皆さんは、「110番」や「119番」通報は知っているかと思います。それでは、「189」についてはご存じでしょうか?
今回は、厚生労働省が開設している「189」についてご紹介します。
そもそも、3ケタの「1△△」番号ってどんなものがあるの?
- 104→電話番号の案内
- 110→警察への通報
- 113→故障受付
- 115→電報受付
- 117→時報
- 118→海上保安機関への通報
- 119→消防への通報
- 122→電話会社固定サービスの解除
- 171→災害用伝言ダイヤル
- 177→天気予報
- 184→非通知で相手に電話
- 186→非通知設定でも、相手に発信者番号を表示させる
- 188→消費者生活相談受付
- 189→児童虐待通告・児童相談受付
など、「1△△」の番号は、実はたくさんあります。適当にかけるとどこかに繋がってしまうこともあるのでイタズラはやめて下さいね。
さて、今回ご紹介する番号「189」は、「児童虐待通告・児童相談受付」につながり、児童相談所全国共通ダイヤルと呼ばれます。
*新たな3桁番号としては15年振り!
それでは、どうして「189」はできたのでしょうか?
「189」の役割は?
そもそも、これまで「児童相談所全国共通ダイヤル」は、10ケタの(0570-064-000)でした。→現在も使えます。
ただ、このままでは覚えずらく緊急時にすぐに使えないため、3ケタの番号189(いちはやく)が平成27年7月1日から、24時間受け付けるダイヤルとして運用されることになりました。
どんなときに連絡するの?
すぐに、児童相談所に通告・相談ができる全国共通の電話番号で、近くの児童相談所に繋がります。また、通告・相談は匿名でもおこなうことができ、もちろん通告・相談者の秘密は守られます。
- あなたの周囲で、「虐待されているかも?」と気付いた時
- あなたの周囲で、子育てで悩んでいる人がいる。
- 自身の子育てによる相談(「不安」や「しんどさ」など)
このように、保護者や子ども達のSOSをいち早くキャッチするための番号です。
「189」へはどうやってつながるの?
◎固定電話の場合◎
音声自動案内により居住地の児童相談所へ30秒以内に自動転送されます。
◎携帯電話の場合◎
①音声自動案内→②郵便番号入力→③分からなければ(都道府県・地域最寄りの児童相談所を順次選択)→居住地の児童相談所へ転送
携帯電話からの接続が改善!
さて、固定電話の場合はすぐに転送されるのですが、携帯電話の場合はガイダンスに従って入力する必要があるため、なんと児童相談所につながるまでに2分もかかっていました。その結果・・・
加藤厚労働大臣の答弁から、2018年5月中に携帯電話からかかってきた7,673件のうち、5割を越える4,166件がオペレーターに繋がるまでに切れていたことが分かります。
しかも、「通話料が発生します」というガイダンスが流れた途中で電話が切られているケースが目立ちました。
平成28年4月~は、携帯電話でも約30秒で居住地の児童相談所へつながる仕組みへ。
◎新しい携帯電話の場合◎
①コールセンター→②オペレーターに自治体名を告げる→③転送→④居住地の児童相談所へ繋がるようになりました。
また、「通話料も無料になる!」という話しですがまだまだ進んでいないようです・・・(令和元年5月時点)
そして、「189」にはこういった特徴があります。
「189」の特徴は?
仕組み
- 全ての児童相談所で運用されています。
- 24時間365日、相談に対応できる職員が対応します。(平成27年6月までは、夜間休日は警備員が対応する児童相談所も一部ありました。)
- 通話料→固定電話:8.5円/3分 ・ 携帯電話:90円/3分
→固定電話の場合は、児童相談所につながるまで料金は発生しません。
*金額は代表例(距離等により異なります)
平成28年4月からの改善点は?
- 児童相談所に電話がつながるまでの平均時間が約70秒から約30秒へ短縮。
- 発信者の利便性向上を図るため、郵便番号等の入力が必要な携帯電話からの発信について、コールセンター方式を導入し、音声ガイダンスに代わり対応する仕組みが平成30年2月から運用開始されました。
それでは、実際の通報件数はどうなっているのでしょうか?
