特に夏場は要注意! 伝染病「とびひ」により子ども達の皮膚が危ない!?

 

皆さんは、夏になると子どもに増える皮膚感染症は何だと思いますか?

夏になると、「水疱」ができたり「痒み」がでて掻いてしまいさらにひどくなる・・・

すると、子どもが泣いて小児科へ行くこともあるかもしれません。

今回は夏に増える皮膚感染症の1つ、「とびひ」についてご紹介します。

 

「とびひ」ってなに?

そもそも、「とびひ」という病名はありません。これは、民間で言われる俗名です。ひょっとしたら、「とびひ」という名前も聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれませんね。

皮膚科の正式病名は、「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」です。

確かに、「伝染性膿痂疹が・・・」なんて難しい名前を言われても分かりませんよね。そのため、民間では「とびひ」という俗名が付けられました。

それでは、なぜ「とびひ」という名前で多くの人が呼んでいるのでしょうか?

*膿痂疹・・・細菌に感染することで、「化膿」をお越し水疱(水ぶくれ)と痂(かさぶた)ができた状態。

 

まさに、症状通りの名前「とびひ」

「とびひ」は、細菌(ブドウ球菌や溶連菌など)による感染症ですが、その感染の仕方がまさに「飛び火」するようにどんどん広がっていきます。

というのも、「接触」することでうつってしまうためです。

溶連菌についてはこちらの記事で紹介しています。

子どもが感染しやすい溶連菌 ~人食いバクテリア「24時間で命の危険」~

 

「接触」ってどういうこと?

例えば、夏になると・・・

  • あせも
  • 虫刺され
  • 湿疹
  • こどもなら体育などで擦り傷

などが誰でも起こりますよね。どれも痒みが発生するので、どうしても掻いてしまいます。子どもならなおさらです。

つまり、「引っ掻いたり・転んでできた傷」に二次感染を起こして「とびひ」が全身に起こります。そして、伝染力が強く他の子どもにも、接触することで感染してしまいます。

*先程挙げた細菌(原因菌)がついた手で引っ掻いてしまうことで、皮膚の浅い傷の部分に入り込み、感染することで発症します。(大人でも感染することがあります)

 

「とびひ」の種類

さて、感染力の強い「とびひ」ですが大きく分けて2種類あります。

 

水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)

「とびひ」の多くが、この水疱性膿痂疹です。(乳幼児・小児に後発し、特に初夏~真夏に多く発症)

つまり、水ぶくれができる「とびひ」です。水ぶくれは2~3日で急速に大きくなり、大豆~クルミくらいの大きさになります。

水ぶくれは破れやすく、中からでた汁がさらに離れた場所の皮膚についてどんどん広がっていきます。(まれに大人もなる)

ですが、「とびひ」は子どもだけとは限りません。実は、成人がかかりやすい「とびひ」があります。

 

痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)

炎症が強く、厚いカサブタができる(水ぶくれができない)「とびひ」です。そして、季節に関係なく小児より成人に多く見られます。

疼痛を伴い、重症になると菌が産生する毒素によって全身が真っ赤になってしまう場合もあります。

 

どんな治療法があるの?

「とびひ」の治療は、原因の細菌を退治することが基本になります。

◎抗菌薬◎

多くの場合、「塗り薬」と「飲み薬」の併用。

 

◎副腎皮質ホルモン(ステロイド)◎

炎症を抑える薬。

→湿疹をかきむしったことが原因で「とびひ」になっている場合に、湿疹を治療するために使われます。

 

◎抗ヒスタミン剤◎

痒みがひどいときに使う場合があります。

このように、状態により対応も変わるため受診が必要です。なにより、正式病名にもあるようにこの病気は「伝染病」です。

 

予防はどうしたらいいの?

「とびひ」にならないためには、「手洗い・爪切り・掻いて皮膚を傷つけない」ことが基本です。

  • 特に、夏は汗をかくため入浴することで皮膚を清潔に保つことが大事。

→仮に、とびひを発症しても発熱などの全身症状がなければ入浴(シャワーのみ推奨)もできます。

 

  • また、病変部を泡立てた石鹸で優しく洗い流す。

→兄妹がいるなら、伝染するため入浴は最後にする必要があります。

 

  • 入浴後は、浸出液などが周囲に接触しないように患部に軟膏・ガーゼ保護などが必要になります。

*伝染する病気ですので、プールは完治するまで禁止!(プールの水では感染しませんが、接触することでうつる)

→登校も制限される場合があるため、受診して医師の判断を仰ぐ必要があります。

 

最後に

なりやすい病気とはいえ、敗血症・腎障害などの合併症を引き起こすこともありかなり注意が必要です。また、ウイルス感染ではなく細菌が原因で生じる疾患のため、免疫も関係ありません。

つまり、何度でも感染します・・・

そのため、皮膚を清潔にするためにも「手洗い・爪切り・皮膚を傷つけない」ことを徹底する必要があります。

お子さんの水ぶくれは、潰さないようにご注意下さい。もし潰れたら直接、「浸出液」に触らないようにして病院へ受診して下さいね。


参考

公益社団法人日本皮膚科学会:皮膚科Q&A
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa13/q01.html

しいのみセンター薬局ニュース
http://gifu-min.jp/pharma/document/488/51.pdf

シオノギ製薬
https://www.shionogi.com/jp/ja/sustainability/informations-for-id/infection_navi/infection/tobihi.html

 

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