集積所からゴミを拝借!? それ、罰せられるかも・・・

 

皆さんは、ゴミ集積所などにあるゴミを持ち帰ったことはありませんか?

あなたがなくても、子どもが持って帰ってくるかもしれません。

もちろん、衛生面の問題もあります。

ただ、法的にはどうなると思いますか?

今回は、「集積所のゴミを持ち帰ったら罰せられるの?」についてご紹介します。

 

そもそもゴミは誰の者?

ゴミの集積所に分別排出された資源物を、許可なく無断で持ち去る行為として、「資源ゴミの持ち出し」がたびたび問題となります。

さて、そんなゴミはだれのものになるのでしょうか?

まず、当然ですがゴミを出した人はその所有権を破棄したことになります。

つまり、ゴミに出してしまえば所有者が存在しない動産=「無主物」となります。

例えば、道に捨てられている空き缶やタバコの吸い殻などもこれに当たります。


ただし、廃棄物処理業者に譲渡するまで一時的に占有を離れている場合は、無主物にはなりません。

ちなみに、国民生活センターによると、「無主物を持ち去ったとしてもゴミを出した人に対する窃盗罪等の犯罪は成立しないといえる」とされています。

それでは、「ゴミ集積所のゴミは持ち去っても、法的には全く問題ない?」ということでしょうか?

 

自治体との関係は?

ゴミの持ち去り行為を窃盗罪などの刑法犯として検挙することは、現実問題として難しいことが分かりました。

ですが、自治体の法律(条例)として「持ち去り禁止条例」を定めるという方法が当たり前になっています。

 

熊本市の場合

平成19年10月1日から、ゴミの持ち去りは禁止されています。

持ち去り防止看板だけでなく、早朝パトロールも実施されています。

悪質な持ち去り行為者に対しては、刑事告発も行なわれます。

*回収業者には、「熊本市委託車両」というステッカーが貼られている。

 

福山市の場合

平成18年4月1日から禁止されています。

取締りが目的ではなく、適正に排出されたゴミが「誰が・どこに持ち去り」「どのように処理されたか」。市民と市の信頼関係の構築が目的とされています。

当然、自治会・子ども会・福祉団体などが資源回収することを禁止するものではありません。

このように、市独自の条例により方針が変われば内容も変わってきます。

一度、あなたの自治体のHPを確認してみてはいかがでしょうか?

 

ゴミを持ち帰るリスク

例えば、先程紹介した福岡市では不燃ゴミからアルミ缶と鉄を分別し、売却しています。その売却益は、年間約1.5億円~3億円にものぼります。

つまり、ゴミの持ち去り行為は「市としての収益」という視点一つとっても多大な影響があることが分かります。

さて、そんな「ゴミ持ち去り」で難しいとはいえ、問われるかもしれない罪状を最後にご紹介します。

 

軽犯罪法違反

軽微な犯罪を犯した人に対して、科料拘束が科される刑罰です。

軽犯罪法違反には1~34までの禁止事項が定められていますが、第一条第1項第21号は削除されているため、33項目が規定されています。

詳しくは省きますが、例えば「海水浴場の水面に空き瓶を投げる行為」や、「卒業式などをイタズラなどで妨害する行為」などがこれに当てはまります。

ゴミの持ち去りで問われる軽犯罪法違反は、ゴミ集積所がマンションの敷地内などで「関係者以外立入り禁止」となっている場合、そこに勝手に入ってゴミを持ち去れば・・・

第1条第1項第32号の「入ることを禁じた場所に正当な理由がなく入った罪」に問われる可能性があります。

→立入禁止の場所に勝手に入ってはいけません。

 

威力業務妨害罪

例えば、クレーム電話や迷惑電話を何度もかけると威力業務妨害罪になる可能性があることは多くの方がご存じではないでしょうか。

さて、今回のゴミ持ち去りに関してはどうでしょうか。

そもそも自治体は、住民が出したゴミを適正に収集運搬する責務があります。

つまり、住民が出したゴミを勝手に持ち去る行為じたいが、その責務を妨害したとみなされるため威力業務妨害に問われる可能性があります。

netkids / Pixabay

 

窃盗罪

「持ち去り禁止」と書かれているゴミを無断で持ち帰った場合、窃盗罪に問われる可能性があります。

 

遺失物横領

例えば、ゴミとしてバッグが捨ててあったとします。

一般的に、ゴミには所有権がないため無主物となることは前述したとおりです。

ただし、拾ったバッグの中に現金があった場合は話が変わります。

バッグ内の紙幣は、「中に入れていることを忘れて捨ててしまった!」と解釈されるため警察に届出なければ「遺失物横領」を問われる可能性があります。

 

名誉毀損・プライバシーの侵害

もしも、拾ったゴミの中に子どもの通知表や明細書、写真などが入っておりそういった物を周囲にもらすことは、名誉毀損やプライバシーの侵害に当たる可能性があります。

このように、ゴミ(拾い物)は「タダ」かもしれませんが、それ以上に罰を受けるかもしれないというお話でした。

 

最後に

自分が気をつけていても、子どもがどこからか拾ってくることはありえます。

「タダより怖い物はない」なんて、昔の人はよく言ったものです。

このことは、ルールが厳しくなっている現代の方が当てはまることではないでしょうか。

無用なトラブルを避けるためにも、くれぐれもゴミの取り扱いにはご注意下さい。


参考

株式会社ダイナックス都市環境研究所
http://www.dynax-eco.com/repo/report-42.html

熊本市
https://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=2900&class_set_id=3&class_id=593

福山市
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/kankyo/1442.html

軽犯罪法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000039

 

 

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