なんども繰り返す「ヒトメタニューモウイルス(hMPV)」合併症の恐怖とは?

 

子どもが風邪を引いてしまい、現在わが家は体調不良の状態に陥っています。子どもが受診した結果、ただの「風邪」とのことで良かったのですが一応私の親にも報告しました。

*こういうところをしっかりしているといざというときに助けてもらえます。

すると、「親戚の子どもがヒトなんとかって病気にかかって1週間ほど入院していた」と親から情報がありました。聞き慣れない、というか初めてきいた病気だったのですが実は毎年流行しています。

今回、私にとって初耳の病気だった「ヒトメタニューモウイルス」についてご紹介します。

 

ヒトメタニューモウイルスってそもそもなに?

初めて聞いたときは「人なんとかって・・・」なに?という感じでした。

実は、この「メタニューモウイルス」はこれまでトリに感染するトリ・メタニューモウイルスという病気しか発見されていませんでした。ところが、2001年に人にも感染するヒト・メタニューモウイルスが発見されました。

つまり、人にも感染するニューモウイルスという意味で「ヒトメタニューモウイルス」と呼ばれています。「人なんとかって病気・・・?」はあながち間違っていませんでした。

 

呼吸器感染症の原因ウイルス

呼吸器感染症の原因となるウイルスは、例えば「インフルエンザ」だけでなく最近では「RSウイルス」という感染症を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

高齢者や子どもだけでなく、免疫がおちている人が感染するとどちらも肺炎などにかかり命の危険性がある怖い感染症です。

乳児に大敵 RSウイルス

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呼吸器感染症の原因となるウイルスが分かってきた中にあっても、まだ原因不明とされていた呼吸器感染症が数十%存在していました。そんな原因不明の感染症の1つだったウイルスが2001年に発見された「ヒトメタニューモウイルス」です。


→ヒトメタニューモウイルスは、呼吸器感染症の5~10%を占めています。ということは、「まだ原因不明の呼吸器感染症がある」ということですね・・・

→ちなみに、発見されてなかっただけで世界中でこれまで人の間で流行していたと推測されています。

さて、ヒトメタニューモウイルスの説明はこれぐらいにして、それではどういった特徴があるのか見ていきましょう。

 

ほぼ全ての子どもが感染!

ヒトメタニューモウイルスは、human metapneumovirus→「hMPV」と略されます。

このウイルスの特徴は・・・

  • 生後6ヶ月頃~初感染が始まる。
  • 2歳までに約半数が初感染
  • 遅くとも10歳までにほぼ全員初感染

 

さらに・・・

一度の感染では十分な免疫を獲得できないため、何度も繰り返して感染すると言われています。そのため、「何度も感染する内の初めての感染」という意味で、初感染という表現になっています。

*感染を繰り返す内に免疫を獲得していくため、年齢が上がるにつれて症状が軽減する傾向があります。

sweetlouise / Pixabay

 

どんなふうに感染するの?

年間通して発生しますが、3月~6月が多いためこの期間がピークとされています。多くの感染症と同じで、飛沫感染(くしゃみ・咳)と接触感染(ウイルスのついた手や鼻に触って)によって感染していきます。

普通は、咳・鼻水・発熱といった風邪症状を引き起こすだけで終わります。ですが、冒頭で親戚の子どもが1週間も入院していたという話しでした。なぜ、入院することになったのでしょうか?

 

怖い感染症

この病気は、呼吸器感染症の原因になるとお伝えしましたが、他にも20%に中耳炎が起こるなど年齢が低いほど合併症になりやすくなります。

そして、仮に入院するほど症状が悪化したとしても特効薬はありません。あくまで熱がでれば解熱剤・咳がでれば咳止めといった具合に症状に合わせて対応する「対処療法」しか治療方法はありません。

stux / Pixabay

 

入院する過程

2歳未満の子どもが重症化しやすいのですが・・・

❶潜伏期間は2~4日程

➋鼻水・咳症状が発生。→風邪のような症状。

❸高熱がでて症状が悪化。→普通ならインフルエンザを疑う。

❹熱発が4~5日続く。→インフルエンザにしては長い(インフルエンザによる熱発はだいたい3日間)

❺咳込みが強くなり夜に眠れなくなる。→(食事・水分摂取が不十分で脱水症状を引き起こすことも)

❻呼吸が「ゼイゼイ」して細気管支援を合併すると息苦しさがさらに悪化→入院治療

このように、ヒトメタニューモウイルスは風邪症状で終わればいいのですが、合併症により症状が長引き重症化することで、入院する可能性がある病気です。

toubibe / Pixabay

*気管支炎や肺炎などにより呼吸ができなくなり、亡くなることもあります。

 

予防するには?

手洗いの徹底が有効な対処なんですが、実際2歳の息子は手当たり次第にさまざまな物を触りまくっています。そのため、手洗いにも限界があります・・・

というのも、どんなに皮膚が強い人でも何度も手洗いをしてさらに手の消毒までしていれば手の皮膚がボロボロになっていくためです。このことは高齢者施設で働いていた私の手がひび割れだらけになった体験からも明らかです。

そのため、徹底といっても「ある程度」しかできません。

 

最後に

息子は、ただの風邪でしたが咳や鼻水が2日続き、夜間咳のため寝不足になっていたこともあり小児科に受診しました。

  • 高熱が2日も3日もでているにも関わらず様子をみる親はいないと思います。その間、どんどん体力が奪われ食べられなくなるため、様子をみる意味がありません。
  • 口から食べ物が摂取できなければ親にできることは環境面を整えるぐらいしかできません。ですが、子どもの体力はどんどん落ちていきます。

 

というわけで、感染予防も大切ですが感染してからの対応(病院受診のタイミング)を間違えないことがさらに大切になります。

いつも走り回っている子どもが元気がないと「あれ?」と気づくと思います。その後、しばらく(1日・2日)様子をみて体調が戻らなければ迷わず受診して下さいね。

→もちろん、広範囲に湿疹(アレルギー症状の1つ)や高熱(40度以上は命に関わります)がでているなど体調によってはすぐにでも受診する必要があります。

 

*阪神北広域こども急病センターHPより

小児の場合は、布団などで熱がこもっていないにも関わらず38℃以上の熱が続く場合は「危険」とされているため、すぐにでも受診する必要があります。


参考

株式会社 ミズホメディー
https://www.mizuho-m.co.jp/information/oyakudachi/hmpv/index.html

つだ小児科クリニック
https://www.tsudashonika.com/hmpv/

新潟市医師会
http://www.iwafune.ne.jp/~sakamachi-hosp/mame/g_201502_01.html

阪神北広域子ども急病センター
https://www.hanshink-kodomoqq.jp/?page_id=44

 

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