前回、不安なときに警察に相談することができる「#9110」についてご紹介しました。
それでは、医療関係者に相談することができる「#7119」についてはご存じでしょうか?
110番をして警察を呼ぶほどでもない場合に使われる「#9110」と同じように、救急車を呼ぶほどではないときに利用できる「#7119」。
今回は、そんな『もしもの不安に対応してくれるダイヤル「#7119」』についてご紹介します。
「#7119」とは?
「救急安心センター事業」それが、#7119です。
さそもそも、救急車の緊急出動は年々増加しています。
救急車の出動
例えば、平成30年の緊急出動件数は約661万件(実際に救急搬送されたのは、約596万件)でした。つまり、65万件以上が搬送の必要がない緊急要請(119番)でした。
総務省消防庁より
平成19年:出動件数 約529万件 → 平成29年:出動件数 約634万件(10年間で100万件以上の増加)
- 救急車の現場到着時間
平成19年:7.0分 → 平成29年:8.6分(到着までに1.6分遅くなっている)
- 病院収容時間
平成19年:33.4分 → 平成29年:39.3分(5.9分遅くなっている)
それでは、質問です。
次のうち、緊急性が高いのはどちらでしょうか?
- テレビの配線をお願いするために救急要請。
- 79歳の女性から、オムツ交換をお願いするために救急要請。
⇊ ⇊
答え.どちらも不適切
どちらも、実際にあった事例です。
他にも、「今日が病院に行く日だから」「どこの病院に行ったらいいか分からないから」「速く医師に診てもらいたいから」など、救急車を文字通りタクシー代わりに使う事例もありました。
最も信じられない理由は「救急車は無料だから」だそうです・・・
1分1秒を争う
例えば、AEDを利用しないといけない心室細動を引き起こしている場合、心臓が痙攣してしまい血液を送れない状態になっています。
この場合、数秒で意識を失い約5分で取り返しのつかない脳障害が引き起こされる可能性が高くなります。つまり、緊急事態は1分1秒を争う状態です。
それにも関わらず、そもそも救急車が到着するまでに1.6分。さらに病院へ運び込むまでに5.9分。つまり、平成29年までの10年間で7.5分も遅くなっていることになります。
どれだけ深刻な状態か、分かるのではないでしょうか?
医療の技術革新は確かに進んでいます。ただ、命を取り留めることはできても社会復帰ができるかどうかはまた別の問題です。
心室細動についてはこちらの記事でも紹介しています。
→AEDと社会復帰についてはこちらの記事で紹介しています。
「#7119」は全国展開ではない!?
そもそも、平成29年10末時点で全国10地域で実施されていた事業です。
- 北海道札幌市周辺
- 宮城県
- 埼玉県
- 東京都
- 神奈川県横浜市
- 大阪府内全市町村
- 奈良県
- 兵庫県神戸市
- 和歌山県田辺市周辺
- 福岡県
→人口カバー率:36%
その後、2019年に総務省重点施策として、救急車の適正利用を促すために救急安心センター事業「#7119」の全国展開が推進されることになりました、
つまり、「展開中の新しい事業」だと言うことです。
→令和元年12月時点では、全国16地域:カバー率43.9%まで拡大。
それでは、実際にどういったことができるのでしょうか?
「#7119」でなにが変わるの?
冒頭でお伝えしたように、救急車を効率的に重病者へ向かわせるための事業です。
- 潜在的な重病者を発見し救護。
- 軽傷者の割合の減少効果。
- 不急の救急出動の抑制効果。
こういった期待がされています。
私達は、どういった時に利用すればいいの?
- 救急車を呼んだ方がいい?
- 今すぐ病院に行った方がいい?
→判断に迷ったときに、「#7119」にダイヤルします。
相談は、医師・看護師・トレーニングを受けた相談員等が電話口で傷病者の状況を聞き取ります。
- 緊急性が高いと判断された場合は、救急出動につなぐ。
- 緊急性が高くないと判断された場合は、受診可能な医療機関や受診のタイミングについてアドバイス。
- 「どこの病院に行ったらいいか?」といった相談にも応える。
*原則、24時間365日体制
さまざまな事例!
事例1
50代女性:「就寝前からの胸痛が続いている」と本人から相談。
→医療機関において、緊急カテーテルを実施。予後良好。
事例2
60代男性:「急にろれつが回らなくなった」と家族から相談
→医療機関で脳梗塞と診断。適切な処置により後遺症もなかった。
このように、もっと悪くなるまで様子をみなかったおかげで助かった命があります。
最後に
本来、医療は症状が軽度のうちにおこなうことが重要です。
ですが、「まだ大丈夫!」と、119番に連絡するまで様子をみるのはかなりリスクが高い行為です。最悪、連絡することすらできなくなるかもしれません。
一方、現時点で緊急性がなくても相談することができればその後、悪化するかもしれない症状でも対応してもらえます。
普段の生活で、119番は敷居が高いですが、「#7119」なら迷ったら相談することができます。もしもの時の連絡先として、覚えておいてはいかがでしょうか?
*サービスは無料ですが、電話料金はかかります。
参考
総務省消防庁
→https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate006.html
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