新型コロナウイルスの影響で、例外なく全ての人が何かしらの影響を受けることになりました。
かくいう私も、子どもの入園式が6月まで延期になっていました。
また、外出時、特にお店を入る時は「マスク」や「消毒」が必要になりましたよね。
このように、目に見える形でこれまでとは明らかに違う生活が開始されて、すでに数ヶ月が経過しました。
さて、そんな新型コロナウイルスの影響は、私達の経済面にも大きな影響を与えています。
今回は、「SSPプロジェクトが公開したコロナが私達の生活に与えた金銭的な影響」
についてご紹介します。
そもそも「SSPプロジェクト」ってなに?
SSP(Stratification and Social Psychology)の正式名称は、「階層と社会意識研究プロジェクト」です。
これだけでは、難しそうですよね。
つまり・・・
- 階層:社会的な立場の上下
- 社会意識:ものの見方や考え方
これらを研究していくためのプロジェクト。
さらに分かりやすく説明すれば、「日本の格差社会を調べるプロジェクト」ということです。
→今回のコロナ影響も、格差により影響が全く違う。
階層(社会的な立場)によって、同じように被災したとしても考え方が全くちがう!
例えば、災害が発生した時について見ていきましょう。
もしも、地震などで災害が引き起こされれば、そのエリア全ての人が被災者になります。
ところが、同じように被災したとしてもその人の階層(社会的な立場)によって、影響が全く違います。
極端な話し、仮に被災したとしても「働くなくても生活できる人(家賃収入があるなど)」と「すぐにでも働かないと生活が破綻してしまう人(母子家庭など)」では、社会意識が全く違います。
そのため、個人の経済的な格差により被災による影響は以下のような特徴があります。
格差による差
確かに、被災することで収入は平均的に低下しますが・・・
- 災害発生前に収入が低い人は、収入の減少が大きく・減収期間が長期化する。
- 災害発生前に収入が高い人は、収入の減少が小さく・減収期間は比較的短い。
こういった傾向があることが分かっています。
→収入が高い人ほど、元の水準に戻りやすいが、収入が低い人ほど元の収入に戻るまでに時間がかかる。
*個人の家庭の収入は、なにかあったときそのまま経済的な「脆弱性」と「回復力」に影響があることが指摘されている。
つまり、今回の新型コロナウイルスのように緊急事態宣言が出されてしまうような事態に陥れば、経済格差がダイレクトに家庭を直撃することになります。
それでは、新型コロナウイルスは私達の生活にどんな影響を与え続けているのでしょうか?
新型コロナウイルスが私達に与え続けている経済的な影響とは?
どんな調査が行われているの?
2020年6/19~6/24にネット調査が実施されました。(対象者は、満25~64歳の全国の男女)
→今回は、第1回の調査の速報値のため今後修正される可能性はあります。(有効回答者数は3,500人中3,486人)
新型コロナウイルスの影響で、2020年2月~6月の離職率は34%
アンケートに回答した人の内、3割以上が離職していることになります。(約1,000人)
その反面、6割以上の人は「影響がなかった」と回答しています。
それでは、離職することになってしまった約3割の人達は、なぜ離職に陥ってしまったのでしょうか?
~離職をした人達の雇用形態~
- 正規雇用:23.5%
- 非正規雇用:43.5%
- 自営業・自由業:16.7%
つまり、アンケートで回答された離職者の内、その4割以上が非正規雇用だったことが分かりました。
ただ、正規雇用であっても2割以上が離職をしていることを考えると、むしろ少ないのかもしれません。
そして、収入の影響が日を重ねるごとに大きくなっています。
~収入は時間経過とともにより深刻に!?~
「収入がなくなった」・「4割以上減った」・「1割~3割ほど減った」と答えた人達の合計。
→回答者の自己評価のみで回答されているため、実際の増減は不明
- 「減った」・「無くなった」と回答:2月→14.8%
- 〃 :3月→20.2%
- 〃 :4月→29%
- 〃 :5月→31.6%
つまり、調査が開始された2月~5月までのたったの4ヶ月間で収入が低下した世帯が、2倍以上(14.8%→31.6%)に増えていることが分かりました。
このように、今の日本では震災時と同じような傾向が見られています。
ただ、震災のように一部エリアなら周囲からの支援は受けられるかもしれませんが、今回は、日本どころが世界全体です。
*業種別では、6月時点でテレビで報道されているように「生活関連サービス等・サービス業(58.4%)」や「宿泊業・飲食サービス業(57.6%)」の収入減少経験率が高い。
雇用形態や業種で影響がまったく違う!
