皆さんは、「里親」という制度をご存知でしょうか?
NHKのニュースなどでも度々取り上げられています。
子どもが欲しい夫婦のひとつの選択肢としても取り上げられることがあります。
今回は、皆が知っているようで知らない「里親」ついて紹介します。
里親ってなに?
里親とは、保護者が入院・虐待・死亡などの理由で親のいない子どもたちに対しておこなわれる制度の一つです。
対象は、原則18歳未満。→必要に応じて20歳までが対象。
OpenClipart-Vectors / Pixabay
- 0~5歳 :約1万人
- 6歳~10歳 :約1万2千人
- 11歳~15歳:約1万6千人
- 16歳以上 :約7千人
→全国約4万5千人も親が養育できない子ども達が存在します。
*ニュースでたびたび虐待のニュースがあるように、あくまで分かっているだけでということです。
ほとんどの子どもたちは、施設で暮らしている
約8割が児童養護施設・乳児院で暮らしている
- 児童養護施設:幼児(1歳以上18歳未満)→場合によっては、20歳まで延長できます。
- 乳児院 :乳児(満1歳未満)
と分けられています。
里親は全体の約1割
養子縁組とは違い、戸籍は実の親のままになります。
原則:18歳未満までの間、実の親が可能になったら里子(里親制度を利用している子ども)は親元へ帰ります。
- 養育里親 ・・・原則18歳未満まで子どもを家庭に受け入れて養育。
- 養子縁組里親・・・養子に迎え入れる前提で養育。
- 専門里親 ・・・虐待、非行、身体・知的障害児など専門的なケガ必要な児童を養育。
- 親族里親 ・・・3親等以内の親族。→養育里親よりも優先されます。
このように、ひとことで「里親」といってもさまざまな種類があります。
里親の期間
- 数年間の長期委託
- 数週間から1年以内などの短期委託
*子どもの事情によってさまざま。子どもたちのための制度です。
里親サロン
里親同士で集まるサロン。
→子ども達を育てていく悩みや喜びを分かち合うことを目的に行われています。
助成金
子ども
- 一人目 :8万6,000円(月額)
- 二人目以降:4万3,000円(月額)
生活費
- 乳児 :5万8,310円(月額)
- 乳児以外 :5万0,570円(月額)
*毎月、里親手当・生活費・学校教育費・子どもの医療費等の助成があります。
*子どもを迎えいれたあとのサポートもあります。
里親の登録
①児童相談所へ相談
②研修・家庭訪問等
→一定の要件を満たせば登録できる。
*特別な資格は必要ありません。
里親の現実は?
平成29年度 厚生労働省「子ども・子育て支援推進調査研究事業」の調査結果より
全国の里親家庭4,000箇所が対象。(そのうち、1,726家庭から回答:回収率は43,2%)
①里親世帯の平均月収
→20万円以上の給与所得者が全体の8割を超えています。
→30万円以上の給与所得者で見ても3割を超えているので、高所得者が里親をされている傾向が強いようです。
②里親になろうと思った動機
→子どもが欲しかった(養子の希望あり)が最も多い。
→次に、社会的に意義があると思った。
③未委託期間
里親として登録しても、すぐに里親になれるとは限りません。
・実際に里子を受け入れるまでにかかった期間
→1年以上~2年未満:250人と最も多い。
→次いで、1年未満 :161人
→2年以上3年未満 :99人
*なんと12年以上という方も11人。
・なぜ、里子を受け入れるまでに時間がかかったの?
→「受託可能な子どもがなかなか見つからなかった」が最も多い。
→「面会交流や受託の打診があまりなかった」が僅差で2番目に多かった。
里親制度の課題
調査結果をみると・・・
・里親に登録されても待機期間が長いこと。
・元の親に返すことが養育里親の前提ですが、自分の子どもが欲しいと思って里親になる方が多い。
・「受託可能な子どもがなかなか見つからなかった」と回答している反面、「ほとんど受託されることがなかった」という回答が両方とも高い回答数になっています。
→受託を申し込む里親が集中してしまっている?
里親制度は、想像以上に助成があると思いましたが・・・
高校や各種進学といった里子の里親への経済的支援が不足してい
ることが指摘されています。
「経済的負担を感じる」と答えた里親は・・・
未就学・保育園・幼稚園までは、どれも経済的負担を感じている里親は3割未満。ところが、小学生になると半数近くの里親が経済的負担を感じることが調査結果に示されています。
→進学ともなれば、里親全体の6割以上を占めています。
*「体力的な負担を感じるか」については、未就学児から中学校卒業まででどの年代でも50%を超えています。
まとめ
里親の数が圧倒的に足りていません。ただ、現在の一般家庭でどれだけの人が経済的にまた時間的な面で里親になれるのか?夫婦共働きで里親に仮になれたとしても、その状況下で他の家庭のお子さんを預かることに対する敷居はかなり高くなります。
私も含め、自身の生活だけで精一杯な家庭がどんどん増えています。
2017年8月に「新しい社会的養育ビジョン」が発表されました。
これは・・・
①社会的養護を必要とする子どものうち、
- 3歳未満児 ・・・5年以内
- それ以外の未就学児・・・7年以内
にそれぞれ里親委託率を75%以上にする。
②学童期以降の子どもについては、里親委託率を10年以内に50%以上にする。
といった数値目標が柱になっています。
最初に伝えたように、2018年の時点で「里親委託率」という数値でいうなら里親はまだ全体の1割程度。
今後、里親制度がどのように進められていくのか課題とともに不安が残ります。
まさか、「規制緩和」とか「助成引き下げ」なんて話にならないとは思いますが・・・
参考
政府インターネットテレビ:親と暮らせない子供たちのために 養育里親になりませんか? 短期もあります
→https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg17806.html
平成29年度 厚生労働省「子ども・子育て支援推進調査研究事業」
→https://www.osakafu-u.ac.jp/osakafu-content/uploads/sites/428/satooya_houkoku_2018.pdf
ウィキペディア:児童養護施設
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%90%E7%AB%A5%E9%A4%8A%E8%AD%B7%E6%96%BD%E8%A8%AD
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