軽減税率対策は一筋縄ではいかない! 税務署の職員さんにも質問してみた

 

今回は、「2019年10月1日からいよいよスタートされる軽減税率について」簡単になりますがご紹介させていただきます。

実は、私が平成30年度の確定申告書類で大失敗があり、「更生の請求」をしました。

ところが、そもそも最初から数字が合ってないとのことで、再度税務署へ先日(2019/7/18)、呼び出しがありました。

税務署へ行くと、私の確定申告の添付書類をもとにすでに正しい書類を職員さんが作成してくれており、私は書類を確認。「更生の請求を取り消し」「新しく作成された書類に印鑑を押す」だけでした。

簡単に言えば、数字が違いすぎて「コイツダメだ・・・」ということで呼び出されたようです・・・

懇切丁寧に教えてもらい、「来年は税務署で作成することに決めたのでした・・・」で終わるともったいないので、ずっと気になっていた軽減税率について職員さんに質問させてもらった回答を最後にご紹介しています。

 

更生の請求についてはこちらの記事で紹介しています。

確定申告失敗! 発生しないはずの個人事業税が!? 「更生の請求」で全て解決!

 

軽減税率ってそもそもなに?

2019年10月1日から予定されている消費税及び地方消費税の税率が8%から10%に引き上げられる」ことについては、すでに多くの方がご存じではないでしょうか?

  • 税率8%  →100円の8%  =8円(合計108円)を支払う。
  • 税率10%→100円の10%=10円(合計110円)を支払う。

もっと分かりやすく言えば、今後は金額の10%(1割)を消費税として上乗せして支払うことになります。

 

消費税の計算は楽になりますが、負担はかなり大きくなります。

  • 1,000円+100円=1,100円     (8%→1,080円)
  • 10,000円+1,000円=11,000円   (8%→10,800円)
  • 100,000円なら10,000円=110,000円  (8%→108,000円)

といった具合に、今後は買った分の1割をさらに支払う必要があります。

特に、食費は毎日のことですので生活が苦しくなることは目に見えています。

そこでしばらくの間(期間未定)、飲食料品と新聞は8%のままで据え置くこととなりました。これが、軽減税率です。

 

軽減税率の対象商品

飲食料品

酒類を除く、食品表示法に規定する食品。(一定の*一体資産を含む)

*一体資産とは、例えばバレンタイン商品のように、食品と食品以外の資産(おもちゃなど)が一体として販売される物。

 

新聞

政治・経済・社会など一般社会的事実を掲載する週2回以上発行され、定期購読契約に基づくもの。

*電子版は軽減税率の対象外。

 

結局だれが得をするの?

「しばらく食料品が据え置かれるならお得じゃないの!」って最初は多くの人が思うかもしれません。

ですが、現実問題として喜んでばかりもいられません。

 

消費者側

単純に、外食の際にテイクアウトにすれば軽減税率が適応されるため標準税率(10%)よりも安くなることになります。

つまり、このままいけば、軽減税率が適応される事業者の納税額も減りますが、事務負担は激増します。(事務負担については後述しています)

ですが、商品価格は全てのコストが計上されることになります。買うときは確かに8%かもしれませんが、値上げ後の価格から8%になっているかもしれません。


数字上は確かに10%よりも安いですが、「増税前の8%の価格よりもそもそも上がっている」かもしれないということに気付く必要があります。

→このように、商品が本当に安く提供されているかどうかは、これまでの同じ商品と比べないと分かりません。(内容量が減っていたり、中国産に変更されている可能性も考慮すると実際には判断は難しい)

これが、「目の前の数字だけをみると安く感じるが、実際には損をしている」と言われる理由の1つです。

*軽減税率の準備にかかる新しいコストが商品価格に反映されるとしたら、消費者のための制度ではなさそうです。

 

事業者側の準備がかなり大変!

先程、軽減税率の対象が「飲食料品」だとお伝えしました。

この、飲食料品の区分がネックになります。「食品」とは、飲用または食用に共される物です。

ちなみに・・・

  • 外食
  • 工業用の塩
  • ケータリング(指定された場所での調理)

などは、軽減税率の対象から外されます

*「提供方法(お店で食べる or テイクアウト)」によって税率が変わる。

 

外食店の場合

軽減税率8%で仕入れた食品を外食店は提供しますが、外食は軽減税率の対象外になるためお客さんは10%(標準税率)を支払うことになります。

 

例えば、1,000円(税込価格)のカレーがあったとします。

  • 消費税8%→(消費税)74円+(本体価格)926円となります。  →1,000円。
  • 消費税10%→(消費税)92円+(本体価格)926円となります。→1,018円となります。