2020年5月の収入の状態を、2020年6月時点の雇用別形態別に比較すると、「収入が減った」ではなく、「無くなった」と答えた人は以下のようになっています。
- 正規雇用:1%
- 非正規雇用:4%
- 自営業・自由業:7.3%
- 無職(求職中):31.5%
- 無職(求職せず):5.9%
つまり、休職中の人ほど収入源が1つしかないため、仕事を辞めたとたんに収入が0になる
ことが分かります。
そして、休職中の人達の「収入がなくなった」+「収入が減った」という割合が時間の経過と共に、どの雇用形態よりもより悪化しています。
このように、今回のような全ての人が影響を受ける事態になったとしても、その与える影響は個人の経済状況によって全く異なります。
株の投資に例えると?
例えば、株を運用していたとして、他にも資金があればそこから損失を補填することができます。
ところが、そもそもその補填するお金がなくなってしまったらどうでしょうか?
まずは、補填するためのお金を稼ぐ必要があります。
それでも生活が厳しくなるようなら、そもそも投資に回していた株を売却して現金に換えて生活に当てなくてはいけなくなります。
それでも足りなければ、生活保護などを考えていかくてはいけなくなります。
つまり、収入が少ない人ほどより深刻な状態になりやすく、一度深刻な状態になると回復することが難しくなることが分かるのではないでしょうか?
最後に
実は、今回のアンケート結果では、より深刻な状況が指摘されています。
皆さんは、「K6(ケイシックス)」と呼ばれる尺度をご存じでしょうか?
「K6」は、6つの質問をすることで点数化し「心の状態」を把握するために公衆衛生や社会疫学の調査研究で標準的に使われています。
→0点~24点までの範囲をとり、数値が大きいほど「心の状態」が悪いことを示します。
- 5点未満・・・問題ない
- 5点~10点未満・・・要観察
- 10点以上・・・要注意/要受診
さて、今回のアンケートでは「収入がなくなった」・「減った」と回答した人の心の状態の悪化が見られていますが、特に「無くなった」と回答した人の45.9%(約半数)が、10点以上になる
という結果になりました。
10点以上は、気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じていると言われるほど、深刻な状態に陥っている可能性があります。
つまり、収入が「減少した」・「無くなった」ということは、「経済的+心理的」な悪影響を考えなくてはいけないことが示唆されています。
→貧困で精神が病む。
そのため、自殺の防止を防ぐためにも経済対策を最優先に実施していく必要があるでしょう。
もしも、2020年の死因の内訳で、コロナ対策の影響でコロナウイルスよりも自殺者が増加してしまっていては本末転倒ですよね。
警察庁によれば、令和元年中(2019年)の自殺者数は20,381人(男性:13,900人/女性:6,481人)でした。
厚生労働省の発表によれば、新型コロナウイルスによる死亡者は2020年9月18日時点で1,482人です。
「だから自殺対策を最優先にすべき!」とは言い切れませんが、2020年8月の速報値で自殺者が13,109人(男性:8,980人/女性:4,149人)となっています。
もちろん、全ての人がコロナが原因ではありませんが、特に東京の自殺者だけが1,398人と異様に多くなっています。
その次が大阪(843人)でした。
2020年は、9月18日時点でコロナで亡くなったとされている人の約10倍の人が自殺により命を落としています。
コロナ対策ばかりでなく、自殺対策も並行して対策する必要があるのではないでしょうか?
参考
東北学院大学:新型コロナウイルスがくらしに与えた影響 「くらしと社会についてのインターネット継続調査(第1回)」
→https://www.tohoku-gakuin.ac.jp/info/top/201914-5.html
SSPプロジェクト
→http://ssp.hus.osaka-u.ac.jp/
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