以前からありましたが、「くるりぽい」という行為が度々問題になっています。
正直、「そんなのあり!?」という思いですが確かにレジが終わって商品を袋に詰めていると、見かけたことがあります・・・
今回は、「それはダメでしょ・・・ くるりぽい」についてご紹介します。
そもそも「くるりぽい」ってなに?
「くるりぽい」というのは、ある行動を表わしています。
スーパーなどで、例えば肉類は真空パックの袋にいれて売られている場合もありますが、魚などはまだまだ食品トレイが使われていますよね。
そういった商品を購入後、買い物袋に詰める前に「汚れたトレイだけを捨てる行為」が「くるりぽい」です。どういうことかというと・・・
- 買い物袋に購入した魚などを入れる前に食品トレイのラップを軽くはずす
- トレイを「クルッ!」とひっくり返す
- 外したラップでそのまま魚や肉を包む
- トレイはよごれたままお店のゴミ箱に捨てる
なにが問題かは多すぎるため、そもそもなぜ食品トレイが使われれているのかを見ていきましょう。
食品トレイの役割
スーパーなどで使用されている食品トレイは、発砲スチロールなどの樹脂でできた食品包装容器ですよね。そんな食品トレイには様々な機能があります。
- 鮮度保持
- 衛生性
- 軽さ
- 商品の保護適正
- 成形加工適正(好きな形にできる)
など、様々な特性があり、食品の流通にはなくてはならない存在となっています。
食品トレイには、他にも耐水性や断熱、コストダウンといった特性もありますが、なによりエコな商品として発砲スチロールの食品トレイは使われています。
「食品トレイ」がエコな商品?
どの容器よりも省資源!?
特に、発砲スチロール製トレイは、ポリエチレン樹脂(5~10%)+空気(90~95%)でできています。
確かに、その原料は石油ですが、その使用量はごくわずかで発砲スチロール製トレイに使われる量は石油全体の0.04%程度です。
分かりやすく言えば、「発砲スチロール製トレイは、石油性のどの容器よりも省資源で作られている」ということです。
リサイクルが容易!
そもそも、発砲スチロール製トレイはプラスチックの中でも分別が容易にできます。
なぜなら、単一素材でできているため製品を材料に戻して再び原料(資源)として使ういわゆる「マテリアルリサイクル(物から物へ再利用すること)」が可能です。
最大のメリットとしては、リサイクルに必要なエネルギー消費が少なく、有害物質も発生しない点です。
このように、発表スチロール製は「消費者」「企業」「環境」にとって、とても価値のある容器として長年使われています。
そんな食品トレイは、消費者の「回収を求める声」が大きくなったことで店頭での回収(自主的回収リサイクル)が始まりました。
「自主的回収リサイクル」ってなに?
「自主的回収リサイクル」というのは、消費者の要望からスーパーなどの量販店や包装資材店が協力して、使用済みの発砲スチロール製食品トレイを店頭で回収し、リサイクルすることで1990年から始まりました。
- スーパーの店頭から物流センター経由でトレイメーカー
- スーパーの店頭から包装資材店経由でトレイメーカー
この二つのルートが、主な回収ルート(全体の9割以上)となっています。
つまり、スーパーの店頭からの回収が基本となっており、それ以外は「学校」や「行政」からのトレイメーカー経由などになりますが、全体で見るとほとんど利用されていないことになります。
このように、自主回収リサイクルは企業努力として実施されていますが、始まりは消費者の声からでした。
そして、回収後はリサイクルされ、食品トレイだけでなく屋外用テーブルセットや文房具などあらゆる物にリサイクル品として利用されていきます。
ただ、最近の食品トレイには発砲スチロールだけでなくいわゆる「バイオマスプラスチック(ポリプロピレン・PET樹脂・植物などが原料)」を使った食品包装容器も多いためリサイクル時には注意が必要になっています。
さて、このように食品トレイの回収はもともと「消費者の声」から始まり、企業努力で食品トレーの回収ボックスがスーパーなどに設置されるようになりました。
ところが、「くるりぽい」が問題となってきているため、回収ボックスが撤去される事態に陥っている場所まであります。
冒頭でお伝えしたように、食品トレイの回収は全体の9割以上がスーパーで回収されている食品トレイです。それでは、なぜリサイクル回収ボックスが撤去される事態にまで追い込まれているのでしょうか?
食品トレイを捨てるときの基本的なルール
どこのスーパーでも、食品トレイをリサイクルボックスに捨てるときは一定のルールがありますよね。
例えば、どこの回収ボックスでもそもそも「汚れているトレイ」は回収できないのではないでしょうか。必ず、「洗ってから捨てて下さい」と書かれているのではないでしょうか。
それは、そもそも不純物が混ざっているとリサイクルができないためです。(汚れを落とすためにコストがかかるため、リサイクルから除外される)
これは、ペットボトルなどでも同じで基本的に水で洗っても落ちない汚れがついている場合は、リサイクルに向きません。
つまり、汚れがついている時点でリサイクルから除外される可能性があります。
そもそも、肉や魚のドリップ(赤い血のような物)や脂などで汚れたトレイを、そのまま家のゴミ袋に入れないのではないでしょうか?
理由は、「臭い」と「不衛生」だからです。特に、生肉にはカンビローバクターなど食中毒の危険性もあります。
つまり、「くるりぽい」によって捨てられた食品トレイにより「臭い」だけでなく、一歩間違えれば「食中毒などの実害」まで出る可能性があります。
それでは、回収ボックスが原因で食中毒が発生した場合、設置しているスーパーなどはどうなるのでしょうか?
そもそも、回収ボックスから悪臭がでた時点で実害があるのですが、そうなれば他の消費者からの苦情に繋がります。
つまり、回収資源ボックスが原因で仮に食中毒が引き起こされた場合、その前に引き起こされていたであろう悪臭が発生している状態を店側が放置した結果ということになるでしょう。
もしも、食中毒の患者が発見されたら?
厚生労働省では、このように簡単な流れが紹介されています。
- 医師から保健所に電話
- 保健所の職員が患者を調査
- 原因施設・食品・物質の特定
- 営業停止・原因食品の回収・施設の衛生指導
つまり、あなたが普段使っているスーパーが閉鎖される可能性があります。
そもそも、消費者が「くるりぽい」をしていることを知りながら店側は放置していたことになるため、もしもそのスーパーがなんの対策もしていなければ「悪質」ととらえられる可能性もあるでしょう。
「くるりぽい」をなぜしてはいけないのか?
それは、直接的には「スーパー」と「その他大勢の消費者」を守るためです。そして、そのスーパーに関わる全ての人を守るためでもあります。
最後に
「くるりぽい」は、今に始まったことではありません。
ただ、ニュースなどで取り沙汰されるようになったことで今後、逆に増える危険性があります。これから暑くなるため、「くるりぽい」のリスクは計り知れません。
中には、「確実に回収できるからいい!」なんて考えている人もいるかもしれませんが、汚れているトレイはそもそも資源ではありません。
危険の塊です。
なぜ、洗っていないトレイを捨てるといけないのか?
詳しく知りたければ、授業で環境教育を受けている子ども達に聞いてみて下さい。子ども達の方が、よっぽど良識を持ち合わせているでしょう。→文部科学省:環境教育
参考
緑のgoo:食品トレイとは
→https://www.goo.ne.jp/green/business/word/ecoword/E00440.html
株式会社エフピコ:ニーズをとらえた製品力
→https://www.fpco.jp/about/strength/solution.html
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