茨城県でついに、新型コロナウイルスに関してあるシステムの導入を条例化することで義務化することが、2020年9月の県議定例会に提出されることが話題になっています。
→10月上旬の施行を目指しているようです。
とはいえ、全ての事業者が対象になるわけではありません。
今回は、早ければ10月中に条例により義務化されるかもしれない、『茨城県の「いばらきあまびえちゃん」登録義務化』についてご紹介します。
そもそも「あまびえ」ってなに?
「あまびえ」というのは、江戸時代に現在の熊本県に現われたとされる妖怪です。
「見た人に、豊作や疫病の予言を告げた」とされ、「自らの姿を描き写して多くの人に見せるように。そうすると疫病から逃れることができる」と言い伝えられています。
新型コロナウイルスを期に、この「妖怪:あまびえ」が疫病退散のシンボルとして利用されているようです。
→「あまびえ」にあやかって、「いばらきあまびえちゃん」という名前が付けられているようです。
それではどういったシステムなのでしょうか?
感染拡大防止につながる?
そもそもこのシステムは・・・
- 茨城県のガイドラインに沿って感染防止に取り組んでいる事業者を応援する。
- 感染者が発生した場合にその感染者と接触した可能性がある方に対して注意喚起の連絡を行う。
→感染拡大を防止する目的!
*ガイドラインには、「ソーシャルディスタンス」・「消毒」・「間仕切り」など、業種別に細かいガイドラインが定められている。
それでは、そもそもなぜ、このシステムは感染防止に取り組んでいる事業所を応援することになるのでしょうか?
事業者を応援する?
茨城県の事業者の方へを確認すると
店舗やイベントなどの感染防止対策を分かりやすく掲示でき,県などのカイドラインを遵守していることをPRできます。システムを導入していることで,お客様に安心してお店をご利用いただけます。
新型コロナウイルスの感染者が発生した場合
同日に同じ施設を利用した方に注意喚起のメールが送られますが,発生した店舗などの事業所名や施設名,イベント名等が記載されることはありません。
つまり・・・
- コロナ対策をガイドラインに従って対応していることをお客さんへアピールできる。
- 感染者が発生したとしてもお店の名前などは公表されない。
この2点が挙げられています。
利用者へのメリットは?
新型コロナウイルスの感染者が発生した時に、感染者と同じ日に同じ施設を利用した方はメールでお知らせを受け取ることができます。
仕組みは?
事業者が登録する場合
- 登録フォームから必要な情報を登録
- 登録完了のメールが送信される
- メールに記載されたURLをクリック「感染防止対策宣誓書」を印刷し、施設内に掲示
- 施設の利用者に対し「二次元コード」の読み込みを周知・案内
利用者が登録する場合
- 訪れた店頭・イベントなどを訪問する度に掲示された「感染防止対策宣言書」に記載の「二次元コード」を読み取る
- 読み取ったURLにアクセスして表示される「登録する」を選択
- 表示されるメール画面からそのままメールを送信し登録完了
- 新型コロナウイルスに感染された方が発生した場合、「その感染者が訪れた場所を同じ日に訪れた方」に対してメールで注意喚起のお知らせが届く(施設名・日時・感染者に関する情報は知らせない)
つまり、利用者としてはお店に入る度にQRコードを読み込んでから施設の利用をすることになります。
それでは、このシステムを条例で義務化されるとどうなるのでしょうか?
義務化されるとどう運用されていく予定?
茨城県のホームページを確認すると、2020年6月24日に県独自の感染者発生時の通知ツールとして、『「いばらきあまびえちゃん」デビュー!』と記載がありました。(703事業所登録済み(7月3日10時 時点))
ただ、始まって約2ヶ月が経過していますが、登録した事業者が想定していた半数の1万6,220事業所(8月17日時点)だったことが義務化促進に影響しているようです。
さて、このシステムを義務化することでこんなことが検討されているようです・・・
義務化によりなにが変わる?