つまり、2%の差を計算に入れないと、どんどん赤字が膨らんでいく(店側が負担する)ことになります・・・


ということで、飲食料品の売上げ・仕入れがある場合、事業者は例えばこんな準備をしなくてはいけません。

  1. レジの入れ替えやシステムの改修
  2. 軽減税率制度に対応した区分記載請求書
  3. 毎日の売上・仕入れ(経費)を税率ごとに区分して帳簿に記載

いつまで適応されるか分からない軽減税率のために、多額の費用と作業が要求されています。

→こういった物が、新しいコストとして商品価格に反映されることになるでしょう。

 

業種事のポイント

食品製造業

→飲食料品を製造するための外注加工費=標準税率
→製造工場等での直売であっても、飲食設備等で飲食させる場合、「外食」に該当=標準税率

 

食品卸売業

→通常必要な容器(缶・トレイ等)に入った食品の販売=軽減税率

 

小売業:(イートインスペースを設置している小売店等)

→持ち帰り販売=軽減税率
→店内飲食=標準税率

 

飲食業

→飲食店での食事の提供やケータリング等=標準税率
→持ち帰り販売・出前等=軽減税率

 

このように・・・

  1. 軽減税率を受けられるかどうかは、コンビニオーナーなど経営がギリギリの事業者にとっては死活問題になる可能性がある。
  2. 適応されたら適応されたで書類が大変なことになる。
  3. 提供方法で金額が変わるため、特に飲食店での混乱が生じる。
  4. 対応するための準備がすでに始まっている。→多額のコストが発生している。

 

*マックで100円のハンバーガーを買うときに、「店内飲食110円(税込)・テイクアウト108円(税込)」と2つの価格が表示されることになるかもしれません。

ちなみに、青果店のように軽減税率が対象になる商品しかないと思われる事業者であっても、野菜を包むラッププラスチックケースなどは標準税率になるため、全ての事業者が関係します・・・

→税率事に分けて管理する必要がある。

*個人や中小企業など、ギリギリでやっている事業者のための制度ではなさそうです。

 

軽減税率については、こちらの記事でも紹介しています。

答えがみえない軽減税率 ~あなたは、正解できますか?~

 

税務署の職員さんのお話し

職員:軽減税率については戸惑っていることが多々あります。

その場で、「どっちや!」って言われれば答えられるとは思うが、「なにが正しいのか?」ということに関しては、「税務調査」の話しになります。

確定申告の時期で、そこまで詳しく話せるということではないので・・・

軽減税率の大きな問題ではあるので、HPで情報を出したり、説明会を予定している。(税理士の先生を呼ぶ予定)

あとは個別に対応することになる。

とりあえず、「10月の軽減税率が始まってみないと分からない」ということでした。

と言うわけで、HPで確認したりそれぞれが所管する税務署に直接聞きに行った方がいいでしょう。税務署としては、2019年7月の現時点で「正直どうなるか分からない」とのことでした。

*軽減税率は、確定申告をさらに複雑にするため税務署職員にとっての制度でないことも確かです。

 

最後に

軽減税率は、「誰がいったい得をするのか?」と言えば、負担が大きいとはいえ軽減税率が適応される事業者であることは間違いないでしょう。

ただ、すぐに軽減税率が撤廃されることになればシステムなどに投資した設備や資金が全て無駄になってしまいます。そう考えれば、「数年は続く制度なのか?」と考えられます。

→既に実施されている諸外国の例を見ると、「利権が絡んで撤廃したくてもできなくなってしまっている!」なんてそんな話しまであります。

あとは、目の前の数字にしか興味がない消費者にとっては、得な気分になれるかもしれません。

ただ、すでに「値段据え置きで内容量が減らされている」など、そういった事実を知っている消費者が増えているため、どれだけの人がそのまま目の前の数字(価格)を「安くなった!」と受け入れるのかは疑問が残ります。


1歳・3歳の子どもがいる私のような子育て世代としては、食料品以外の出費も重なるためとてもシビアな問題として感じています。

税務署では、本当に懇切丁寧に教えてもらえますので税金関係は確認した方がいいでしょう。ただ、基礎知識がないとそもそも話しが理解できないかもしれないので、ある程度勉強してから相談した方がいいですよ。

*電気・ガス・水道などのインフラさえ、軽減税率とは関係ありません。なぜか軽減税率が適応されている新聞なんて取る余裕もないし・・・というかそもそも必要?

ここまで記事として書いてきましたが、結局誰のための軽減税率かは個人的にはよく分かりませんでした。少なくとも、「私達消費者のための制度ではない?」と思えて仕方がありませんでした・・・

10%増税・軽減税率を導入 + 事業者が軽減税率を導入するためにコストが発生 + 発生したコストを商品に上乗せ + 価格が上がった商品を消費者が購入 + 軽減税率品目以外は10%で消費者が購入消費者が一番負担してない?


参考

国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/01.htm

フーズチャンネル
https://www.foods-ch.com/shokuhin/1539936032256/?p=4

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です