●この記事では、賃貸物件に存在する「おとり物件」についてお伝えしています。
皆さんは、賃貸を探すときどうやって調べていますか?
私の場合は、情報サイト「スーモ」をまずは確認してから、その地域のある程度の相場感を知ってから実際の賃貸物件を探しています。
最初に断っておきますが、この記事はスーモの案件記事ではありません(笑)
さて、それでは「ネットで賃貸物件を探す時に掲載されている物件は本当に存在しているのか?」と疑ったことはありますか?
実は、以前から存在していない物件が問題になっています。
今回は、「なくならないおとり物件」についてご紹介します。
情報サイトに物件が掲載されているのに借りられない!?
例えば、食品を例にすると分かりやすいでしょう。
今では、景品表示法により誇大広告は法律で禁止されていますよね。
これは、実店舗だけでなくネット販売でも同じことが言えます。
例えば、ただの水を「魔法のサプリメント」と称して、「体重がみるみる減少していく!」なんてキャッチコピーで勝手に売り出したとします。
当然ですが、これは違法です。
そもそも、このように機能性表示(食べることなどによる効果)を謳うためには・・・
国の定めるルールに基づいて、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出る必要があります。
こういった食品は、「機能性表示食品」と呼ばれます。
このように、すこしでもよく見せようと。もっといえば、お客さんに興味を持ってもらうためによく見せようとする行為がまさに誇大広告です。
それでは、物件における誇大広告とはなんだと思いますか?
それは、端的に言ってしまえばお客さんが目をひく「優良な物件」です。
つまり、優良な物件を掲載することでお客さんを引き寄せることになります。
当然、その物件は客をひきよせるための「さくら」ですので、不動産会社はその賃貸物件の話しを聞きに訪問したお客さんには別の物件を紹介していきます。
まさに、おとり物件は存在しない「客寄せパンダの物件」です。
当然、存在しない物件を掲載することは違法!
ここで、勘違いしてはいけないことは当然、貸せない物件を紹介してしまうと誇大広告となってしまうため悪質な場合は違法になるわけですが・・・
消費者庁によれば
景品表示法第5条第3号の規定に基づく告示である「不動産のおとり広告に関する表示」(昭和55年公正取引委員会告示第14号)[PDF: 52KB]は、自己の供給する不動産の取引に顧客を誘引する手段として行う次のような表示を不当表示として規定しています。
(1)取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示(例…実在しない住所・地番を掲載した物件)
(2)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示(例…売約済みの物件)
(3)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示(例…希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じない場合)
事業者が、「不動産のおとり広告に関する表示」に規定されている不当表示を行っていると認められた場合は、消費者庁長官は当該事業者に対し、措置命令などの措置を行うことになります。
ここで勘違いしてはいけないのは、例えばスーモが意図的におとり物件を紹介しているわけではないことです。
そもそも、スーモは「不動産屋」ですらありません。当然、「管理会社」でも「仲介業者」でもありません。
それでは、スーモはどういった役割をしていると思いますか?
答えは、最初に伝えたように「情報サイト」です。
つまり、不動産屋さんから提供された物件情報を見やすく掲載してくれる役割を担ってくれています。
もしも、スーモのような情報サイトがなければ、私達は物件を探す時に不動産屋を一軒一軒当たることになるでしょう・・・
つまり、スーモにおとり物件が掲載されている場合、それは「スーモに加盟している不動産屋がおとり物件を掲載しているから」と言うことになります。
とはいえ、おとり物件をたくさん掲載する情報サイトは怖くて使えないですよね・・・
そのため、情報サイトだからとなにもしてこなかったわけではわけではありません。
- おとり物件の情報共有(2012年):「ポータルサイト広告適正化部会」を設置。
→違反物件の情報共有および削除する等の対策
- 物件掲載を1ヶ月以上停止(2017年~)
→おとり物件を掲載した不動産屋は、主要な不動産情報サイトへの物件掲載を1ヶ月以上停止。
とはいえ、おとり物件はまだまだ存在しています。
なくならない「おとり物件」
公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会が2021年2月25日に、インターネット賃貸広告の一斉調査報告(第8回)を報告しています。
この内容によれば・・・
2020年11月から12月にかけて上記4サイトに掲載されていた賃貸共同住宅のうち、一定のロジックに基づき、契約済みの「おとり広告」の可能性が極めて高いと思料される335物件を抽出し、これらの物件を掲載している事業者36社(43店舗)を調査対象とした。
さて、この調査された4サイトとは・・・
- at home (アットホーム株式会社)
- CHINTAI (株式会社CHINTAI)
- LIFULL HOME’S (株式会社LIFULL)
- SUUMO (株式会社リクルート住まいカンパニー)
多くの人が、一度は聞いたことがある情報サイトばかりではないでしょうか?
おとり物件の結果は?
この調査の結果、調査対象335物件のうち41物件(12.2%)が「おとり広告」と認められました。
つまり、情報サイトに掲載されていた物件のち約1割近くが違反物件。つまり、おとり物件だったことが分かりました。
それでは、事業者別では、36社のうち何社におとり広告が認められたと思いますか?
なんと、36社のうち13社。
つわり、3割以上の事業者でおとり物件が確認されています。
この調査は、今後も継続されていきますがあくまでも2020年11月~12月にかけて短期間の調査だったので、氷山の一角であることは間違いないでしょう・・・
最後に
おとり物件は、なかなかなくなりません。
ただ、情報を整理することで限りなく0に近づけることはできると思いませんか?
実は、国土交通省が「不動産共通IDのルール整備」に着手することになりました。
「不動産共通ID」というのは、住所や物件名など、不動産情報を活用したサービス連携をスムーズにするための仕組みのことです。
つまり、各社で「管理方法」や「管理表記」も違う不動産情報に対して、同一の物件を示す共通のIDを付与し、同じIDが表示される特化技術です。
要するに、物件の連携が容易にできることになります。
たとえば、「空き家物件の特定」や「不動産の修繕履歴」が一括管理できるなど、その物件の情報を各社で共有・更新ができることになります。
つまり、おかしな物件を掲載するとIDにより簡単に特定されることになることが予想できます。
とはいえ、おとり物件にひっかからないように、明らかにお得な物件は警戒するなど自衛は必要になります。
ちなみに、お得(格安)な物件は、おとり物件でなくても「近隣トラブル」や「事故物件」など何かしらの曰く付きの物件の可能性もあります。
そのため、賃貸探しは時間の余裕をもってすることをお勧めします。
また、本当にいい物件だったとしても、入居後に近隣トラブルは引き起こされます。結局は、住んでみないと分からない部分が大きいことも肝に銘じておくことが必要でしょう。
→私が経験したご近所トラブルは、こちらの記事で紹介しています。
参考
大阪KiTEN:スーモに「おとり物件」はあるのか?大阪の不動産屋が教える
→https://osakakiten.com/estate-knowledge/11824/
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