皆さんのお子さんは「やせすぎ」・「太りすぎ」には気をつけていらっしゃるでしょうか?
先日、「子どものやせ」について紹介しましたが、当然やせすぎても太りすぎても身体には影響が出てきます。
今回は、「子どもの肥満」についてご紹介します。
→子どもの「やせ」については、こちらの記事で紹介しています。
幼児期の肥満
徳島県医師会生活習慣病予防際策委員会より・・・
そもそも、赤ちゃんは全体的にふっくらしていますよね。
ただ、2歳までの肥満はあまり問題にされません。
ですが、3歳以降の肥満や生活週間は大人の肥満や病気と関連が見られています。
さて、そんな学童期の男子の10人に1人は肥満とされています。
それでは、なぜ子どもが肥満になってしまうのでしょうか?
子どもの肥満原因は?
子どもの肥満のほとんどは、単純性肥満(原発性肥満)といって摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために起こります。
簡単に言えば、食時・おやつ・ジュースなどの・・・
- 過剰摂取
- 食事内容のバランスの悪さ
- 運動不足
などが原因です。
→1970年代以降から食生活やライフスタイルの変化のため、子どもの肥満が急激に増えました。
例えば、コンビニや自動販売機の増加などが挙げられます。
このように、便利になりすぎた環境が子ども達の肥満の原因にもなっています。
子どもと成人病
そもそも、肥満は2型糖尿病・脂質異常症・高血圧などのいわゆる生活習慣病の原因になります。
そして、「動脈硬化を促進し将来的に心筋梗塞や脳卒中を引き起こすリスクを高め・・・」
と、誰もが聞いたことがあるのではないでしょうか?
実は、この生活習慣病は成人だけではなく子どもにおいても見られます。
つまり、子どもの頃から動脈硬化は進行します。
他にも、下記のようにさまざまな影響が現れる可能性があります。
- 脂肪肝
- 睡眠時無呼吸
- 膝や腰への影響
など。
大人への影響は?
そもそも、子どもの肥満は「大人の肥満のもと」になります。
特に、「年長児の肥満ほど、大人の肥満に以降しやすい!」という特徴があります。
思春期の時期になってしまうと、「身長が伸びて体格が形成されてしまう」ことや「肥満を引き起こす生活習慣ができてしまう」ことから肥満が定着し、もとに戻すことが難しくなります。
つまり、小児期でも肥満治療は重要で、できるだけ早い内に治療を始める必要があります。
《成人肥満になる確率》
- 幼児期肥満:25%
- 学童前期肥満:40%
- 思春期肥満:70~80%
→このように年齢が上がる程、成人肥満になる確率が高くなります。
思春期に入った子ども達は、体格が形成され生活習慣が決まってしまうため、その後の肥満になりやすくなります。
つまり、肥満になりやすい生活習慣が形成されてしまう前に、治療をする必要があります。
小児期(6~15歳)のメタボリックシンドロームの診断基準
①腹囲:腹囲80㎝以上
②血清脂質:中性脂肪120mg/dl以上 and/or HDLコレステロール40mg/dl未満
③血圧:収縮期血圧125mmHg以上 and/or 拡張期血圧70mmHg以上
④空腹時血糖:100mg/dl以上
*①と②~④のうち2項目を有する場合にメタボリック症候群と診断されます。
肥満の評価は?
そもそも、子どもの肥満は主に肥満度で評価されます。
肥満度=(実測体重-標準体重)/標準体重✕100
《幼児の肥満度》
- 15%以上は「太り気味」
- 20%以上は「やや太り気味」
- 30%以上は「太りすぎ」
《学童の肥満度》
- 20%以上は「軽度肥満」
- 30%以上は「中等度肥満」
- 50%以上は「高度肥満」
どんな対策をすればいいの?
- 早寝・早起き
- 朝食は必ず食べる
- 1日のテレビやゲームの時間は決める。
- 外で遊ぶ時間を作る。
よく言われる基本的なことだと思います。
食時に関しては・・・
- お菓子は、1袋食べずにお皿に小分けにする。
- 夜食は止める。
他にも「有酸素運動をする」・「野菜を食べる」・「おかわりをしない」などがありますが、例えば無理をしても続かないため、できるところから家族が協力して子どもと一緒に改善していく必要があります。
そして、肥満度が上がってきたなら少しでも早く、受診する必要があります。
間違った考え方!?
- 知らないうちに太ることはあっても、やせることはない!(特に思春期を過ぎると痩せにくい)
- 果物やスポーツドリンクはカロリーが高く、食べ過ぎると太る!
- 牛乳は1日400mlで十分!(飲み過ぎは肥満・高脂血症・貧血の原因)
- 肉よりも魚の方が低カロリー(特に青魚は、高脂血症を防ぐ)
- 水は、カロリー0のため、たくさん飲んでもおしっこになるだけ→ただ、あまりに飲み過ぎると水毒症になるため注意は必要。
- 祖父母がおやつをあげたがるため注意が必要。(「夏休み」は特に太りやすい)
- 外食は避ける!
- 一生のうちに使うことができるインスリンの量は決まっている!(家系に糖尿病などの持病があれば要注意)
最後に
子どもは、痩せすぎても・太りすぎても危険です。
そして、子どもの太りすぎは成人病の第一歩です。
肥満の治療は、できるだけ早い段階で治療する必要があるため「大きくなったら痩せるだろう・・・」と気軽に考えていると、取り返しが付かないことになるかもしれません。
「子どもが太り気味!?」と感じたら受診した方がいいでしょう。
定期的に皮膚の状況などで小児科へ受診していればいいですが、もしもほとんど受診することがないのなら注意してあげて下さいね。
参考
日本小児内分泌学会
→http://jspe.umin.jp/public/himan.html
徳島県医師会生活習慣病予防対策委員会
→https://www.tokushima.med.or.jp/syuukanbyou/dl/4.pdf
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