火災原因で、一番多い理由が放火であることや放火の危険スポット・対策についてはこちらの記事で消火しています。
→火災原因は⚪⚪だった! ~初期消火の約2分間でできること~
→H29年の東京消防庁の発表 ~放火される危険な条件と対策は?~
ただ、それだけ多くの放火件数がありますが放火をしたときの罰則をご存じでしょうか?
今回は、当たり前のようにおこなわれている「放火」という犯罪が刑法のなかでどういった位置にあるのかについて紹介します。
放火による罪ってなに?
みなさんは、「放火は重罪だ!」ということを聞いたことはありませんか?
特に、昔は木造家屋が多く一度火事が起これば一面巻き込まれてしまい家・家族をはじめすべてを奪われました。今でも、恐怖の代表として怖い物から順番に「地震・雷・火事・親父」なんていいますよね。
そして火事である放火には、「放火罪」という罪が問われます。
ただ、放火罪と一言でいっても放火罪(故意)と失火罪(過失)の2種類に区分されています。
*豆知識*
「親父」は自然災害ではないですよね・・・
→「おやじ」とは、「大風山(おおやまじ)」または「大風(おおやじ)」からきたという説があります。「大きな風」とは、つまり台風のことです。
本来なら、「地震・雷・火事・おおやまじ(おおやじ)」なんですが、「おやじ」にしていつの間にか「親父」になったという説があります。
放火罪
火災原因である「放火」は、故意(自分の意思でおこなっている)ためこちらの放火罪が適応されると考えられます。
放火罪は、3種類に分かれています。
現在建造物等放火罪
刑法第108条に規定されています。
人のいる建物を放火した場合に適応されます。
人のいる建物とありますが・・
108条の条文
- 「人が住居に使用」または「現に人がいる」、建造物・汽車・電車・艦船または鉱坑(こうこう)を焼損した者は、死刑・無期懲役もしくは5年以上の懲役に処されます。
→殺人罪と同等の重い罪。
*艦船とは、船全般のことです。
*鉱坑とは、鉱山や炭鉱で、調査・採掘のため掘った穴。
刑法は、明治40年(1907)にできた100年以上前の法律です。現在では聞き慣れない言葉が多く使われています。
非現住建造物等放火罪
人がいない建物を放火した場合。
刑法第109条に規定されています。
109条の条文
- 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物・艦船または鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
- ただし、自己の所有に係るときは、6ヶ月以上7年以下の懲役に処するとされています。(公共の危険を生じないときは罰しない)
*有期懲役とは、期間の定めがある懲役のことです。(無期懲役に対して使われる)
*公共の危険とは、一般人が危険を感じるかどうか。(火力の程度や人家との距離・周囲の状況などで異なります)
建造物等以外放火罪
建物以外へ放火した場合。
刑法第110条の条文
- 放火して、刑法第108条(人がいる建物など)・109条(人がいない建物など)に規定する以外のものを焼損し、公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処されます。
- 自己の所有に係るときは、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処されます。
このように、放火した物や火災の状況によって刑罰は大きく変わっていきます。
そして、結果的にどんな被害になるかは誰にも分かりません。
*豆知識*
①放火をしていなくても、「不作為」により放火罪が成立する可能性があります。
不作為というのは、「義務があるのにしなかった(放棄した)」という意味です。
例えば、「火の不始末で火災を発生させた本人」・「警備員などの管理施設に責任を負っている人」には、消火活動をおこなう義務や119番通報をする義務があります。
→消防法で、火災・ボヤを発見した者には、消防署等への通報義務があります。
しかし、通報もせずに放置して逃げ出したことで建物等が焼損した場合は不作為により、放火罪が成立する可能性があります。
②発火装置(こたつに可燃物をおいて放置する・ローソクを不安定な場所に置くなど)を使って火災が発すれば放火罪に当たります。
失火罪
過失(結果的)に火災が発生してしまった場合。
寝たばこやこんろの消し忘れなど、「火事を起こそう!」とした火災でなければ失火罪が適応されます。
ただ、例えば花火などの火遊びで建物が全焼するなど被害が大きくなれば放火罪が適応されます。
刑法第116条の条文
- 失火(過失)により、第108条に指定する物(人がいる建物など)または他人の所有に係る第109条(人がいない建物など)に規定する物を焼損した者は、50万円以下の罰金に処する。
- 失火(過失)により、第109条(人がいない建物など)に規定する物であって自己の所有にかかるものまたは第110条(108条・109条以外の物)に規定する物を焼損し、公共の危険を生じさせた者も50万円以下の罰金。
つまり、失火罪の場合は罰金刑だけです。
ただ、火災の程度によっては放火罪が適応される可能性があることを覚えておくといいでしょう。
最後に
刑法犯は6種類(凶悪犯・粗暴犯・窃盗犯・知能犯・風俗犯・その他の刑法犯)に分けられます。
凶悪犯とは、「殺人」・「強盗」・「強姦」そして「放火」です。
放火は凶悪犯に分類されるため、罪は重く最高刑は「死刑」。
放火したものが燃え広がれば、無期懲役や死刑になってもおかしくありません。
無差別にあらゆる物を奪っていく火災は、恐怖そのものです。
その火災を個人の意思でおこなう行為が放火です。
放火犯は凶悪犯として扱われ、当然刑罰も殺人罪と同等の重い重罰が科せられています。
まとめ
- 放火と失火で罪状は全く違う。
- 放火罪の最高刑は「死刑」
- 失火罪は罰金刑だが、火災状況によっては放火罪が適応される。
参考
ウィキブックス
→https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
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→https://keiji-pro.com/columns/59/
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→https://yourbengo.jp/keiji/967/
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