夜間・休日の189の対応は?
平成30年5月~7月における189時間帯別総入電数
◎平日◎
- 日中(7時~21時台):42,801件(92.1%)
- 夜間(22時~6時台):3,689件(7.9%)
→合計46,490件
◎土・日・祝◎
- 日中(7時~21時台):15,087件(90.4%)
- 夜間(22時~6時台):1,597件(9.6%)
→合計16,684件
*ほとんど、日中の相談に集中していることが分かります。
報告件数からわかる「189」の課題とは?
厚生労働省が発表している平成28年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数より
それでは、そもそも「189」を導入する平成27年7月1日以前の平成27年4月~6月までの全国共通ダイヤル(10ケタ)の時はどれだけの件があったのでしょうか?
図1 《全国共通ダイヤル推移》
図1から、189ダイヤルができるまでの平成27年4月~6月までの3ヶ月間で、全体の半分は途中で電話が切られていた(接続率)ことが分かります。
- 入電数・・・2,000件前後
- 接続数・・・1,000件前後
- 接続率・・・50~60%前後(4月:48.4% ・ 5月:51.8% ・ 6月:61.8%)
それでは、189ダイヤルが開始(平成27年7月~)されてどう変わったのでしょうか?
189ダイヤルが開始されてから平成29年6月までの入電数と接続数の件数
◎平成27年7月~12月◎
図2 《全国共通ダイヤル189》
図2から、189ダイヤルが始まったことで7月以外は・・・
- 入電数・・・10倍以上増加
- 接続数・・・2倍以上に増加
- 接続率・・・10%前後
問題が顕在化していることが分かります。
入電数が2万件を超えているにも関わらず、実際に繋がったのは2,500件しかありません。つまり、接続数は確かに増えましたが、分母が大幅に上がっているため接続率が1割程度になってしまっています。
それでは、189ガイダンスの改善(平成28年4月~)によりどう変わったのでしょうか?
◎平成28年4月~12月◎
図3 《全国共通ダイヤル189(改善)》
図3から、入電数(分母)はほとんど変わっていませんが接続数が約2倍増加しています。つまり、接続率は約20%前後ですので、約10%増加したことになります。
改善したことにより一定の効果が見られますが、まだまだ改善の余地があることが分かります。
◎平成30年2月~9月◎
図4 《全国共通ダイヤル189(コールセンター方式導入)》
図4から、図3(平成28年)と比べると入電数が少し減少しています。接続率は20%~24%前後と若干繋がりやすくなっています。
ただ、改善はなされていますが、このように189ダイヤルには「そもそも繋がらない件数が多すぎる」という課題があります。
最後に
15年振りに作られた、新たな3桁番号「189」。
そもそも「相談までに至りにくい」という大きな課題があります。
個人的には、このまま繋がるように改善していったとして、もし毎月2万件~3万件もの電話が繋がったとして(これまでの約5倍~6倍の接続)、「児童相談所の対応できる職員?」はどれだけいるのでしょうか?
また、虐待通報の場合は速やかに現場に確認に行くことが要求されます。
「189」のうち、虐待通報がどれだけ増加するか分かりませんが、すでに限界がきているといわれる児童相談所が「どこまで対応できるのか?」「そもそも国はどこまでやらせるのか?」という疑問が残ります。
つまり、相談に対応できる職員がいなくなれば「189に連絡しても、繋がらない!」ということが発生する可能性が高くなるという課題が考えられます。(なかなか無料通話にしないのは、こういったことも原因?)
*189への通報は義務のため、私達は通報しなくてはいけません。
それでは、虐待通報のために「189」へ連絡する場合は具体的にどういった時なのでしょうか?
→虐待通報のタイミングについてはこちらの記事で紹介しています。
参考
厚生労働省
→https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000394627.pdf
毎日新聞
→https://mainichi.jp/articles/20170206/ddm/003/040/079000c
社会で子育てドットコム
→https://shakaidekosodate.com/archives/1041
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