「罰則は設けない」とあるが・・・
- 県が実施するPCR検査・行動履歴調査などの義務づけ
- 感染した人・医療従事者らへの差別的な取扱いを防ぐ
- 対象外の事業所がある
朝日新聞では、事業所についてこのようにまとめられています。
条例の義務対象となる主な事業所
キャバレーなど接客を伴う飲食店、性風俗店、個室ビデオ店、カラオケボックス、ライブハウス、ネットカフェ、漫画喫茶、自動車教習所、学習塾、パチンコ店、マージャン店、スポーツクラブ、体育館、遊園地、劇場、映画館、集会場、展示施設、商業施設、ホテルや旅館などの宿泊施設、理髪店、美容院、結婚式場、葬儀場、飲食店・喫茶店・菓子店(宅配やテイクアウトを除く)対象外の主な事業所
学校、病院・診療所、介護施設、食品スーパー、オフィス
ただし、取り組まない事業所の名前は公表される
ことになります。
*施設・店舗ごとに管理されているため、場所が異なる場合はそれぞれ登録が必要。
今後の課題は?
そもそも、感染が発覚したあとが最も大変です。
例えば、感染が確認されれば1ヶ月近く外出できなくなると思うのですが、その間、あなたの仕事はどうなるのでしょうか?
また、「お店の名前は公表しない」とありますが、その日、対象のお店を1店舗しか利用していなければ、どこのお店か簡単に分かり、利用者が「善意」で注意喚起のためにお店の名前をSNSで公開すれば知れ渡るでしょう。
なにが言いたいかといえば、事業者にとっても市民にとっても、利用者にとっての不利益が大きすぎる点です。
また、手間1つとっても毎回訪問する度に、事業所のQRコード(感染防止対策宣言書)を読み込む必要があるわけですから、それだけで密集した環境が作り出されることになります。(メールは登録から1か月後に削除されるため、また登録しないといけない)
→そこまでした成果が、「あなたが利用したお店をその日、感染した人が利用しました」という情報のみ。
さらに、PCR検査は本来、何度も受けなくては正確な診断がでません。
そして、陰性だったとしても、別の日に再度施設を利用したときに「あなたが利用したお店をその日、感染した人が利用しました」というメールが届くことになるでしょう。
つまり、あなたは何度も何度もPCR検査を受けた結果、陽性が確認されれば例え元気な状態であっても、長期間軟禁状態になる可能性が高くなります。(診断結果が出るまでに、メールが送られてくるかもしれませんが・・・)
さらに言えば、対象外の施設がある時点で感染拡大防止は不可能です。
とはいえ、毎日、何百人と登校する学校や病院などで「その日、感染した人が利用しました」なんてメールが来ても、対象者が多すぎてそのシステムの意味をなさないでしょう。
そもそも、病院は治療する場所ですので感染者が来院しても不思議ではありません。
もしも、本気で感染拡大防止をはかるなら感染が見つかった地域の人達に対して、一定期間、行動範囲をあらかじめ指定するしかないでしょう。
最後に
この政策は苦肉の策だとは思いますが、そもそもこのシステムはQRコードを読み込める機器を購入する必要があります。
例えば、子ども達にまで範囲を拡大するのなら、それぞれにスマホやタブレットなどを持たせる必要があるでしょう。
また、高齢者などさまざまな理由で機器を持っていない人は、必要がないから持っていないのですが、強制させることができるのでしょうか?
厚生労働省の接触確認アプリについても同じことが言えますが、「感染者発生時の通知ツールを義務化する!」とした場合、問題は本当にあなたの感染が明らかになったときの対応です。
- 感染者が見つかった事業所は閉鎖しなくてはいけないの?
- 感染したらどれくらい隔離されることになるの?
- 仕事はどうなるの?
- 家族は?
- 子どもは?
- 介護は?
- 私や家族の生活はどうなるの?
などなど、個人で生活環境が違います。
さらに言えば、上記のような「コロナ対策に対するリスク」を知っている人からすれば、茨城県への旅行だけでなく、出張なども避ける人が出てくるかもしれません。
また、そもそも、「基本的人権」などをかかげる憲法違反にはならないのか?
そういった問題もはらんできます。(厚生労働省は、いまだに「接触確認アプリ」の導入を日本国民に義務化していない)
まずは、通知ツールが義務づけられることで大きく変わることはなんなのか?
そして、実際に感染したら自分や家族、会社など周りの人達にどんな影響があるのか?
こういったことを、理解してからでしか判断することはできません。それだけ、茨城県の条例は大きな課題をはらんだ条例だといえるでしょう。
*マスクがないとお店の出入りを避けるように、スマホが充電中などで、持って行くことを忘れてしまえばお店を利用できなくなるかも・・・。
(中国ではすでにコロナに関係なく。以前からすでにスマホがなければ買い物もままならない状態になっている)
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