、関係があるのでしょうか?
アルコール度数が飲酒運転の鍵!?
お酒には、必ず「アルコール度数」がありますよね。アルコール度数とは、それぞれのお酒に含まれているアルコールの割合のことです。
ちなみに、度数には「度」や「%」が使われますが、例えば「度数14度の日本酒」も「14%のワイン」も酒としての強さは同じです。
当然ですが、度数によって体に残るアルコール量は変わります。
お酒によって度数はどれくらい違うの?
そもそも、体重60kg~70kgの人で1時間で処理できるアルコール量は約5gとされています。
このアルコール含有量(g)は、このような計算式で求めることができます。
「アルコール含有量=お酒の量(mg)✕お酒の度数(%)✕0.8(アルコール比重)」
ちなみに、基準飲酒量は「1ドリンク=10g」という基準値が提案され、使用されいます。つまり、体重60~70kgの人であれば「2時間で処理できるアルコール量=1ドリンク」ということになります。
それでは、1ドリンク(アルコール量:10g)はどれくらいのお酒の量になるのでしょうか?
《1ドリンクの目安》
- ビール・発泡酒(5%)・・・250mL
- チュウハイ(7%)・・・180mL
- ワイン(12%)・・・100mL
- 日本酒(15%)・・・80mL
- 焼酎(25%)・・・50ml
- ウイスキー・ジンなど(40%)・・・30mL
このように、度数が高くなるほどアルコール量が高くなるため、「短時間でお酒を抜こう!」と考えるなら度数が高いお酒ほど小量しか飲めないことになります。
つまり、飲んだお酒の種類によって1晩寝たとしても、飲酒量によっては飲酒運転になる可能性が高くなります。
飲酒量の具体例
例えば、ビール500ml(2ドリンク:500✕0.05✕0.8=20g)を飲むと、これだけで分解するのに4時間かかることになります。
さらに、ワインを100mL(1ドリンク:100✕0.12✕0.8=9.6g)飲むと、さらに2時間かかります。
当然、他にもアルコールを摂取すると分解するためには、さらに時間がかかります。さまざまなお酒を飲用するいわる「チャンポン飲み」をすると、それだけ飲酒運転の危険性が高くなります。
個人差はあるの?
実際には、年齢や性別、アルコールの分解能力などで大きく変わります。そのため、計算式に当てはめたからといって、必ずしもアルコールが抜けているとは限りません。
ただ、そもそも人は「基本的にアルコールに弱い」ことを知っておく必要があります。
例えば、早朝から運転する可能性があるにも関わらず、ビール1Lも飲んでしまえば8時間寝たとしても、翌朝飲酒運転で捕まるかもしれません。
1000(mL)✕0.05✕0.8=40g 40g÷5=8時間
当然、少し横になっただけでアルコールが抜けることはありません。
このように、睡眠をとったからといってアルコールが抜けるとは限らず、睡眠中はむしろアルコールの分解が遅くなってしまいます。
自分で計算することは大変だと思うので、こちらの「飲酒シュミレーション」からお酒の種類の飲酒量を入力するだけで、分解するまでにかかる時間を計算してくれます。
お酒を飲む機会が多い人は、こちらでチェックしてみてはいかがでしょうか?
それでは、個人差や状況によってどんな注意点があるのでしょうか?
アルコールの分解速度は場合によってかわる!?
- 男性は、女性より分解が速い。⇒1時間のアルコール分解速度:男性→6~13g/女性→3.5~10.5g)
- 中年は、未成年者・高齢者より分解が早い。
- 体が大きい人は、小さい人よりも分解が早い。
- 顔が赤くならない人は、顔が赤くなる人よりも分解が早い。
- 起きている時のほうが、睡眠時より分解が早い。
- 食後の方が、空腹時より分解が早い。
このように、男女差や年齢差、食事の状況など飲む人・状況によってアルコールの分解速度は大きく異なります。
最後に
基本的な飲酒ルールをご紹介します。
- 飲酒は1日平均2ドリンク以下。(アルコールを分解するのに4時間かかる量)
- 食事と一緒にゆっくり摂取する。(空の胃腸はアルコール吸収が早く、肝臓に負担をかける)
- 寝酒は避ける。(寝酒の常習は、アルコール依存度を高めるため危険!分解も遅くなる)
- 週に2日は休肝日
- 飲酒した分だけ水分を摂取
もちろん、体調がすぐれないときは休肝日にした方が安心です。
体内に入ったアルコールを早く抜く方法は、発汗・排泄・嘔吐しかありません。つまり、「胃や小腸内部で分解途中のアルコールを体の外へ出す」か「血中濃度を下げる」しかありません。
そのため、水分摂取により排泄を促すことがオススメです。
ただ、熱い風呂やサウナに入ると血管が広がり急激に血圧が下がるため危険です。そもそも、アルコールは脱水になりやすいため、飲酒をしたら水分摂取を忘れずに!
参考
飲酒運転による交通事故件数の推移
⇒https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/insyujiko2.pdf
グーネット中古車:飲酒後の運転は何時間後に出来る?アルコールが抜ける時間とは?
⇒https://www.goo-net.com/magazine/108842.html
飲酒に関する基礎教育資料
⇒https://www.mlit.go.jp/common/001283559.pdf
厳選!新鮮!とっておき@びっくり情報:飲酒の後で何時間すれば運転できる?計算で安全運転できます!
⇒https://torendo-noto.com/archives/4738.html
政府広報オンライン:飲酒運転は絶対に「しない!」「させない!」
⇒https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201312/1.html
厚生労働省:飲酒量の単位
⇒https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html
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